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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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落とし穴外伝:落ち葉を見て思うこと

落ち葉を見て思うこと



Side:ユキ



この前のお鍋と言い、肌に吹き付ける風と言い。

すっかり寒くなって来た。

気が付けば、半袖から長袖、上着を着ている状況だ。


「なんか、あっという間ですね」

「だなぁー。冬が来るたびにそう思う。ついこの間まで厳しい日差しの下にいたと思ったんだけどな」

「ですよね。冷房をいつの間にか切っていましたし」

「そうそう」


季節というのは不思議なもので気が付けばというのが多い。

それだけ緩やかに変化しているんだろうな。

いや、寒いと思うことはあるから自然と対応をしていると、気が付けば冬になっていたってところだろう。


ちなみに本日は休みでタイキ君と新作のポケモ○が出る前にブランクを取り戻すために対戦をしていたのだ。

ずーっとポケ○ンをやっているわけにもいかないからな。


「新作、楽しみですね」

「ああ、楽しみだ。というか、コメットとかは動画を見て興奮しているぞ」

「そりゃ、興奮するでしょ。次はオープンワールドでしょ?」

「そうそう。前作の外伝を発展させたような感じだよな」

「楽しかったですよねあれ」

「あれも存分にコメットは楽しんでたよな」


いや、俺たちも楽しみなんだけど、コメットは今までゲームという娯楽を知らなかったし、対戦という知略で遊ぶこともしらなかったので、特にポケモ○にはどっぷりと嵌っている。

どれぐらいかというと、色違いを厳選するぐらいぶっ飛んでいる。


「さて、縁側で休憩は終わりにして、もう一勝負するか?」

「そうですね~」


そう言って縁側から立ち去ろうとすると、不意に落ち葉が庭に落ちるのを目にする。

それはタイキ君も同じなようで。


「落ち葉ってことは本当に冬ですよね~」

「だな。枯れた葉が地面に落ちて、木が裸になる。冬だよな」


縁側に植えている木は冬には葉が落ちるタイプなので、既に寂しくなっている。

とはいえ、そういうのも詫びさびというモノだ。

これも風情。

そう思っていたんだが、降り積もる落ち葉を見てタイキ君がつぶやく。


「落ち葉か、落ち葉……」

「落ち葉がどうかしたか?」

「ユキさん。対戦はいいですけど、お腹減りません?」

「お腹? なんか用意するか?」


ずっとゲームをするというのも実はかなりの気力体力を消費する。

なのでそういう間食は欠かせないのだ。

まあ、お腹が減ったらゲーム終了の合図としても使えるから用意はしてなかったが、途中でお腹が減ったのなら補給はするべきだろうと思う。

だけど、タイキ君は首を振って落ち葉に向けて指を差す。


「落ち葉使って作りません? ほら、冬になると食べたくなるでしょ?」

「ああ、焼き芋か」

「そうです」


落ち葉で作る食べ物と言えばそれしかない。

そしてタイキ君の言う通り、別に焼き芋というのは注意が必要な料理ではない。

焼き芋というのは実際はとても調理が難しい食べ物だ。

いや、簡単ではあるんだが問題は調理時間。

通常の料理は材料がそろっていればきざんで炒めて、煮込んでとやっても精々30分前後ぐらいだ。

まあ、味がしみこむとかそういうのは考慮しないけどな。

対して焼き芋の調理時間は最低でも45分なのだ。

意外と芋というのは火が通りにくく、時間をかけないとほくほくの焼き芋にはならないのだ。

つまり焚火の中に突っ込んで数時間放置でいいわけ。

焼き芋は落ち葉が全部焼けてから取り出すことが多いのはそういう理屈からだ。

もちろん落ち葉を燃やす火力では通常の調理器具よりも火力が不安定だというのもあるけどな。

ちなみに石焼で作る場合は一時間を超える調理時間となる。

まあ、焼き石に突っ込むだけだから苦労ないんだが。

だからゲームをしながらできる料理というわけだ。


「そうだな。焼芋ができるころにはちょうど小腹も空いているか」

「ですよ。あと、久々に焚火をしたいってのもあります。さっそく集めますよ」


俺が止める間もなく、庭の落ち葉を集めるタイキ君。

俺もそれに続こうとすると止められて……。


「ユキさんは芋をアルミホイルで包むのをお願いできますか? どうせ沢山いるでしょうし」

「了解」


そうだった。

この焼芋は俺とタイキ君だけで済む話ではない。どこか遠く離れたキャンプ地ならともかく、ここは俺の自宅。

つまりは嫁さんや子供たちがいるわけだ。

少なくても人数分はいる。

その数はちょっとした苦労だな。

とはいえ、作らないとなるとそれはそれで嫁さんや子供たちが悲しむ。

頑張るしかないか。

まあ、楽しみながら作るのも一興だ。

ということで、俺たちは早速作業を開始する。

とりあえず焼芋は100個を目安だな。

……自分で言っておいてなんだが、100個って1個1分でも100分じゃね?

