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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1390堀:交渉の結果

交渉の結果



Side:リーア



「一応西側に5台送っているけど、それでどうにかなるのかな?」

「下手に四散されるのはさけられるじゃろう。それに投降を呼びかける予定じゃしな。目の前に一瞬で1000人を殲滅した部隊が現れれば四散した連中は抵抗せん。……と思いたいのう」


そんな話をデリーユとしつつ、私たちは東側に展開しているイリナウ王国軍を眺めていた。

エージルの作戦は実にわかりやすくて……。


『ま、部隊を分けて西側に送り込む。方向性を指定できればどうにかなるでしょ。最悪ダンジョン管理で潜伏連中は捕まえるし』


と、頼もしいのか、頼りないのかちょっと判断が難しいことを言っていた。

でも、四散して逃げる人を追いかけるにはそれしかないよね~。


「一番なのは、交渉が上手く行けばいいんだけど」

「それが一番じゃな。とはいえ、こっちの兵数は明らかに少ないし、キナウフ王国軍とのこともあるからのう。あまりいい予感はせんな」

「同意見」


私も今交渉に向かっているスウルスのお姫様や使者が上手く交渉を成功させるとは思っていない。

キナウフ王国と合わせてきたんだから、勝手に帰るは約束を破ることにもなるし、私たち少数に負けるとは普通思わないだろうしね。

だからこそキナウフ王国軍は戦うことを選択してきたんだし。


「しかし、なぜわざわざスウルスの川から分ける必要があるのかのう。水源はここだけではあるまいに」

「なんか理由があったのかな? そこらへんは詳しく聞いてなかったね」


そんな話をしていると、ジェシカがやってきて……。


「イリナウ王国は今年は雨が降らなかったようです。所謂干ばつですね。それでリテア経由でウィードに水の支援を頼んだと記録があります」

「フィオラのダファイオ王国と同じか~」

「しかし、リテアの方は断ったとあったな。急ではなかったのじゃろう?」

「ええ。実情としては三つの池が空になったぐらいで、被害と呼べるものも他国からの輸入でことたりました。ですが、上層部としてはこれからのことを考えると、水の確保が急務だと考えたようです。それで、まずダファイオでのウィードの評判を聞いてということですね」

「……手順が逆じゃない? 普通、色々工事をしてどうしようもなくなってからだよね?」

「じゃな。そして次の手がよそから水を引いてくるとか、馬鹿か。利水権なぞどこでも戦争案件の事案じゃろうに」

「まあ、ですから大氾濫で混乱中のスウルスが最適だったのでしょう。裏で手を回した可能性もありますし、ここまで計画を練っているのであれば、やらないわけにもいかないでしょう」


ああ、出来ると踏んでいるからこっちに切り替えたのか。

でも……。


「ダンジョンの力があるんなら水源確保なんて簡単にできるんじゃない? ウィードでは色々作ってるし」


池どころか、海も作ってるよ。


「そういう余裕がないんじゃろう。というか、そういう支援は行っていないと見るべきかのう」

「つまり、デリーユはダンジョンマスターは二国にはそれほど絡んでいないと?」

「そうじゃろう。というか元々二国は支援を受けているという予想が立てられておるからな。キナウフ王国もイリナウ王国もどちらの問題も戦争をせずにダンジョンの力があれば解決できる問題じゃ。わざわざスウルスに攻め込むこと自体、何かのたくらみがあってのことじゃろ。それかダンジョンを戦争にしか使えん馬鹿か」

「それはそれで嫌だなぁ」


戦うことでしか解決方法を見いだせないって会話できると思えない。


「とはいえ、歴代のダンジョンマスターはそういうのが多かったというか、それだけじゃったからな」

「……嫌な事実ですね」

「ユキさんがどれだけ珍しい存在だったかわかるよ」

「元々、世界の敵認識じゃったからな。下手すると魔王よりも上じゃ。確かにその通りじゃろう。リソースさえあればいくらでも魔物を吐きだせるんじゃからな」

「世間の認識も問題があったわけよね」

「まあ、イフ大陸でもそのような感じでしたし、コメット様もこっそり動くしかありませんでした」


確かにデリーユの言う通り、ユキさんを知るまではダンジョンマスターなんて災害の一つで会話が可能だとも思ってなかったのは事実。

カーヤやクロウディアもコメットに助けられはしたけど、当時はイフ大陸でもダンジョンマスターは評判最悪。

そんなことを考えると戦う以外の選択肢は難しいかもしれない。

ダンジョンマスターって神様たちにも嫌われていたって話は聞いたし、本当に敵しかいなかったんだと思う。

と、そんなことをしているうちに、こっちの展開は終わったようでエージルから連絡が飛んでくる。


『迂回している方も配置についたようだよ。あとは敵が不意打ちでこちらを蹴散らして時間を稼ごうと考えるかもしれないから、動きには注意して』

「うむ。とはいえ、距離がしっかり空いておるからのう。こちらからの攻撃の方が早いし、撤退もできるじゃろう」

『ま、それぐらいの距離はとっているからね。魔術の射程もこっちの方が圧倒的だし』


そうなんだよね。

西の町スアカニアでもやったけど、敵の魔術の射程ってせいぜい200メートルぐらいなんだ。

正直弓矢の方が長いぐらい。

でも、その弓矢もせいぜい300メートルぐらいで、しかも狙えるってわけじゃなく数打って当たればってやつ。

いや、それはこっちも同じかな?

