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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1394堀:外部?協力者

外部?協力者



Side:ニーナ



「で、私がユキを好きって聞いたわけ?」

「聞いたな。お前の姉だからわかるって」


私は今、ユキと話している。

理由の一つは現在スウルスに向かっているカーヤとクロウディア、ディフェスが妙なことを言ったことから端を発する。

どうやら私はユキを好きらしい。


「……そうなの?」

「いや、お前のことだろう」

「改めて言われるとよくわからない。でも、嫌いな相手に裸は見せたりしない」

「そりゃそうだろうな」

「でも、あれは自宅だったから」

「自宅でも他人の目があれば着替えないだろう」

「確かに」

「「……」」


なんだろう?

何を言うべきかわからない。

普通ならもっと軽口が出るはずなんだけど。


「まあ、そこはいいや。結婚は考えておく」

「あれ? 俺が頼んで保留されたみたいになってないか?」

「気にしない。あと、私を呼んだ理由は?」


そう、私がユキと会っているのはもう一つ理由がある。

これは私がユキをではなく、ユキが私を呼んだのだ。


「ああ、それはカーヤとクロウディア、ディフェスがかかわっているスウルス関連のことでだ」

「戦争のこと? 私、というか私たちは基本的にイフ大陸が中心。ロガリ大陸のことは役に立たないけど?」


そんなことはユキが一番知っていると思う。

なのになぜ?と思うのは当然だろう。

いや戦力としてなら、まあ数えられるだろうけどそっちじゃないわよね。

それなら一緒に今行動しているはずだし。


「闇ギルドが関わっている話は知っているだろう?」

「ええ。こっちの大陸でもそういう面倒なのがいるっていうのは知っている。この戦争でも暗躍していたとも」

「流石情報は早いな。特に伝えたとは思ってなかったが」

「こういうのは共有が早いディフェスから聞いている。というか、元々闇ギルドがリュシの件から関わっているから独自で調べているから嫌でも耳に入る」


リュシをあんな目に合わせたクソ共が、イフ大陸にも関係を持っている可能性がある。

そんなのを放っておくわけにはいかない。


「そっちの進展はあるか?」

「情報が少なすぎて、ほぼ進展は無し」


元々可能性があるってレベルで、たどる線が細すぎる。

こういう時は人海戦術で数を投入して些細な噂も集めることで何か見つかるんだけど、それもないから情報収集にも限度がある。


「ま、そうだよな。というかそっちには下部組織はないのか?」

「ノーブルの所から借りられるけど、今回の件を相談すると下手に人数は動かせないって話で決着がついた。国際調査隊も動いているからって」

「あー、確かにそうだな。すでに調査しているところがあるのにニーナたちを動かせば信用問題だもんな」

「おかげで多少……とも言えない情報が舞い込むだけ。どこが怪しいとか、ここが怪しいレベル。裏も取れていない」

「元々探るのが難しい話だしな」

「というか、その調査で別の犯罪組織が出てきて潰すというのを繰り返している」

「よくある話だな」


よくあるってそれはユキが読んでいる漫画とかドラマの話だと思う。

まあ、やましいことをやっている連中を調べているんだからその手合いを見つけることにはなるから当然なのだろうけど。


「で、私の方はいい。結局私を呼んで何をしたいの?」

「あ、そうそう。フィオラ、オレリアたちと一緒に調査に協力してくれないか?」

「ん? どういうこと?」

「俺たちの方でも独自で闇ギルドの情報を集める必要性が出てきたんだ。そこでフィオラたちに集めてもらうことにはなったんだけど、そこらへんはあまり慣れてないからな」

「だから私にお守をしろって? そこは霧華とかがいるじゃない」


私はユキの横に控えている霧華に視線を向ける。

この子は私と同じ偵察とか情報収集をする部署のトップで実力的には悔しいけど私より上。


「霧華が動けるならもう諜報部が動いて調べている。いい加減手が足りないんだよ」

「大変お恥ずかしいですが、そこまで手が回らないのです」


そう言って霧華は深々と頭を下げる。


