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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1464堀:会議その4 軍の現状

会議その4 軍本部の現状



Side:スタシア



ようやく軍部の報告となります。

とはいえ、まだまだ大氾濫以前に行っていた業務の状況についてですが。

しかしながら、改めてこうして全体の状況を聞くのは悪くありません。

私たちがユキ様が希少種族のことで奴隷売買に気が付いたように、別の仲間が今回の報告でまた別のことに気が付くかもしれませんから。


そして、国際交流学校のテストについては今の所概ね良好という感じですね。

フィンダールの者も今回のテストには参加していますから一安心です。

ハイデン魔術学院には留学生としていますからね。

今回の選抜に入れるようにカグラやエノラが掛け合った甲斐がありました。

もちろん、ちゃんとその生徒は実力があってのことです。

ああ、アクエノキの狂信者が起こした事件を切っ掛けになどはありませんよ?

父上にも胸を張って報告できるというものです。

とはいえ、先ほど話した本番での選抜生の意識に関しては注意が必要です。

フィンダールの上層部は確かにウィードと繋がりはありますが、その子供たちはどこまでそのことを正しく認識しているか。……それは分かりません。

国を誇ることは間違いではありませんが、それが過ぎるとトラブルになるのは間違いありません。

バランスが難しいですね。

ユキ様の言うように上での会議も必要でしょうが、私の方からも父上にこの話をして注意を促すべきでしょう。

そう考えているうちにスティーブ将軍の報告が始まります。


「まず、警察、住民課と共に当たっている国際交流関係者の住居での警備っすけど、特に問題なく警備を行っているっす。当初予想されていた魔物に対する警戒に関しては、最初の頃はやはり驚きがあったっすけど、最初の説明会や定期交流会でのあいさつをしているおかげか、町中で話しかけても特に怖がられることはないっすね」


確かに、スティーブ将軍たちが新しく来た住人ともめているという話は聞いたことがありませんね。

もちろん、私たち、ハイデン地方の者からすればスティーブ将軍たちは精霊の巫女さまたちの系列として不可侵の存在として扱われてはいますが、ロガリ大陸やイフ大陸では人を襲う魔物という認識ですからね。

そう言う立場を考えると、トラブルがないというのは珍しいことなのでしょう。

いえ、それだけ事前の努力を重ねてきたということなのでしょうね。


「そりゃよかった」


ユキ様もその報告に安心しているようです。

確かに、魔物であれ信仰対象であれ、騒がれればトラブルでしかありませんからね。

無難に毎日が送れているのであればなによりです。

……そう思っていたのですが。


「とはいえ、先ほど触れた学生たちの話と同様に、これからやってくる生徒たちやその関係者たちの反応が心配になるっすね~」

「ああ、確かにそうか。そこらへんも含めて対策会議が必要だな」


なるほど。

確かに、先ほどの話を聞けば当然の話ですね。

これからはもっと無知な人たちがやってくるのです。

より対策を重ねておかないと、トラブルが起こる可能性は高いでしょう。

下手をすると、子供のコミュニケーション能力と違い、魔物や信仰対象となる認識の違いを理解してもらう方がもっと難しいかもしれません。


「そうっすね。お願いするっす。で、まあ現状は問題なしっすけど、今後のことは相談必要ありということで学校の件は終わりで。それで通常の軍部の方の報告っすけど、こっちは大氾濫で軍を派遣したことで分かったっすけど、意外と練度は高いっす。大氾濫で先遣隊として動いた時は指示の兵装準備、そして展開も遅れは無し。一応練兵中の新人を2割混ぜたっすけどそれでも遅れは無かったっす」

「おー、増員計画は順調ってことでいいのか?」

「そうっすね。意外と予定通りっす。というか、実戦が入ったおかげで成果を確認出来たって感じっすね。増員計画に関しては現在大氾濫に出した一期が修了。二期がもうすぐ、三期がまだまだって感じっすかね」

「全体の3分の1が出来たわけか」


ふむ。魔物軍の増員計画は聞いていましたが、その結果をあの大氾濫で目にしているとは思いませんでした。

見る限りちゃんとした正規兵の動きでしたし、新人を2割も混ぜていた感じはしませんでしたね。

私はジェシカに視線を向けて気が付いたかと小声で聞くが……。


「いえ。私には分かりませんでした。エージルはどうですか?」

「僕も気が付かなかったな。というか新兵ってまずは内勤だろう? ウィード内部で、それが大氾濫に投入って……ああ、内勤を終えたからかな?」


ジェシカやエージルも新人の魔物があの大氾濫の中にいたのは気が付かなかったようです。

もうちょっと、ゴブリンやオークの表情をわかるようになるべきですかね?


