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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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1325/2208

落とし穴番外:男たちのロマン

男たちのロマン



Side:ユキ



「……さてと」


俺はそう言いながらおもむろに座椅子から立ち上がる。


「もうすぐ約束の時間だな」


時刻はまもなく9時になる。

普段なら仕事を始めているころだ。

だが、今日の俺はそんなことをせずのんびりしている。

理由は簡単。ただの休みだ。

為政者に休みなしなんて極悪非道なことを言うところもあるが、ウィードではちゃんと休みを取っている。

そりゃ色々トラブルがあって休めないことも多々あるけど、ちゃんとその分は後日休みを取っている。

それが今日というわけだ。

しかも今日はただの休みではない。なぜなら……。


ぴんぽーん


そんなチャイムの音が響く。


「お、来たな」


俺はそういいながら玄関に彼らを迎えに行く。


「いらっしゃい」


そう言って玄関のドアを開けるとそこには……。


「どもユキさん」

「やあユキ君来たよ」

「どうも」


タイキ君、タイゾウさん、そしてザーギスが立っていた。

そう、今日はただの休みではなく男の集まりの日だ。

なので、嫁さんの護衛もいないというわけだ。


「とりあえず状況確認をしたいから上がってくれ」


俺はそう言って3人を自室へと案内して、お茶を出す。


「今更ですけど、ユキさんに護衛の奥さんがいないとか駄目じゃないんですか?」

「確かにな。というより、彼女たちが全員揃ってユキ君のそばを離れるということ自体がなかなか驚きだ」

「ですね。一体何を吹き込んだんですか?」

「別に不思議なことじゃないですよ。俺の護衛の代わりは3人がするってことになっているからな。そして今日は嫁さん全員外せない用事があったからな」


休日であろうが、本来であれば俺が一人で部屋にいるとかありえないのだ。

常にだれか嫁さんが護衛としていることが当たり前。

だが、今日に限っては、どうしてもみんなが忙しくて護衛がいないと言う状態になったわけだ。

その代わりとしてタイキ君たちを呼ぶことで事なきを得ている。


「あー、いつものゲーム三昧と思われたんですかね」

「なるほど。そうだな。いつもの私たちならそうだろう」

「とはいえ、今回は違うんですよね?」

「そうだ。で、みんな身分証はちゃんと持ってきたか?」


俺がそう聞くと全員が頷いて身分証を取り出す。

しかし、それには本人たちの見知った名前は書かれていない。

俺の身分証には、アキ。

タイキ君の身分証には、フユ。

タイゾウさんの身分証は、ナツ。

ザーギスの身分証は、ハルと書いてある。


うん、見事な偽造身分証である。


「足はついてないな?」

「ええ。ちゃんと裏ルートで手に入れましたよ」

「こんなもの大っぴらに手にいれれば上から連絡が行くからな。こればかりは仕方がない」

「……はぁ、私が一番怒られそうなんですが、ちゃんとフォローしてくださいよ」

「わかってるって。じゃ、行くか」

「「「おう」」」


ということで、俺たちは偽の身分証をもって町へ繰り出す。

もちろんただご飯を食べに行くわけではない。

俺たちが今回行くのは……。



「いらっしゃい」


俺たちをそう言って出迎えてくれたのは、カウンターに座る不愛想なおっさん。

ここは冒険者区に存在する、武具を扱う個人のお店だ。

まあ、ありていに言えば武具店といえばいいだろう。

俺たちRPGが好きな者たちにとってはあこがれの場所だといっていいだろう。


「おっちゃん。触ってみてもいいか?」

「おう。武具ってのは命を預けるからな。ちゃんとみな。ショウケースの物は俺に声をかけてくれ」

「ありがとう」


意外と返事はしっかりしているな。

まあ、こういう職人に飲食店レベルの接客なんか期待するのは違うか。

というか、そういうノリで「武器はいかがいたしましょうか?」って聞かれても答えにくい。