「手伝うのはいいけど、そこまで人手不足ってまずくない?」


私たち聖剣使いは確かにユキの仲間ではあるけど、組織上はノーブルの傘下のヒフィーの部下という扱いだ。

つまりよそから戦力を引っ張ってくる事態になっている。

ウィードの余剰戦力が底払いしていることになる。


「今はそういう人材育成をしている最中だからな。今回の事件でそういう人材育成にも力を入れることになるだろうさ。元々、ウィード内部の問題ではないんだ。闇ギルドの件は」

「ああ、そういえばそうだったわ」


ユキが積極的に闇ギルドを調査しているから忘れがちだけど、ウィードに対して直接何かを仕掛けてきたことが無ければ、内部で暴れたこともない。

今起こっているのはほかの国での出来事。

普通ならそんなことのために動かす戦力なんてあるわけがない。

内政干渉甚だしい。


「ローエルが探っている情報や、おそらくほかの国が集めている情報を元に闇ギルドに対しての作戦を立てるんだろうが、ウィードとしても反ウィード派に闇ギルドが関わっているようだし、直接の被害がないとはいえ、無視というわけにはいかない。リュシやほかの生存者がウィードにもいるからな」

「確かに、リュシの安全確保もあるから必須」

「いや、リュシのことだけじゃなくて闇ギルドの動きをウィードはなにも追ってなかったっていうのも問題なんだよ」

「ああ、そっか」


確かに闇ギルドの対策を考えるとして、内部にリュシという生き証人がいて何もわかりませんでした。

あと他国のことなので調べられませんでしたで終わらせるのは心証が悪い。

やる気はあるのかって話になる。

そういう意味でも調べないといけないわけか。


「でも、結局手がかりが見つからなければ情報は集まらないわよ?」


そう調べても何かが発見できるわけではない。


「まあ、その時は仕方がないが、こちらがどういう手順で追っていったかを伝えるだけでも意味がある」

「動いていた証拠ってことか」

「そういうこと。で、慣れてないフィオラたちは見逃すかもしれないが、慣れているニーナなら……」

「密偵が主な私なら見落としは少ないって思ってくれているのね」

「ああ」


ユキはためらいなく頷く。

うん、私をちゃんと信頼しているのはいい。


「どうせオフなんだろうとは言わない。休みって大事だからな。で、どうだ?」

「ここまで聞かされてやらないという選択はない。ユキはそういう所はずるいと思う」

「そりゃ悪かったな。とはいえ無理はさせないのも知っているだろう?」


確かに、ユキはこっちが働けない事情があれば無理は言わない。

とはいえ、ただの休日を送っているだけとわかっているのもあるにはある。


「ちゃんと埋め合わせはする。後日倍は休日とれるようにベツ剣メンバーにはいうから」

「もう一声。この前カーヤたちだけ食事に招いた。私も食べたい」


ユキが料理上手なのは身内なら誰でも知るところ。

私も食べたことはあるが、美味しかった。

機会がないので最近はあまり食べてない。


「ああ、それぐらいなら大丈夫だが、予定は合わせないとな」

「そこは任せる」

「というか、今日食べていくか?」

「んー、それってカーヤたちが食べたときと同じぐらい?」

「いや、あの時は戦地に向かうメンバーに向けてだから少し豪華にしたな」

「じゃ、それはまた別にやって。今日は普通のみんなと食事」

「ああ、それでいいぞ。ちょうどいい、フィオラたちも食べるし説明もしとくか」

「うん。じゃあ、さっそく行こう」


話し合いが終わったので、応接室をでるとフィオラたちが待っていた。

彼女たちを同席させてなかったのは、私が協力を断った場合、不安や非協力的な私との不和を避けるためか。

この子たちはまだまだ、ユキのためになら全力でがモットーだものね。

ああ、そういう意味でも私が引率しろってことか。


「お話は終わりましたか?」

「ああ」


ユキがフィオラの質問にそう答えると、オレリアたちがこちらを見ながら質問をしてくる。


「あの、ユキ様。私たちを離して、霧華様だけでニーナ様とお話というのは……」

「護衛も兼ねる私たちとしては~、奥様たちの手前~聞かないわけにはいかないんですよ~」

「そ、そうです。な、なにを……」


むう、私はそんなに信用がないだろうか?

