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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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落とし穴外伝:一般冒険者としての視点

一般冒険者としての視点



Side:ヤユイ



プロフさんとホービスのびっくりな悪役な動きに驚きましたけど、チンピラの二人は色々情報を喋ってくれます。

オレリアはその内容に顔を顰めています。

私も正直面白くはないですけど、これは仕方がないかな~とも思っています。

別に被害が出ているのは首を突っ込んだ本人たちに責任がありますし、防衛手段を放棄したからこその結末です。


「なるほど~。なら情報の売り買いは良さそうね~」

「ああ、その酒場なら大抵の情報は集まる」

「しかも飯が美味い」

「それはいいな。ここの料理はさっきの食堂も美味かったからな」

「あはは、姐さん。あそこはウィードじゃまずいぐらいだぜ」

「そうそう。まあ、悪くはないが俺たちに金貨をよこすなら、美味い店の一つ二つも付けてやるぞ?」


なんかチンピラさんたちも美味しいご飯には目がないようで、話に乗ってきました。

とはいえ、私たちはその手の情報は網羅しているんですけど。

何よりユキ様や奥様たちの手料理や行きつけの店の方が美味しいに決まっていますが。

そんなことを考えていると、プロフさんは金貨を一枚取り出してチンピラに放る。


「手荒な真似をしたわびと、食事の話をしろ」

「へへ、話がわかるじゃねえか」

「まずかったら、また来るぞ?」

「そりゃおっかねえから嘘はつかねえ。で、そうだな姐さんたちが好きそうな店となると……」


意外なことに私たちが女性だからという理由で、私たちも知っているようなメジャーなケーキ屋さんとかを中心に10件も紹介してくれた。


「いいのか? 予定よりかなり多いが?」

「ん? ああ、ここじゃ碌な悪さはできないからな。いったろ役人たちの言っていることは信用できるって」

「ああ。それがお前たちが情報を渡すことに何の関係が?」

「そりゃ、宣伝よ。ちゃんと仕事をうけているからな。ほれ」


そう言ってチンピラさんたちは私たちにカードを出してきた。

それを受け取って見てみると……。


「わりびき? 割引?」

「そう。このカードを持って飯を食えば割引してもらえるんだよ。ここに俺の名前もあるから、あとで報酬として飯が食えるって寸法さ」


なるほど、本当に宣伝ってことですね。


「あんたたちの実力を見ればそれなりにありそうだし、情報料の金貨といい気前がいいからな。沢山寄ってくれると俺たちも助かるってわけさ」

「そういうことですか~。なら、ありがたくもらっておきますね~」


確かにそういうことなら素直にもらっておきます。

それで話は終わりかと思ったんですが……。


「あ、あとウィードに来たなら気を付けておくことが一つ」

「なんだ?」

「この国の貴族の名前を騙るやつには気を付けな。疑いようもなく詐欺だ。ウィードの貴族っていうのは女王とその王配だけだ。だからウィードのどこそこの貴族なんて言うやつは嘘っぱちだ。そしてその名前を使うこともあり得ねぇ。他国の貴族にしても名前を使っての横暴はゆるされてねえからな。何かあったら金渡す前に役所や警察に行けば対処してくれるぜ」


何と意外なことにこのチンピラさんたちから忠告を受けました。

加担してそうな顔なのに。

そんな感じでびっくりしていたんですけど、チンピラさんたちはホービスやプロフさんの顔を見て。


「なにそんなに驚いてやがる」

「いえ~、あなたたちはそういう詐欺に回る側かと思っていましたよ~」

「ああ、そういうタイプに見えた」

「ひでえな。これでも子供たちの安全だって守ってるんだぜ。ただ悪いかもしれないことを知っているだけで、悪いことには手を染めてねえよ」

「そうそう。危ない場所には近づくなってな。掃除のときは護衛もしている親切なおじさんなんだぜ?」


そう言って胸を張るチンピラさんたちを胡散臭そうに見る。

とはいえ、子供たちからその手の話は上がってないし事実といえば事実なんだろうけど、なんだろうこの不満。


「それにウィードで貴族の名前を騙るってことは、女王か王配の二人だけだ。その結果は死罪が相当だ。前にそういう馬鹿がいたが捕まって以降顔を見ていないからきっとアレになったんだろうさ」


