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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第1135堀:外から見ると気づく違い

外から見ると気づく違い



Side:クリーナ



「かか様。私、手伝う」


そう言いながらギュッと私の手を握ってくる、大事な娘である秋天。


「大丈夫。ちゃんとユキたちが全部解決してくれる」

「ええ。そうですわ。それにソウタ様や水様もいらっしゃいますから何も心配はありませんわ」


私とサマンサで、健気にも進んでみんなの役に立ちたいと言う秋天の頭をなでながら、やっぱり止める。

今回のことは心霊現象ということで、秋天にまた手伝ってもらうなんていうとんでもない案がちょっと出かけたが、即座に母親一同全員揃って却下にした。

秋天は便利な道具などではない。

私たちの可愛い娘だ。

ほんの僅かだろうが危険な目にあう可能性がある場所に連れていくってだけでも言語道断。


「むぅ。私、かか様たちの役に立ちたい」

「秋天がここで一緒にいるだけで私たちはうれしい」

「その通りですわ。秋天がこうしておなかの赤ちゃんを気遣って一緒にいてくれることがとてもうれしいですわ」

「そうだよー。秋天がいないとリーアお母さんないちゃうかも」

「ええ。心細いですからね」


そう言いながら、リーアとジェシカで秋天の左右から手をつなぐ。


「うん。じゃ秋天がかか様たちと一緒にいる」


それだけで笑顔になってギュッと手を握り返している。

うん。いい笑顔。


「ありがとう。じゃあさっそくだけど、リーアお母さん眠くなってきたから一緒にお昼寝しよう」

「うん。わかった」

「私も一緒に寝ましょう」


立ち上がりながらこちらにウィンクをして、秋天の両手を取ったままのリーアとジェシカは寝室へと向かう。


「ふう。秋天はとてもいい子だけど、いろいろ気にしすぎるのがちょっと駄目」

「ダメというのはどうかと思いますわ。私たちを母と慕ってくれているからこそのその感情です。優しいということですわ」

「むう。確かに秋天は超優しい天使」

「まったく。親ばかといいたいですが、私もそこは同意です。とはいえ、正直私たちの母校にこんな怪異が潜んでいるとは思いませんでしたわ」

「ん。それに関しては同意」


私は消していたモニターを再び点けて、タブレットで例の心霊映像を見る。

でも……。


「……やっぱり何も見えない」

「ですわね。でも、この何もないように見えるこの映像に秋天は反応いたしましたわ」

「ん、うかつだった。この映像から何かを感じ取るなんて」

「流石、ユキ様の故郷で『三大妖怪』『伝説の大鬼』といわれるだけありますわね」

「そんな不名誉な呼び名はいらない」


酒呑童子とか、首を切り落とされたとか、絶対許せない。

あの子は、いや大事な子供たちはみんな私たちが守る。


「クリーナさん、あまり感情を高ぶらせるとおなかの子によろしくありませんわよ」

「……サマンサからいいだした。だけどその通り」


サマンサが言い出したのにと理不尽を感じるけど、確かにその通りだから心を落ち着けてモニターに視線を向けると、いつの間にかポープリが来ていた。

というか……。


「エージルとコメットが羨ましい」


モニターの向こうでは丁度、ユキが監視室で寝ていたエージルとコメットを抱きかかえて起こしていた。


「あら、ユキ様に抱き起されるなんてとても贅沢ですわね。ですが、寝袋に入ったミノムシ状態ではねぇ。あれでは子ども扱いみたいですわね」

「ん、それでも羨ましい」


調査をしていたにしろ、なんで寝袋で寝ているだけでユキにだっことかしてもらえるのか。

ずるい。私もだっこしてほしい。

ん、これは私も夜更かしをするべきか?

いや、おなかの子のためにもそんなことはしてはいけない。

と、そんな葛藤をしていると。


「私もユキ様の抱擁は好きですわ。でも、今はそのようなお話ではないでしょう?」

「ん。ソウタもモニターを見ているけど……。サーマル?」

「確か、赤外線システムですわね」


昨日の映像を見たソウタがカメラのモードを切り替えろといって、ユキが操作をしたらなんと、確かに人の形をした何かが映ってた。


「……これは」

「……まさか、本当に学府にこのような存在がいるなんて」


うわっ、意外過ぎて驚いた。

しかも私たちがよく通っていた教室前の廊下でだ。


「……サマンサ。夜行ったことある?」

「いえ、そもそも夜に教室へ行かねばならない用事などありませんでしたわ」


私の質問にサマンサは首を横に振る。


「……私もない」


私も夜にわざわざ教室に行くなんてそんな経験はない。

元々授業ですら必要最低限ですませていたし。


「あら、どうやらソウタ様と水様が直接現場確認に行くみたいですわね」


サマンサに言われてモニターを見ると、どうやらソウタと水が現場の様子を窺うために移動しているようだ。


「……ん。妥当な人選。ここでユキが行くとか言い出したら連絡して止める」

「それは当然ですわね」


ユキは何かと無茶をすることがあるから、今回の件もどうなるか心配だった。

でも、ソウタが行くなら安心。何せ……。


「宮司様に水の神様ですもの」

「ん。幽霊に対してこれ以上心強い物はない」


幽霊や妖怪に対しての専門家。

ある意味秋天に任せるよりも確実。


「しかし、改めて見てみても不思議ですわね。なんで5番モニターだけに映っているのでしょうか?」

「確かに不思議」


何度見ても5番モニターだけで、反対側から撮ってる6番モニターには何も映ってはいない。

なぜ5番モニターだけに映っていたのか。

と、そんなことを考えていると、どうやらソウタが現場に到着したようで、調べていると教室にいたカグラたちが気が付いたようで、ユキに抗議をいれて、そこでまた秋天の話があがったけど、カグラたちが全員反対。