そんなことを考えつつ、俺たちは店内にある武具を確認していく。


「おー、これってショートソードか?」


俺が手に取ったのは剣というには短く、ナイフというには長い剣だ。


「ですね。ショートソードです。攻撃力の低い武器ってことでRPGじゃ定番ですけど、現実じゃ意外とそうでもないんですよ」

「確かにな。まともに振り回せない武器を持っても攻撃はできないしな」


そう、手に取った感覚は刃物としては問題なく、あとはこの武器を十分に振るえるかが大事だ。

逆に振るえないロングソードやバスタードソードなんか持っても宝の持ち腐れになるということだ。

だから、RPGでいう攻撃力の高い武器が常に強い武器とは限らない。


「そうだな。その通りだ。威力が落ちる。まあダークソウ〇がよく再現しているだろう」

「ですねー。あれは特定のステータスがないと武器を振るってもダメージが半減していますから」


このメンバー全員ゲームの話が通じるっていうのも面白いよなぁ。

とはいえ、あまりずっと眺めているわけにもいかない。


「さて、楽しんでいるところ悪いけど、時間は有限、予算は決まっているから、その中で選んでいこう」

「ですね。あ、でも編成を考えて武器選ばないとまずくないですか?」

「確かにな。そこは本人たちの希望もあるだろうが、どうする?」

「そうですね。私としてはいつも後衛の魔術師なんで、たまには前衛の剣士をやってみたいですね」


おっと、意外なことに率先してザーギスが前衛をやりたいといってきた。

いやぁ、てっきりこいつは楽をしたいので魔術師かとおもったが。


「なら、私も今日は研究者は休みで前衛の剣士だな」


ピタッ。


そのタイゾウさんの言葉に俺たち3人は硬直する。

思わず出掛かった言葉を流石にそのまま口に出すほど失礼ではない。

とはいえ、ずっと固まっているわけにもいかないし、そういえば示現流の使い手で勇者であるタイキ君を制する腕前だったのを思い出し、即座に動き出して物色を引き続き行う。


「じゃ、タイゾウさんとザーギスが前衛って、ザーギス本当にいいのか?」

「ええ。大丈夫ですよ。一応タイゾウさんとは違う武器ということで、私は槍を持ちましょう。まあ護身用にショートソードは持ちますが」


ザーギスはそう言いながらタイゾウさんが持っているロングソードに目をやる。

まあ、タイゾウさんがロングソードなら槍を持った方がリーチ的にもいいだろうな。


「じゃ、俺は後方から弓で攻撃って所ですかね?」

「お、タイキ君って弓扱えたのか?」

「ええ。色々やらないといけない時もありましたから、まあ初心者よりは的に当てられるってレベルですけど」

「それでもましだよ。じゃ、俺は魔術師でクロスボウでも持つか」

「それがいいかもしれないですね。でも魔術師なら杖を持たなくていいんですか?」

「あー、そういえば普通の魔術師って杖持ってるな。確かブースターだったか」

「ええ。杖は魔術を強化、効率化してくれるものですからね。初心者には必須ですよ。こちらなんてどうです?」


ザーギスはそう言って、杖を渡してくる。

どこからどう見ても少し持ち手が大きくごつい杖で、とても魔術用には見えない代物だ。これってホントは殴打武器じゃないのか?


「これで使えるのか?」

「ええ。立派に使えますよ。普通の木よりも魔術になじんでいますから、魔力強化もしやすいですし、魔術を打つのも早いです。まあ、私たちにとっては誤差の範囲ではありますが」

「いや、一応スペックは周りに合わせて落としているからな。じゃこれにするか」


という感じで、みんなでワイワイとしながら装備品を選び、あたかも新米冒険者みたいな装いになったことをお互い確認しあって、いよいよ今日一番の難関へと向かう。

その場所の名を冒険者ギルドという。


わいわいがやがや……。


いつものように盛況なようだ。

ウィードの冒険者ギルドは基本的にダンジョン攻略に主軸を置いている。

まあ、せっかくダンジョンがあるんだからそれを利用しない手はないからな。

そのダンジョンからとれる物資をギルドが買い取っているというわけだ。

というか、このウィードで対処が必要な魔物が出る場所は立ち入り禁止区域であり、普通にウィードの人々が住む地域にいる魔物たちは人を襲わないので、退治する意味がないのだ。