チンピラさんたちは首を両手で絞めて舌を出す。

つまり死んだってこと。

私たちもその話はもちろん知っています。

ラーリィさんに聞いて調べましたから。

昔、状況的にも似ていて冒険者相手に詐欺をしていたバカがいた。

ユキ様の名前を語って金を巻き上げたり女性に乱暴を働いたりしていた。

もちろんそいつは極刑。

ユキ様は難色を示したみたいだけど、奥様たちがしっかり罰した。

それだけユキ様の名を騙るのは罪が重いのだ。

そんなことを考えているとプロフさんが話を続ける。


「その詐欺師は捕まったんだろう? なぜそんな話をいまする?」

「最近、そういう話が出回っているんだよ。冒険者は馬鹿が多いから説明を聞き流す奴も多い。ここの王配を小ばかにするだけで命に係わるってのを知らねえ。そしてそんな馬鹿と関われば俺たち普通の冒険者の身もアブナイ。ミリーっていう冒険者区の代表がいるんだがな。アレはな王配の女でな。前回の詐欺のとき大暴れしてな。俺たち冒険者の中では詐欺はタブーになってんだよ」


ああ、なるほど。

素直に私たちも納得です。

ロックギルド長たちも大ごとにしたくないって言っていたのは冒険者たちの総意というわけですか。


「姐さんたちが騙されるとは思わないが、その手の輩とかかわって下手にするとトラブルに巻き込まれるぞって話だ。俺ら冒険者たちも割をくうから秘密裏にこうして情報供給しているってやつさ」

「話はわかったが、その手の話はどこでもあるものだろう? 事実かどうかは別として」

「まあな。でも今回は被害者が複数でているからな。一回の気まぐれってわけじゃなくて誰かがやっているんだろうって話になっている。これで止まればいいが、止まらないなら代表の耳に届いて大騒ぎになる。しかも冒険者関係だから俺たちがほぼ無給で働かされるからな。そんなのは避けたいって寸法さ」


ミリー様、冒険者たちを無給でって……。

いえ、今後ウィードでの冒険者活動ができなくなる可能性があるから当然といえば当然なのかな?


「私たちが出くわせばどうしたらいい?」

「そりゃー、証拠を押さえて警察や冒険者ギルドにつきだすのは……やめておいた方がいいな。代表にばれる。警察一択だ。とはいえ、その手の詐欺をする連中は妙な立場を騙ることが多い。後ろに他国の貴族とかがいて面倒事にもなりかねないからな。証拠を押さえるよりも逃げる方が安全だ。ま、解決する方が俺たちとしても楽だがな。そうもいかないのが面倒なのさ。ウィード以外で仕事ができなくなる可能性もある」


そういうことですか。

冒険者たちが自ら積極的に犯人捜しをしないのはその騙った貴族が本当にいた場合ウィード以外での活動で支障をきたすと思うから。

そんな馬鹿なと言いたいですが、馬鹿な奴はどこにでもいますから、私たちのようにユキ様という後ろ盾がなければ尻込みしてしまうのも当然ですね。

だからこそ、オーヴィクさんやラーリィさんという立場ある冒険者が調査しているわけですね。


「なら、下手に手を出さない方が正解か。その連中が出たって場所はわかるか?そこは避ける」

「それがいいだろうな。じゃあ、情報料をって感じだが金貨をもらってるからなそれで相殺だ」


そう言ってチンピラさんたちは私たちに詐欺師が出たって場所を教えて離れて行って。


「あ、おじさん。こんにちは~」

「おう、ガキども。しっかり掃除たのむぜ。ほれ、飴玉だ」

「「「わーい」」」


……本当に顔がチンピラっぽいだけの人たちみたいです。


「人は見かけによらないわね~」

「ですね。だからこそ身なりを整える必要があるわけです。それを実感しました」

「顔を変えろというわけにもいきませんからね。私もこのなりですし」

「私も小柄ですからね。そういうのはあります」


ちょっと意外なことを見てポカーンとしていたんだけど……。


「こほん。さあ、わかりやすい情報を提供してもらったのです。その場所に向かいましょう。そして捕まえますよ」

「「「はい」」」


こうして私たちは詐欺師を追い詰めていくのでした。



ウィードの環境が良くても、新人冒険者が楽かというとそうでもない。

どこでもお金があるとないのでは選べる環境に差が出てくる。

とはいえ、他所よりはマシかもしれないけど。


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[一言] チンピラの顔が北斗の拳以外で浮かばないんだけど
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