「ん。当然。秋天を連れていくなんてありえない」

「ですわね。これで秋天にお願いとか言い出したら、ちょっと考えないといけませんわ」

「考えるまでもない。子供を危険にさらすような親は即刻お説教」


まあ、カグラたちも秋天を大事に思っているようで何より。


「と、それより、5番と6番モニターの確認をお願いしてはどうでしょうか?」

「ん。いい考え。ユキ聞こえる?」

『ああ、クリーナも見てたのか』


私の声にすぐ答えてくれるユキ。

流石、私の夫だ。

と思っていると、意外な人も反応する。


『ん? この声は、クリーナ殿か?』

「そう、ユーピア皇帝。私はお家から」

『おおなるほど。確かに映像通信であれば可能じゃの。ユキ殿、クリーナ殿の顔は見れるか?』

『ああ。こっちに映像を回そう』


ユキがそういうと、こちらの映像も監視室のモニターにつながったのかみんなの顔が見える。


「みんな元気そうで何より」

「ええ。ですが、無茶だけはしないでください」

『そっちも無理しないような。そういえばリーアとジェシカは?』

「2人ともお昼寝。秋天と一緒」

「どうやら、こちらのモニターを見て何かに気が付いてしまったようで。そのまま、一緒に見ていると問題がありそうだったので二人にお任せいたしましたわ」

『ほう。秋天ちゃんにも見えたのか。いや、見えても不思議はないが。やはり、ポープリ殿を除くと気付く又は見えるのは霊感とやらが高いのが条件のようだね』

「ん。タイゾウの言う通りその可能性は高そうだけど、カグラたちも言うように絶対秋天をそちらにつれていくことはない」


私はとりあえず釘を刺しておく。

すると、ユーピア皇帝がうんうんと頷きながらこちらに話しかけてくる。


『子供をこのようなところに連れてきたらワシも叱るから心配はいらぬ。しかし、クリーナ殿もサマンサ殿もおなかの子はいかがかな?』

「ん。順調に育っている。そして予定日は今月」

「はい。すくすくと育っていますわ」

『それはよかった』

『はい。何よりです』


実は、ユーピア皇帝、ショーウと私たち妊娠組は面識がある。

ウィードに来た時に直接挨拶したのだ。

ユキから私たち妊娠しているメンバーがいると聞いて、わざわざあいさつに来てくれたのだ。


「それで気になったことだけど。なんで5番モニターだけにあの姿が映ったんだろう? 何か特別な仕掛けをしてあった?」

『いや、それはない。全部同じ機材だ。条件は同じで監視をしていた。まあ、設置の際に何かをしていたかもしれないが……』

「ユキ様がカメラや機材に何もしていないとなれば、残るはカメラを設置した人たちぐらいしかないですわね。設置した方たちはそちらにいるのですか?」


サマンサがそう聞くとなぜか気まずそうに手を上げるユーピア皇帝。


『……今回カメラの設置の指揮を執ったのはワシじゃ。とはいえ実際には何もしておらん。すまぬ』

『ですね、私も同じで名ばかりの指揮官でした。カメラなどの扱い方がわからず、結局アスリン様たちに任せることに』

「ん、わからなくて当然。カメラを渡されたばかりで使いこなせるわけがない」

「ですわね。そこは気になさらなくていいですわ。しかし、そうなると5番カメラを設置したのはアスリンたちの誰かということですわね。で、アスリンたちは今日は学府ですの?」

『いや、アスリンたちは今日はウィードの方にいるはずだ。まさか昨日の今日で結果が出るとは思ってないしな。ぐっすり家で寝てるはずだ』


と、ユキが応えたら、その直後思わぬ事実が明らかになった。


『5番カメラなら私が設置したよ。昨日はユーピアやショーウ殿と一緒に設置に向かっていたからね』

「学長が5番カメラを?」

「学長はカメラのセッティングができたのですか?」

『一応ね。そもそもサマンサの実家と協力してカメラの生産に力を入れているのはこの学府だからね。その私が扱えないのは問題だろう』


あ、確かに。そういわれるとそうだ。

そして、この話を聞いていたソウタから連絡が来る。


『面白い話をしていますね。なるほど。5番カメラの違う点は、ポープリ学長が触れたことで、それで映ったんでしょうな』

『うむ。その可能性が高いな』

「どういうことでしょうか?」

『今回の5番カメラだけに映った幽霊ですか、そもそもポープリさんにしか見えていません。つまり何かしらポープリ学長に『縁』があり、幽霊はその『縁』で見えるように波長を合わせている可能性があります』

『波長。まあ、霊力というか魔力というべきか。設置した際にポープリの魔力がおそらくカメラのレンズにも残っていたのだろうな。だからこそ、この5番カメラを通してポープリは認識できた可能性がある』


なるほど。確かに言っていることは分かる。


「でも、それを証明するにはどうするつもり?」

『なに。別に難しいことはありません。今の所この廊下には私たちも何も感じませんので、また夜を待つことになりますが、その前に仕込みをしてしまえばいいんですよ』

『うむ。ポープリ殿にここに設置しているカメラのレンズに触ってもらおう。それではっきり映る可能性がある』


ふむふむ。そうか、ポープリの『何か』に反応しているなら、カメラに触ってもらえば今夜はさらにはっきり映る可能性があるということ。


「それは、私たちも今日は夜更かし?」

「いえ、寝た方がいいと思いますわ」

『うん。ちゃんと休んでくれ』


残念。私たちは結果を待つだけになりそう。



5番カメラの違いはポープリが触っているかどうか。

つまりポープリが触れば幽霊が映る?


それともほかに原因があるのか?


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