表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1736/2211

第1462堀:会議その2 大氾濫中の通常業務について

会議その2 大氾濫中の通常業務について



Side:サーサリ



ヤユイがすらすら喋っていることに驚いていると、気が付けば旦那様が喋っています。


「よし、ありがとうヤユイ。まずは、ここまでだ。これを前半と区切る。大氾濫の詳細についてと、後半の二国への対応は大氾濫の対応とはまた別になってくるし、話が長くなる。この中で気になることや疑問に気が付いたことなどはあるか?」


長い説明の割には、意外とあっという間の報告でした。

それがヤユイがどもらずに喋ったせいなのか、それとも起こったことを思い返していて時間感覚がぶっ飛んでいたんでしょうか?

ともかく、面倒なことが起こったのは事実です。

実際、あまり現場には関わっていないメイドである私もかなり驚きましたからね。


何せ、大氾濫。

それは魔物が洪水のように溢れ、村や町、それどころか規模によれば国を飲み込む大災害。

その発生原因は主に二つ。

魔力溜まりからの自然発生。つまり偶然。

そして、もう一つが問題でした。

ダンジョンからの意図的な大氾濫。

つまり、ダンジョンマスターが裏にいるということ。

まあ、放置されたダンジョンから自動生成され続けている魔物が外に出て暴れる偶然もあるのですが……。


残念ながら冒険者ギルドの情報、そしてリテアからの情報ではスウルス国内にダンジョンは確認されておらず、のちに合流したスウルスの関係者たちからもダンジョンは存在していないと報告を受けています。


現実逃避も否定され、今回の大氾濫の背後にはダンジョンマスターがいると証明されたわけです。

そうなれば、我がウィードが真剣に取り組むのは必然。

誰よりもダンジョンマスターの脅威を知っているから。


地形操作による迷宮、要塞化できる能力。

多くの魔物を使役し統率する力。

物資を有限ではあるが、通常よりも簡単に揃えることができる補給能力。

超技術によるゲートによる離れたとこへの瞬間移動。


うーん、これを知っていて警戒しないとかありえません。

だからこそ、旦那様はもちろん私たちは現在の業務を一旦中止してまで対応に動きました。

幸い、結果としては肩透かしのような結果ではありましたが、だからこそ不気味なんですよね~。

と、そこはいいとしてここまでのことで気になったことですか……。

さて、ここで反応する予定なのは。


「はい。質問よろしいでしょうか?」

「ああ、何が気になったルルア?」


はい。今回、リテアの仲介役として、スウルス被災地での治療で活躍したルルア様から。

意外なことですが、今回ルルア様は大氾濫やスウルスのごたごたにはそこまで関わっていません。

リテアのアルシュテール様やリリーシュ様が現地に向かったため、ルルア様は基本的にウィードに待機となり、唯一現場に出たのは被災地での治療のみです。

ですから、客観的な視点を持っているというのはあながち間違いではありません。


「旦那様。大氾濫が起こって以降の各部署の通常業務状況についてはどうなっていますか?」


ですよね~。

事前に質問は知っていますが、回答に至っては各部署が用意しているだけでどうなっているかは分かりません。

いえ、なんとなく想像はつきますが、詳細を知っているわけではありません。

なので、聞かないわけにはいきません。


「まず私が担当しているウィードでの総合病院は通常通りに運営をしていて、今回の大氾濫、そしてスウルスへの二国の侵攻については特に動揺はありません。リテアとの対応に関してはあっちはてんやわんやですね。通常業務は必死に行っていますが、スウルスへの対応と軍の展開などでかなり遅れが出ているようです」

「ありがとう。確かにルルアの言う通りだな。大氾濫にかまけてウィードの業務に穴が出来ていると問題だ。各部署の代表は回答をお願いする。ちなみに俺が担当していた希少種の確認作業については、スウルスにいるであろう精霊への訪問は止まっている状態だな。軍部と外交面に関しては闇ギルドの追跡もあるが、普通に業務をこなしている。だよな?」


そう言って旦那様はフィオラ様に視線を向けます。

一応旦那様からの報告でも問題はありませんが部署というと、旦那様は色々な部署に顔を出して意見や、お手伝いもしていますからね。

各部署の代表というにはちょっと違います。

もちろん先ほど発言したように、旦那様ではないと話が進んでいない仕事もありますけど。

そういえば、元々大氾濫が起こる前は希少種族の調査を行っていたのですね。

色々ありすぎて忘れていましたよ。

で、その間にフィオラ様が報告を始めます。


「はい。ユキ様の仰る通り、外交面に関しては今のところ問題は出ておりません。プロフさんが来て指導に当たっているので最初こそ戸惑いましたが闇ギルドの並行調査も行っております」

「ああ~。そういえばプロフがお兄さんの手伝いに行っていたんですよね~」

「そうそう。国際交流学校が始まってからの住民課問題があってお兄さんの方に出向していましたね。どうですプロフ?」


あーこれも言われて思い出しました。

当然のように旦那様の横に控えているプロフさんですが、ちょっと前まではそこまで関わりがなかったのですが、住民課のトラブルの件で旦那様の側仕え兼、オレリアたちの指導員としても働くことになりました。