「よし、ここからはうかつなことや無駄口は一切しないで一直線に受付にいく。みんな静かに、質問されたことは単語で返すこと」

「「「了解」」」


俺たちは息をひそめながら静かに、迅速に受付へと向かう。

時間にすれば10秒とかからないところだが、受付の女性がこちらを認識するのに緊張し、気が付かれないかと思いひやひやしながら前へと進み、受付カウンターへとたどり着く。


「いらっしゃいませ。お仕事のご依頼には見えませんね。お仕事をお探しですか?」

「はい。今日から冒険者として働こうと思いまして」


そう、俺たちは今回、新人の冒険者になるという目的でここにやってきたのだ。

そして俺たちが目指しているのは、ダンジョンの探検。

誰もが夢見る冒険譚。


そう、俺らは未踏破の洞窟に挑み、お宝を手にするんだ。


いや、ギルドが最深部まで確認している上に、宝もおいてあるって時点でちっとも未踏破じゃねえじゃん。っていうのそっちに置いといて。

そもそもこのダンジョン自体俺たちが作ったし。

と、そこはいいとして、そのロマンを実現するためにここにいるんだ。


「なるほど。では新人さんですね。それならまず冒険者としての勉強などを学校のほうで……」

「いえ、そちらは卒業していまして」


俺は受付の女性の言葉を遮り、モーブに作らせた冒険者のカリキュラムレベルは修了しているって推薦状を出した。

いやぁ、学業でそういうのが免除できるようにしておいてよかったと思える。

何せ、通常ギルドでは新人登録に当たって試験があって、筆記テストはいいが、実技は流石にまずい。

体のスペックは落としているとはいえ、普通の新人とみられるか怪しい。

ここで下手に大型新人なんて言われて注目を集めようものなら、速攻で嫁さんたちにばれる。

それだけは絶対に避けたいからこその、これら偽造した書類だ。


「ああ、なるほど。モーブさんの推薦ですね。では、少々お待ちください」


そう言って受付の女性は奥へと消えていく、無事冒険者カードの準備に行ったんだろう。


「上手くいきましたね」

「ああ、ちゃんとギルドのシフトを見てあまり面識のないメンバーばかりの日を選んだからな。とはいえ、突発的なシフト替えがないわけでもないから、いやぁ予定通りでよかった」

「しかし、ユキ君。スペックを落とすのはいいが、姿を変えないのはどうしてなんだい? まあフードをかぶっているから気づかれにくいとは思うが」

「タイゾウさん、それは冒険するにあたって自分と違う体は意外と使いにくいからですよ。新しいドッペルのたびに慣らすのもそれなりに大変ですし……」

「なるほど。そういうことで同じ姿のドッペルで来ているというわけか」

「ダンジョンに入るまでの辛抱ですよタイゾウさん」

「と、受付嬢が戻ってきたみたいですよ」


ザーギスに言われてカウンタ-の方を見てみると、確かに俺たちの対応をしてくれていたお姉さんが冒険者カードを乗せたトレイをこちらにもってきている。


「お待たせいたしました。では、こちらが皆様の冒険者カードとなっております。紛失のさいには……」


と基本的は説明があり。


「では、皆さんが一緒に受けられるのは、初級ダンジョンの踏破クエストですね。初級とはいえ命を落とす人がいないわけでもありません。危険と感じたら逃げることも忘れないでください」


そう言われた俺たちは無事にクエストを受け……。


「よし。冒険に行くぞ!」

「はい!」

「いいな。こういうのはわくわくするな」

「ええ。いいですね」


こうして男4人はこっそり冒険へと向かうのであった。



ここで息抜き。

男たちは男たちだけで冒険へと飛び出す。


異世界に来たら一度は経験したいよね。

冒険者!


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― 新着の感想 ―
[一言] そもそもダンジョンマスターが居る時点で、自分のモンスターが襲ってくるのか?
[一言] 腰蓑着けた何処かで見たようなゴブリンが出てきて、 旦那ぁ、ここでなにやってんスか? 等とくれば大喜びなのだが…… チラッ?
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