100メートル以上の動く目標って銃でも必中させるのは難しい。

まあ、戦争なら相手はまっすぐこっちに向かってくるから狙いやすくはあるから、スコープがあれば当てられるかな?

とりあえず、エリスみたいにキロ単位で当てられるとは思えない。

漫画の世界じゃもっと凄いスナイパーもいるみたいだけど、地球の想像力ってどうなっているんだろうと思う。

で、敵の射程がせいぜい300メートルなのに対して、こっちは静止目標に対しては魔力の阻害がなければ500メートルから1キロでの魔術のピンポイント攻撃が可能になっている。

これでも地球の現代戦においては短すぎるんだけどね。

相手が突進してきたら、あっという間に縮まる距離だし、これもまだまだ研究の余地があるってことでユキさんが指示してザーギスとかが頑張っているみたい。

確かナイルアの才能、スキル付与をうまく合わせてとか言っているけど、よくわかんない。

と、そんなことを考えていると、イリナウ王国軍に行っていたスウルスの使者がこちらに向かって歩いてきているのが確認できたと思うと……。


「あれ? なんかイリナウ王国軍武装解除してない?」

「うむ。そう見えるな。エージル」

『こっちでも確認してるよ。武装解除と同時に陣地を片付けているように見えるね。もしかして交渉に成功した?』

「状況を見ればそうでしょうが、油断は禁物かと。まずは使者から話を聞いて状況を確認するべきでしょう」


ジェシカの言う通りだとおもう。

こっちで勝手に判断はできないし。

なので、私たちはイリナウ王国軍を警戒しつつ、スウルスの使者から説明を受けることにする。


「お待たせいたしました。イリナウ王国軍とは無事に話し合いが成立しました。今すぐに立ち退くそうです。ですが、その確認がありますので、国境までこのまま追いかけることになりますので、同盟軍皆様は同道していただければと思います」


どうやら本当に説得に成功したみたい。

なんでだろうと思っていると、エージルが代わりに聞いてくれる。


「それは喜ばしいことです。イリナウ王国軍の撤退確認も問題ありません。ですが、何が要因で相手は撤退したのでしょうか?」

「それはこちらです」


そう言って見せてくれたのは、キナウフ王国の旗と豪華な剣に勲章っぽいものだ。

何だろうこれと思っていると使者の人が説明をしてくれる。


「こちらはキナウフ王国の本陣旗で、剣は王から賜る軍の指揮権移譲の証、そして勲章は西の町スアカニアで指揮を執っていた将軍の物です。一応、一帯では名の知れた方でしたのでイリナウ王国軍は私たちがキナウフ王国軍を撃破したことを認めてくれたのです」


ああ、そういうことか。

首ってわけじゃないけど、倒さないと持てないようなものを私たちが持っていたから相手は信じたってことか。


「それに、イリナウ王国には賠償は求めてもそこまで高い物には成らないですからね。町を占拠したわけでもない。ただの越境ぐらいで済むものです。もちろん水を奪おうとしたというのはありますが、実行にも移していない。名目は私たちを助けに来たということですから、下手をすると賠償も難しいでしょう」

「確かにその通りよね~。イリナウ王国軍は別に被害をだしているわけじゃないもの~。向こうとしては使った物資の回収ぐらいはしたいとかあとで言いそうよね~」

「はい。そこは言及がありましたが、後日改めてということになりました。その時には同席を頼むことになると思います」


そうだろうね。

スウルス単独じゃ交渉は難しいのは分かり切っているし。

同盟が出てこないと足元みるよね。


「じゃあ、ひとまずはこれを見送れば事態は一旦落ち着いたってことかしら?」

「おそらくそうでしょう。スウルスの依頼は果たしていますので、いったん引いて、二国への話し合いの時に立ち会うのが適切でしょう」

「でも、大氾濫の調査の方は?」

「そちらはするでしょうが、軍を置くにしても縮小するのは当然でしょう。今のままというわけにはいかないです。多く置けばスウルスにも警戒されるでしょうし」


まあ、メノウとショーウが話している通り、確かに同盟軍が今の数のままいるわけがないよね。

軍がいるだけでもお金は使うし、そういう意味でも沢山の人はおけないんだよね。

とはいえ、大氾濫、ダンジョンマスターが絡んでいることだからウィードとしてはそこら辺は惜しみなくやるつもりだけど。

そんな風に話をしていると。


「イリナウ王国軍が移動を開始するよ。そろそろ車両に戻ろう。警戒は怠らないように」

「「「了解」」」


ともかく、スウルスの危機は一旦去ったと思えばいいのかな?



今度はうまくいきました。

絶対に駄目と決めてかからずやってみることも大事ですね。

まあ、手札が増えたというのもありますけど。


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