国際交流学校を始めて、関係者たちの受け入れを始めてから、暗部というか諜報員も入ってきましたからね。

そういう連絡を密にするためにもプロフさんを側に置く必要があったんですよね。


「はい。ユキ様が抱える業務については滞りなく処理できるようになっております。当初はオレリアたちは増えた分だけ仕事を抱えて困っていましたが、都合よく、というのはアレですが大氾濫が起こったので処理する量を減らし、午後には闇ギルドに関する情報収集という段取りで動いています」

「ああ、あるある。現状の手が足りないから増員したのに、仕事がもっとできるだろうって押し付けられるんだよね~」


プロフさんの言葉にエージル様がそう答えて、軍部や警察のメンバーがそろって頷く。

その気持ちは私もよくわかります。

手が足りないから増員したのに、人手が増えたから仕事も増やせるだろうって安直な考えで外部が案件を持ってくるんですよね~。


ふざけるなと。


メイドギルドでの教育が終わって、メイドは確かに増えましたが外部に送るためでも、会議を増やすための増員でもないっての。


「合わせて、私が担当している情報課、住民課も当初は国際交流学校の開校にあたり対応が遅れたりはしていましたが現在は落ち着いています。テスト期間が終わり本格的に受け入れても十分に対応できるようにマニュアルも制作中です」


そう言ってプロフさんは口を閉じます。

うん、内容は特に問題は無し。

新しいことをやれば、当然初めてのことだからトラブルが起こる。

そのトラブルをどう解決するかが大事なのだ。

場当たり的な対応ではなく、その後も考えてちゃんと対策も考えているようですし、やっぱりプロフさんは優秀ですね~。

二つの課を任されているだけはあります。

私はメイド業だけで一杯一杯ですから~。

と、キルエ先輩の視線が鋭い気がしますので、頑張っている風にしておかないと仕事を増やされますね。


「ありがとうプロフ。で、次は……セラリア。トップの方は動きはどうだ? 何か滞っていたりするか?」

「私の所は……変わらないわね。学校関連で書類仕事が増えているぐらいで、特に大氾濫以外のことで滞りが出ていることはないわ。そうよねクアル?」

「はい。大氾濫のことでの書類仕事や会議は増えましたが、通常業務が滞っている話は聞きません。とはいえ、ほかの部署も同じでしょうが、総合庁舎や陛下の邸宅では警備を増強しています」


それは確かにそうですよね。

大氾濫が起こっていて、ダンジョンマスターが出現。

そしてウィード内部には諜報員も増えてきている。

警備の増強をするのは当然のこと。


「私の邸宅ねぇ……。まあ、晩餐会とか貴賓、来賓を迎えるうえで必要なんだろうけど、いらない費用はもちろん、人もいるのよね。いるのかしら邸宅? 旅館とかで代用できるでしょ?」

「陛下。いつも言っていますが、陛下の邸宅は国の顔ともなる場所であり、政治を行う場所。旅館は宿泊施設であり別の物です」

「言っていることはわかるわよ。ま、そこはまた今度話を詰めましょう。私からの報告はこれでいいかしら?」


あはは、話が長くなるとみて切りましたね。

セラリア様はウィードにある王の邸宅の必要性を疑問に感じているのでしょう。

ウィードはもともとダンジョン内にあるので防衛に関しては考えなくてもいいですし、石壁を並べる必要はないのです。

なので、もちろん仰々しいお城を作る必要もないのですが、かといって王が住まうというか仕事をする公邸が何もないのでは面子に関りますので、一応用意したのが話題に上がった邸宅です。

いえ、実際はウィードに初めてくる貴賓たちの心の安寧というべきでしょう。

総合庁舎の一番上で執務をしていることも多々あるので、仕事だけを考えると総合庁舎でやるのが効率はいいのです。

あり方を考えれば、行政のほとんどを内包した総合庁舎はほかの国における王城と言っても変わりはないでしょう。

ですが、その総合庁舎は旦那様の地球を模した、これでもかというレベルでの技術を詰め込んだ最新設備。

何も知らない貴賓たちからすれば、意味不明の内部でしょう。

そこで心が安らぐかというと、違いますからね。

向こう側に配慮していますよ。というための建物でもあるわけです。

ちゃんと合わせて作っていますからね。

おかげでメイドが多く取られているので、私もその邸宅の話には加わるとしましょう。

と、そう決めている間に話は進んでいきます。


「会計はテファからは特に問題があったとは聞いていません。ラッツの方は?」

「私も特に商業区からは聞いていませんね。ああ、国際交流学校が始まってから、売り上げが伸びているってことぐらいですかね。とはいえ予想している範囲内です。あと、学校に関しても当初は男性職員が少なかったことなど問題はありましたが、増員でバランスはとれていますので問題はありません」

「そうか。と、ついでだ学校の話になったし、学校関係者の報告を先にしよう」


こうして会議は進んでいきます。

とりあえず今のことろ通常業務に関しては問題なしってところですね。


確かに大氾濫はあったけど、その前にウィードの業務がちゃんと行われているか。

それが大事ですよね。

他が機能不全に陥っていては動けなくなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