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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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1392/2209

第1180堀:魔女っ子チーム

魔女っ子チーム



Side:クリーナ



「ふふふ……。久々に体を動かせる。やる気満々」

「意外ですわね。クリーナはてっきり本を読んでいる方が好みかと思っていましたが」

「ん、それは否定しない。でも、おなかに赤ちゃんがいると気をつかう。だから今回のイベントは楽しみ」

「確かに、ユキ様のお子がおなかにいると思うと気を使いますからね。それが一時的に気にしなくていいのはありがたいことですわ」

「とはいえ、お二人とも無茶はしちゃだめですよー。まあ、何かあれば強制離脱ですけど」


そう言いながらサーサリが私たちにお茶を出してくれる。


「ありがとうサーサリ。それによく私たちのメンバーに入ってくれた」

「そういえばそうですわね。サーサリはこの手のイベントでは基本的にサポート側だと思っていましたが」


ん、サマンサの言う通り、サーサリは普段このウィードの旅館で家を守ってくれている。

めったなことでこういうイベントには出ない。

だが、今回は参加してくれた。


「今回は特にお嬢様やクリーナ様が無理をしないか監視の意味もありますよ。まあ、キルエ先輩も参加しているんでここは楽しむっていうのもありますけどね」

「ん。サーサリも楽しんでいるならいい」

「クリーナさん、あまりサーサリを甘やかさないでくださいね。この子意外と自由にやっていますから」

「よよよ。お嬢様、なんてひどい言われよう。私めはこうして毎日身を粉にして尽くしているというのに……」

「それでしたら、部屋にあるお菓子のストックも要りませんわね?」

「当然いりますよ。何を言っているんですか」


ん、それは大事。お菓子無くして、人は生きていけない。

あ、そうだ、アルフィンさんにお菓子頼んでおかないと。


「ん。楽しそうで何より。でも、ここからは作戦会議。参加するからには勝ちたい。だから協力する。もう一つのランサー魔術学府チームには必ず勝つ」

「ええ。学府でのランクは上とは言え何せ向こうは新人ですし、さらに新人のお姫様もいますからね。あちらには負けられません」

「あはは。そりゃ、真っ向からそのチームと戦えば負けることはないですけど、このバトルロワイヤルシステムは横やり必至でしょうからね。そこはちゃんと考えないといけません」

「ん。それは理解している。戦うのは極力避けて武器や道具を集めつつ、敵の情報を集める。これが最善策」

「言っていることは分かりますが、それはなかなか難しいことですわね。特に今回は私たちが得意とする魔術やスキルは一切使えませんからね」

「ですねー。そこでそういう時に役に立つのは私のような経験豊富な人材というわけでーす」

「……サーサリはそんなに銃撃戦の経験がある?」

「そんなわけありませんわ。精々騎士時代に多少戦いをかじった程度ですから、しょせん私たちと同じぐらいでしょう」

「ひどいですねー。まあ、そりゃ銃を使ったのはウィードに来てからですが、年上として多少はサポートできると思いますよ」


ん、経験は重要だと思う。

何故なら純粋な銃撃戦は、本当に私たちにとっては未知のものだ。

確かに銃の訓練はした。

でも、こういう戦いは初めて。

ゲームをしたことはあるけど、実際にどこまでできるかは不安だ。

魔術やスキルの補正もない。

文字通り体で一つで挑まなくてはいけない。


「それで、経験がある『年上の独身』女性としての意見はどんなものですか?」

「相変わらず喧嘩売って来ますねー。ま、今回は我慢してあげましょう。でも子供を出産したら覚えておいてくださいねお嬢様。で、作戦ですが、初戦は捨てましょう。どう見ても無理です」

「……どうして?」


あれだけ任せてといっておいて初戦は捨てると言い出した。

何でそんなことを言うのか聞いておかないといけない。


「初戦はどう見ても肩慣らしです。勝てても偶然というところでしょう。そこでやるべきはちゃんと銃器の取り扱いができるかとかの確認です。例えばいきなり拾った銃を適切に扱えますか?」

「それは、スキルで覚えていますし、訓練も多少ではありますがやりましたからできる……とは思いますが……」

「そこですお嬢様。『思う』じゃだめなんです。サマンサお嬢様、というか奥様、そしてクリーナ様も『魔術が使えると思う』って言いますか?」

「……違う。使えると断言する。失敗もあり得ない。……そういうこと?私たちがこんな状態なのがだめ」

「その通りです。しかもゲームと違って弾薬の回復。つまりリロードですが、あんな風に撃ってからすぐに次に備えるため満タンのマガジンに交換できますか?」

「……できませんわね。しかもそのマガジンを撃ち切った後は……」

「自分で弾を込める? ……意外と大変」


ん、サーサリに言われて気がついた。

自動小銃は確かに便利だけど、給弾が大変。


「構造と操作方法は確かに知っていますが、私たちは常に満タンのカートリッジを使っていましたわね」

「ん。このバトルロワイヤル意外と大変かも」

「大変ですよ。ゲームみたいだと思っていると、まずリロードで躓いて負けます。下手するとリボルバータイプの拳銃の方が装填速度的には有利かもしれません」


確かにリボルバーなら、装弾数は少ないけどリロードは一発込めて終わりにもできる。

マガジンみたいに取り外して込めてまた銃に付け直すよりは断然早いと思う。


「サーサリはそういう練習が必要だから、初戦は捨てろというわけですわね」

「はい。マガジンに弾を込める練習とか、マガジンセットの練習はここでもできますけど、落ち着いてできるここと現場の戦場でのリロードはちょっと同じとはいいがたいですからね」