正直ユキとの付き合いはフィオラたちよりも長いんだけど、まあ彼女たちは護衛という立場からの発言もあるんだろうけど。


「控えなさい」


どうしたものかと思っていると、霧華が小さくはあるが鋭い声を出す。

オレリアたちはピタッと止まる。


「心配なのはわかりますが、ニーナ様は主様がお呼びしたのです。そしてあなたたちの同席を認めなかった理由があると察しなさい。なによりニーナ様は主様とのお付き合いに関してはあなたたちよりも長いのです。そこに邪推を入れるのは失礼だと知りなさい」


霧華は遠慮せずにビシッという。


「「「……」」」


オレリアたちはその事実を言われて少し俯く。

ショックだったわよね。

あれでも側近っていう自負があるんだから。


「ユキ様、霧華様、そしてニーナ様、オレリアたちが失礼をしました。私が納得させられなかったのが原因です。処分なら私に」


そういってフィオラが前にでて謝罪をする。

ああ、そういえばこういう礼儀に関してはフィオラから教えてもらっているんだっけ?

でも、こういう基礎的なことは霧華やキルエにも教えてもらっているはずだけど……。

あれか、フィオラの責任ってことでオレリアたちをフォローしているわけか。


「いや、普通は一緒だから心配になって当然だな。事前に説明をしてなかった俺も悪い。お互い悪いところがあった。それでいいな、ニーナ、霧華?」

「別にいいわ。その子たちもユキの護衛って自覚があって何よりよ」


いつも口にして思うけど、ユキが護られるっていうのも意味わからない。

ウィードの全戦力で当たっても無傷な気がするこいつを守る意味って本当にあるのかしら?


「はっ、主様がそう仰るならば。ですが、立場をわきまえた行動はフィオラ様だけでなく私たちやアス殿からも教えてもらっているはずです。今一度自分の立場をよく考えなさい」

「「「はい」」」


霧華の言葉にしっかり返事をする。

少しは持ち直したかな?

それなら、私はユキに目配せをすると頷いて。


「じゃ、さっそくニーナと霧華だけの秘密の話の内容だが、今回の闇ギルドの調査に関してニーナにサポートを頼んだんだ。これでも優秀な密偵だからな」

「これでもは余計。私にも仕事があるから、断る可能性もあった。そこら辺の拒否をオレリアたちが見ると反発するんじゃないかって思ってたのよ」

「なるほど。確かに今のオレリアの忠誠心だとユキ様のお願いを断ると怒りそうですね」

「「「うっ」」」


フィオラの言葉にオレリアたちは気まずそうにする。


「それで、その説明をしてくれたということは……」

「ああ、闇ギルドの調査に協力してくれるってさ」

「それは何よりです。では、ここで雑談もなんですし、ニーナ様も一緒に帰って食事ですよね?」


その声を聴いて視線を向けるとプロフが立っている。

彼女とは霧華、キルエの繋がりだが顔見知りだ。

意外とこのちびっこも優秀だけど。


「ユキと話せてる?」

「それぐらいは成長していますとも」

「色々と楽しそうね」

「ああ、準備の間はプロフや子供たちとでも話していてくれ」

「了解」


ということで、私は旅館に行ってのんびり過ごすのであった。

オレリアたちは食事の準備でひーひー言ってたけど今まではあまり手伝ったことはなかったのかな?

ま、今日の失態の責任とでも思えばでしょう。



ニーナたち聖剣使いは表向きイフ大陸ノーブルの傘下ヒフィーの部下、特殊部隊扱い。

実質はユキの密偵その4ぐらい。

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