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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1300堀:調査成果

調査成果



Side:リーア



ガキンと音がして大きな盾と盾がぶつかり合う。

すると、大きな衝撃波が出る。


「おー、凄い」

「本当だね。こんな試合に出なくて本当によかったよ」


私の横で苦笑いをしているのはエージル。

確かにエージルは将軍ではあったけど、露骨に剣と剣をぶつかり合わせるタイプじゃないからね。

どちらかというと後方から魔術を撃つタイプ。


本日、私たちは大森林の調査に行っているコメットたちのサポートがあるので今回の試合には出ていないけど、こうして中継を見ながら仕事をしている。

退屈だろうし、仲間外れみたいになるのはあれだしなというユキさんの配慮だ。


「……い、意味、わ、わからないんだけど……」

「ヒイロがスタシア様を押し込んだわね……」


そして同じチームのナイルアとワズフィは震えながら試合を見ているけど、私としてはまあこんなもんだろうって感想だ。

ヒイロに押し負けたスタシアのフォローにセラリアが入ろうとするけど、リエルが邪魔をしてくる。

すると、ドレッサとヴィリアも乱入してきたかと思うと、ドレッサたちを追っていたトーリとカヤが踏み込んできて大混乱。

そこに遠距離からサマンサとクリーナ、そしてカグラとミコスコンビが魔術を連打してきた。

示し合わせてきたように広範囲魔術と弾幕をお互い分けている。


「おー、お互い近接は不利だとみて、撃ち込んでいるって所かな?」

「だろうね。私も同じようにする。このチームランダムって言ってたけどやたらと偏っているね」

「多分、それなりに仲がいい者同士だと思うよ。そうじゃないと即席の連携とか難しいから」

「あー、なるほど。リエルとヒイロは元々仲がいいし、セラリアとスタシアはお姫様同士か。ん? そうなるとビッツとフィオラはどういうことだい?」

「今回の試合はビッツの希望だし、フィオラと戦いたいって話があったからかな?」

「うわー。技とか、まあその後に手の内を知ってから一対一の勝負か。うん、わからないでもないかな?」

「ユキさんってそういう所あるからね」


まあ、その前に負けちゃったら意味ないんだけど。

それはそれで後で個人的に試合すればいいって話。


「で、そのビッツとフィオラは足が止まっちゃってるね」

「あはは、あの乱戦に飛び込むほど慣れてないだろうしね」


当の本人たちは目の前で激しくバトルしているところにどう動くべきかで動けないでいる。

下手したら巻き込まれてダウンを取られかねない。

そういう気持ちは分かるけど……。


「お、ミリーとラッツが動き出したね」

「だねー」


立ち止まっていると、射撃タイプの2人が動き出す。

驚いているようだけど、ミリーは斥候タイプでラッツは槍を投げるスタイルを取れる。

だからミリーはボウガンや弓を使えるし、ラッツはアイテムボックスで投擲用の槍をわんさか持っている。

距離をとっていると狙い撃ちされる。

2人ともエリスほど射撃の専門ってわけじゃないけど、そこはユキさんのおかげでそういう精度もかなり上がっているから、レベルを上げているビッツやフィオラに直撃はあまり望めないけど……。


「ギリギリ気がついて必死にガードしているね」

「必死過ぎて余裕がないねー」


不意打ちに近い形で攻撃されて飛んでくる矢と槍を弾くことに集中して周りが見えていない。

というか威力すらも考える余裕がない。

被弾を恐れすぎかな?

生身ならともかく、ビッツはドレスアーマー、フィオラは簡易の騎士鎧を身につけている。

普通の鎧程度ならミリーとラッツの攻撃は貫通するだろうけど、この2人の装備は並の装備じゃない。

だから急所以外の所の被弾はそのままにして距離をさらにとるか、突っ込むかを選択すればいい。

その判断ができないのが余裕がないってこと。


「しかし、こうして多方面からのカメラがあると動きがよくわかるね」

「うん。みんながどう動いているかわかるから、私たちにはいい勉強になるよ」


ユキさんが中継用に用意したカメラは5つのアングルからある。

東西南北からのカメラと天井からのカメラ。

つまり天井からのカメラのおかげで誰がどの位置にいるのかすぐにわかるようになっている。


「ラビリスとシェーラが上手く隠れているよね」

「こっそり乱戦に参加しているのかしていないのかって感じだね」


ラビリスとシェーラは乱戦の中にターゲットを取られない程度に加わっている。

ちょっとした魔術や攻撃だから、気にするレベルじゃない。

他に本気で攻撃しているメンバーに気を振っているから、2人はほぼ無視されている。

ある意味、うまく立ち回っているかな?


「でも、誰も決め手には欠けているね。全力を出してはいない」

「うん、それだけ隙が大きいからね。あとは誰が動くかだけど……」


一番最初に動く人は多分真っ先に狙われる。

つまり負ける可能性が高い。

それを誰がやるのか……。

と、思っているといきなりヒイロがスタシアに渾身のシールドバッシュを打ち込む。

体格で負けているから、魔力や盾でのブーストが必須なんだけど思い切りつぎ込んだような威力。

衝撃波が周りに広がって乱戦中のメンバーも一時的に固まる。

もちろん、直撃を受けたスタシアは重装備ではあったけど、かなりの威力で弾き飛ばされて硬直している。

その隙をリエルがヒイロの後ろからでてきてスタシアをひっつかんで投げ飛ばす。

確かに装備の防御性能は高いけど、重量に関しては魔力ブーストでそこまで気にならないから、あっという間に場外に放り出される。

硬直させられたのが敗因かな?