「ん。サーサリの言う通り初めての実戦で練習通りにできることはまずない。だけど、練習でできない奴に本番でできるわけもない」

「その通りです。ということで、まずは色々な種類の銃で弾のリロードの練習をしつつ、とりあえずどの場所に行くかを考えましょう。私としては落ちていた銃の試し打ちぐらいはしたいですね」

「ほかのチームに見つかりますわよ。って言いましたが、まずは銃の特性を知るのが重要ということですわね」

「ん。理解できる。私たちが練習する銃と、あの戦場で出てくる銃が同じとは限らない。だから初めての銃の練習は必須ということ」

「そのとおりです。ですが、さらに注意してもらいたいのは、『建物の中に放置されていた』ということです。おそらく新品だとは思うのですが、下手をすると動作不良の物があってもおかしくないでしょう。そこら辺の見極めもしないと自滅しますよ」


サーサリのいうことはもっともだ。

ゲームの世界みたいに拾う銃の全部が全部無事に稼働するとは限らないし、調整が完璧というわけでもない。

使えるかもだし、ちゃんと癖をつかむ必要はある。

このバトルロワイヤルの癖を。


「まあ、だからこそ旦那様は3戦して最後に上位で4戦目といったんでしょうけど。まずは初戦は捨ててちゃんと銃を使えるか試すべきですね。ということで交戦については二の次で、降りるなら武器や道具がそれなりに落ちていて敵に遭遇しない場所がいいですねー」

「そんな都合のいい場所があれば誰だってそこに行くでしょう。とはいえ、見つけないといけませんわね」

「ん。まずは、訓練場を見つけて癖をつかむのは大事。サーサリの案に賛成」

「ありがとうございます。クリーナ様。で、サマンサ様は賛成いただけますか?」

「ええ、いいでしょう。今回はサーサリの作戦に乗ってあげましょう」


サマンサも賛成したところで地図を改めてじっくりと眺める。

このMAPで私たちがどこに降り立つべきか……。

そこで私はある案を思いつく。


「……ん。私から一つ提案。あえて中央でやってみるのはどう?」

「激戦区になるのではありませんか?」

「ふむ。理由を聞かせてもらっても?」

「ん。どうせ練習はしないといけない。でも、武器や道具がある場所ではないと意味がない。さらには銃撃の最中に給弾も練習する必要がある。なら、あえて戦場のど真ん中で頑張るのがいいと思う。実戦に勝る経験なしという」


他のチームから遠いところで安定して練習するのは確かにありだと思うけど、それはこっちでするのと変わりはない。

ならば、近くに敵がいる状況でやる方が私たちにとってはより良い経験になるのではないか。

何故なら敵を警戒しつつ、武器道具を集めて、情報を集めて動くから。


「……脱落する可能性はあるけど、経験不足の私たちがそのまま最後まで残ってもユキたちやタイゾウには勝てると思えない」

「確かにそれはそうですわね。最後まで残ったとしてもその二チームに勝てる可能性は高くないでしょう」

「というか、まず負けるでしょう。全然経験が足りませんから。ふむ、だからその経験を補うために戦場のど真ん中に行くべきというのはいい案かもしれません。でもクリーナ様の言うようにいきなり全滅して経験にならない可能性もありますが……」

「……それを言ったらキリがない。経験を積むか、安全策をとって経験をたいして得られないまま本戦を戦い抜くかだけの話」


そう、選ぶのは二つに一つ。

安全策をとるか、それとも激戦を潜り抜けるか。

経験という価値をどれだけ重く見るかだ。


「……私はクリーナさんの意見に賛成ですわ。どうせレクリエーションといってしまうとアレですが、出産を控えて大人しくしている日々です、ここで思いっきり暴れるのもいいでしょう。そういうのを含めて中央で戦いましょう」

「ん。私も暴れたい。銃をもって走り回る。どこかの映画のワンシーン」

「あー、いいですね。楽しそうです。そうですね。別に命が掛かっているわけでもありません。ここは大胆に動いて生き残って旦那様たちを倒しましょう」

「「「おー!!」」」


こうして私たちは、中央で敵を排除して勝利を目指すということになった。

しかし、中央に陣取る利点はそれだけではない。


「むしろ、ここまで多くの建物があると、私たちを見つけるのも苦労するでしょうね。却って安全かもしれませんね」

「なるほど。銃声は聞こえど、私たちを発見するために移動するのも苦労するというわけですね」

「ん、障害物は多いからその分身を隠しやすい。迎撃に適した建物を見つけるのも大事」

「ですね。これは意外と大事なことかもしれません。中央の使える建物を初戦で見つけてしまえばその次からはそこを目指してもいいでしょう」

「安全地帯というわけですわね。まあ、そういうのを見つけるのもいいかもしれませんわね」

「そして、そこから狙撃し放題。まあ、すぐにばれると思うから、複数の建物は把握しておきたい」


そんなことを話しながらも他のみんなのことを考える。

いったいどんな作戦を展開してくるのかと。


「わくわくする」


ん、とても楽しい。



最近妊娠で出番ありませんでしたが、ここで出てきます。

そしてサーサリがジョーカーとなりそうです。

さあ、どこまで善戦するのか。

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