「とまあ、大氾濫が起こる以前にやっていた増員計画は順調っすね。今の所は……」

「今の所は……ね。何が気になっているのかしら?」


話を聞く限り順調のようですが、何か気になるところがあるのですね。

そこをみんなの代表としてセラリアが続きを促します。


「当初としては、闇ギルドとか他国領域での戦争行為の際の戦力不足を補うため増員予定っすよね?」

「ああ、そうだな」

「そうね。ハイデン地方、ズラブル地方の時でかなり苦しい思いをしたもの。軍の手が足りないとか……。ああ、そういうことね。大氾濫が起こったということは、そっちにも人手が取られるってことかしら?」


あ、そう言われて私も気が付きました。

今回の増員はもともと、確かに闇ギルドや他国地域での戦闘行為の際の戦力不足を補うものです。

大氾濫のためのものではありません。

もちろん敵対するダンジョンマスターを倒すための人員とも取れますが……。


「普通に考えると……同時に展開されるとなると、足りないか」

「足りないっすね。とはいえ、増員される予定の人数がいても同時に展開されると足りないっすけど」

「まあ、そんなことありえないからな。各大陸で同盟軍が同時に出撃するような事態になることも」

「そうっすね。そんなことになれば、どう考えても裏でつながっているでしょうし。どういう規模だよって話になるっすからね~」


確かに今話している内容は荒唐無稽だ。

我らが大陸間交流同盟に対して各大陸で宣戦布告をされて同盟軍が出撃するようになり、戦力が底払いするなんてことはまずありえない。


「とはいえ、現状はそれに近い状況じゃがな」

「うーん。確かにそうだよね~」


とはいえ、デリーユやリーアの指摘の通り、現状は同盟軍が底払いしているわけではないが、即時出撃は出来ず、それどころか誰が指揮官になるかという話題で止まりましたからね。

準備不足だということは間違いがありません。


「問題点は現在同盟軍が機能していないって所か。それでもキナウフには同盟軍……といっても主軸はリテアが大半だもんな。ちゃんと同盟軍の編成考えないとな。元々考えてはいたが急務でもないって感じだったしな」

「名前が機能しているから、間違いでもないのよね。大国が同盟を組んだ時点で戦争は抑制されているのだし、今回のこともウィードが同盟の代表ということで動いたから同盟の対応能力の評価はむしろ上がったと言えるわよ?」

「まあな。対外的にはそうだろうが、内面的には動けなかったという認識になってるから改善はしたい。そうでもしないとウィードが毎度トラブルでは出撃することになるから、文字通り手が足りなくなるし、同盟としても本当に同盟参加国が信用できるのかって話になるしな」


確かに、ウィードがこれからも対応してしまえば、同盟が軍事的にも助けてくれるというのは有名無実化するでしょう。

そしてそれを好む国もいるでしょうが、武威を示したい大国などは不満に思うでしょう。

その結果、周りは経済的に手を結んではいても軍事的には組んでおらず、トラブルには助けてくれないなどと思われかねません。


「ま、そこは政治も絡むだろうしお任せするっすよ。とはいえ、大氾濫の対策部隊が必要になるだろうってことっすね。その分の備えをどうするかの検討をお願いするっす」

「わかった。しかし、俺からの要請ではあるが半年もしない内に3分の1が導入とかびっくりな練成速度だよな」

「そこは、魔物だからっしょ。基本的にはダンジョンの魔物で大将や姐さんたちの命令は聞くし、好き勝手知識や能力はぶち込めるから、最終的には使いこなせるようにするための訓練と座学がちょっと必要なだけっすよ。で、軍事で思い出したっすけど、人の軍部の方はどうなっているっすか? そっちも増やすって話は聞いてないっすけど?」


そこで視線がセラリアの隣にいるクアルに向く。

一応、クアルはセラリアの補佐でもあるのですが、近衛隊の隊長でもあり人を率いる軍部のトップでもあります。

我がウィードの軍部は特殊で、人と魔物で軍部が分かれています。

もちろん合同で動くこともありますが、やはりそこは人と魔物で特性が違いすぎることもあり、分割して動いています。

先ほど話した訓練の度合いも違いますからね。

なので、人の軍部の増員の話はクアルが管理しているのです。

ああ、もちろん私やジェシカ、そしてエージルも軍部ではありますが、掛け持ちで色々やっているので軍部の統括はクアルがやっているのです。

もちろん訓練などには顔は出しますが、採用に関してはさっぱりです。

なので、私も関心があります。


「そうね。クアル経過報告お願い」

「かしこまりました。人の軍部増員計画ですが、これは警察との合同で軍部に来るか警察に就職するかという感じの二択でやっています。警官の増員計画もありますからね」

「ああ、あったな。そこは……」

「ポーニから報告は聞いています。警察の増員計画に関しては、正直ギリギリ足りていないという感じです」

「同じく軍部もギリギリ足りていないという感じです」

「予定数が集まっていないってことか?」

「はい。警察、軍のなり手は足りていないですね。求人は出しているのですが、その訓練課程でやめると宣言する者が多く……」

「「「ああ……」」」


全員でそう呟く。

つまりそれなりに集まりはするが、訓練でやめて行ってしまうと。

まあ、楽な仕事ではありませんからね。


「訓練課程を見直すべきか、それとも求人条件をよくするべきか……話し合う必要があるな」

「そうね。……はぁ、こればっかりは頭が痛いわね。まあ、引き続き海軍の話を聞きましょうか?」


ということで次は海軍のようですね。



軍の方は魔物補充はともかく、広野補充は上手く行ってないもよう。

まあ簡単に増やせる話じゃないよね。


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