そして、渾身の攻撃を出して固まっているヒイロにほかのメンバーが殺到するのをリエルがトンボ返りで大盾を蹴飛ばして退避させる。


「おー、リエルすごーい」

「身軽だね。実にリエルらしい」


猫みたいにぴょんぴょん飛び回っている。

まさか、スタシアが一番に脱落するなんてね。

一人になったセラリアは落ち着いて距離を取っている感じかな。

そんな風に楽しみながら試合を見ていると……。


『こちらコメット。監視室聞こえるかい? 試合に夢中になってないかい?』


コメットから連絡がくる。


「はい。こちら監視室。試合は見ているけどちゃんとそっちも見てるよ」


エージルがそう答える。

私もモニターを見ると予定通りの場所とはずれた場所にいることに気がつく。


「それで、道をずれた理由は?」

『ああ、ハヴィアの遺体? 遺骨になるのかな、それらしいものを見つけたよ。彼女の道案内でね』

「そうか。それでハヴィアは?」

『私は大丈夫だよ。いやー、自分の遺骨って言われても全然実感わかないんだよ。なにせ頭蓋骨が転がっているぐらいだしね。服のかけらもなにもない。昔のことだから当然だとは思っているけど、ここまで風化しているとねー』


と、ハヴィアからはあははーと気楽な声が返ってくる。

気にした様子はないけど……。


「それでどうするんだい? ハヴィアは帰還させるのかい?」

『いや、本人は大丈夫そうだし、ノリコも問題ないって言っているし、遺骨の回収だけして地点にポイント立てたから後日改めてでいいと思ってるけど、エージルはどう思う?』


私にはこういう判断はできない。

この調査のリーダーはコメットとエージルだ。

判断はこの2人が下すことになっている。

ユキさんも余程のことがなければこの決定に異議を唱えるようなことはない。


「現場に僕はいないからね。君たちの意見を優先するよ。でもハヴィア、面倒かもしれないけど、もう一度僕から聞くよ。本当に大丈夫かい?」


エージルは静かに真剣に聞いている。

その質問を聞いたハヴィアは先ほどの気楽な感じの声音ではなく。


『大丈夫。私はこのまま調査を続けます』


そう静かにはっきりと返す。

うん、冷静さは失っていないように見える。


『なにより、ここで帰されると未練が残りそうだし』

「気持ちは分かるけど、成仏はしないでくれよ」

『あはは、多分新しい疑問が出てきてもっと調査をしたいって心残りができるよ』

「何ともまあ悪循環だね」

『それでこの世に残れるならいいことさ。何よりみんながまだいるんだし、先に逝けないよ』


こういうジョークも出せるんだし私も問題はないと思う。

エージルもこちらを見ていたので頷いて見せる。

もちろんナイルアやワズフィも同じように頷く。

こっちの調査メンバーにハヴィアの調査継続を否定する人はいない。


「よし。否定するものはいない。しっかり働いてくるように」

『うん。任せて』

『ま、ハヴィアはいいけどさ。それより、この試合見ていると人外だよねー』


なぜかノリコがそんなことをいう。

いや、空気を読めないと思うんだけど、あ、わざとかな?

私がどう返事をするべきかと思っていると……。


「何をいまさら。ノリコだって身内の強さは知っているだろう? 隣のデリーユとかウィードトップクラスだろうに」

『妾は魔王じゃからな。とはいえ、ノリコも大概じゃろうに。並の者なら即座に戦意喪失レベルで発狂を起こせるじゃろ?』

「だよねー」


ノリコは怨霊だからね。

慣れてないとかなりキツイ。

こう精神的にヤバいと思わせて戦意を喪失させる。

あ、もちろん腕っぷしが弱いかといわれると、ほぼこちらの攻撃は無効であっちの攻撃は届くという意味不明で理不尽極まりない。


『あー、そっちじゃなくて改めて、漫画みたいな戦闘になっているなって』

『ああ、そうじゃな。というかノリコも実演してくれってよく言ってくるではないか。漫画を描く見本にしたいと』

「うん。私も言われた」

『見本で見るのと、ああいうガチな戦いはまた別だよ。ま、いい資料になるからいいけど。やっぱり勝ちに行く姿って戦いっていうのとはやっぱり違うね』

「そりゃ、魅せる物じゃないからね。生きるためのモノだから本質が違うさ。と、雑談はいいとして気を付けて調査を続けてくれよ。それともハヴィアの遺骨があった場所で何かあったかい?」

『それが全然。確かに地面は窪んでいるところはあるけど、もうだいぶ昔のことで、普通に草が生えてボーボーなんだよ。とりあえず漁って見ているけど、そろそろ移動かなって所』

「ま、そこはコメットの指示に従って頑張ってくれ」


こうして大森林の調査は成果を上げつつ進んでいく。

良い感じなのかな?



バトルよりも大森林の調査に進展。

いいことなのかわるいことなのか……。

こういうのわからないことって多いよね。


そして、別件でちょっとご相談。

詳しくは活動報告で記載しますが、小説のリクエストに関しての内容を投稿いたします。

この小説書いてほしいなーというものがありましたら一度読んでみてください。


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/list/userid/438459/


よろしくお願いいたします。


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