これはキツイ、ならば呼び出せばいい。

ということでさっそく。


「来たぞユキ君、タイキ君」

「やあ、楽しいことをしているみたいだね」

「はぁ、随分と大変そうなゲームですね」


そう言ってきてくれたのはタイゾウさんとソウタさん、そしてザーギスだ。

嫁さんたちを呼んで手伝ってもらっちゃサプライズにならないからな。

男連中を集めたわけだ。

もちろんゲームをするという趣旨も伝えている。

おかげで30分ほどで準備はおわり、俺たちは燃える焚火を見ながらゲームを始める。


「意外と時間がかかると思っていましたが、そうでもなかったですね」


ザーギスはゲームを握りながら焚火を見つめてそういう。


「数がいたからな。タイキ君も準備が終わってからは手伝ってくれたし」

「というかやっぱり数が多いと薪とかほかの物も必要ですね」


そりゃ総勢120個もの焼芋を焼くためには庭に落ちている落ち葉では足りないので、普通にキャンプファイアーみたいな作りになってしまった。

幸い、そういうアウトドア装備は揃えているから炭や乾燥した木はあるので問題なかった。

もちろんすぐに状態を確認できるように仕掛けはしてだ。


「落ち葉だけじゃすぐに燃え尽きますからね~。しかし、焼芋が私は待ち遠しいですね」

「わかりますよ。ソウタさん。私も子供の頃を思い出す」


ソウタさんとタイゾウさんも焚火を見てワクワクしているようだ。

やはり焼芋には思い出が詰まっているようだ。


「子供の頃って火を扱うなって怒られてたから、こういう焚火は特別な日でしかできなかったんですよね」

「そうそう。タイキ君のいうとおりでした。神社で落ち葉を集めてもおいそれと火を熾すわけにはいきませんでしたね」

「そりゃ、ソウタが小さいころ小火を起こしたからだろうが」

「おや、そんなことが?」


一緒についてきた水がびっくりする証言をする。

火事を起こしたってことだ。

ソウタさんは苦笑いしながら……。


「水、大げさに言うんじゃない。火の粉が散って、結んでいるおみくじが一つ二つ燃えたってぐらいです」


いやーそれってちょっとで済ませていいのか?

ここはツッコムと色々出てきそうだから、外に話を変えるべきだな。


「あはは、タイゾウさんは焚火に思い出とかありますか?」

「そうだなぁ。やはり芋を焼いたことか? いや川魚だったな。昔はこの芋ほど美味しくはなかったからな」

「やっぱり、味って違いますか?」

「そうだな。甘味がやはり違う。今年の芋はどうかわからないがな」


そんなことを言っていると後ろから声がかけられる。


「今年の芋も美味しい。みんなが丹精込めて育てた」


振り返るとそこにはカヤが立っている。

畑仕事をした後か少し土に汚れている。


「そうか、楽しみだな。もうすぐ焼けるからお風呂に入ってくるといい」

「ん。行ってくる」


そしてカヤを皮切りにほかのみんなも俺の連絡を受けて帰って来たのか縁側に続々と集まる。


「ねえ、パパ。火がすごいわ」

「手を触れると火傷するから気を付けるんだぞ」

「「「はーい」」」


やっぱり子供たちにとって轟々と燃える炎は好奇心の対象らしく周りを観察しては喜んでいるようだ。

そうして火勢が弱まり、俺は焼芋を引っ張り出す。


「さあ、熱いから気を付けろよ」


そういうとみんながこぞって手を伸ばして焼芋を手にする。

俺も一つを手に取って……。


「あちあち」


お手玉をしながらアルミホイルを剥くと、その中には黄金のお芋が出迎える。

あとは食べるだけ。


「「「美味し~」」」


こうして寒い中でも暖かく過ごすのだった。



落ち葉と言えばこれですよね。

でも、意外と火に気を付けないといけないから、なかなかできない。

田舎で広場がないじゃないとね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 平成からこっち、野焼きが出来なくなった所為で、例えば子供会などで寺社の落ち葉掃除をやって、落ち葉の始末を兼ねてご褒美に焼き芋をやる機会もなくなりました。 その所為か、やり方も失伝してい…
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