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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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1303/2206

第1098堀:名無しの本名

名無しの本名



Side:ユキ



「……えーと、私はなんで首根っこをつかまれて運ばれてるんだろうかねぇ?」

「そりゃ、俺がそういう風にもって運んでいるからだな」


俺は授業に乱入してきた自称学府ナンバー1である、イチの首根っこをつかんで学長室へ向かっている。

いやぁ、噂をすればなんとやらというが、本当に学校っていうのはフラグの名所だな。

自分のことをゴミと名乗るナンバー1位で、現れただけで教師、生徒共に絶句するとか背景がやばすぎるだろう。

ここは何かする前にしっかり確認した方がいいと判断して、本人をつかんで移動しているというわけだ。

まったく、こいつのおかげで授業を抜け出すことになってしまった。


「いや、私としてはどうやって運ばれているかじゃなくて、その理由の方なんだけど……。まあいいか、君って意外と激しいんだね。いや、おとなしいクリーナはいざ知らず、あのサマンサまで手籠めにしたって聞いてるから、これぐらい当たり前なのかな?」

「お前、意外としゃべるな。前回学府に来た時にはさっぱり見なかったのにな」

「だって君たちは実際学府にはそんなに長くいなかっただろう? というかそもそも学長を脅してほぼ授業免除だったじゃないか」

「……確かにそういわれるとそうだな」


うん。あの時はポープリたちを封殺して自由にやるってことになってたな。

何せ魔力枯渇だけじゃなく、おまけの聖剣使いへも含めて対応するための行動とかで、学業のためじゃなく、拠点を作ることを優先してたからな。

今考えると学び舎に対する冒とくだな。

そんなことを考えている間に学長室にたどり着き、問答無用で扉を開けて中に入る。


「ん? 誰だ。部屋に入るときはノックぐらい……って、ユキ殿?」

「どうか致しましたか?」


中にはポープリだけじゃなくララもいたようで、二人そろってこちらを見て目を丸くしている。

何が何だかわからないようだったので、俺は首根っこをつかんでいたイチをポープリたちに見えるように前へと差し出した。


「こんなのが現れて授業の邪魔してきてな。みんな唖然としていたから席を外して来たたわけだ」

「お、1位じゃないか」

「ポープリもそう呼ぶってことは、真面目に名乗れない理由があるってことか」

「あはは、私が嘘や冗談で自分のことをゴミなんて名乗るわけないさ。ちゃんと名乗れない理由があるんだよ」


なるほど、冗談で言っていないというのは分かった。

だが……。


「そんな奴がわざわざ授業中に来るか?」

「そうでもしないと、君たちは捕まらないからね。以前にも接触しようとおもっていたら、いつの間にか他国にいってたし。こりゃ空いている時間を見計らっていては捕まらないと思ったんだよ」

「それだけ俺たちと話したかったわけか」

「いや、私が話したかったのはユキだけさ。ほかの奥さんたちに話しても要求を通すのは面倒だったから。だってユキがウィードの代表者なんでしょう?」

「まあ、ウィードの代表なのは間違いないな。で、わざわざ授業中なのを調べてまで俺と話したかった理由を聞こうじゃないかといいたいが……。まずは、名前だ。なんでそんなに隠蔽することになっている?」


そう、そもそも名前すら名乗れないっていう時点で厄介ごとの匂いしかしない。

第一、名前すら名乗れないってどういうことだよ?

まあ、大体想像はできるが、どういう経緯なのかはちゃんと聞いておかないとトラブルのもとだからな。

迂闊に憶測で話を進めるわけにはいかない。

ということで、首根っこをつかんでいたイチをポープリ側にあるソファーに座らせ、俺と嫁さんが対面に座り、さあ話せという態勢を整える。


「ん? ちょっと待ってくれ。話を聞くに、1位が自ら会いに行ったってわけか?」

「そうだよ。いい加減、私も命が危ないと思ったから」

「へっ、いのちが危ない? いのちって命か?」

「そうだよ。落とすと死んじゃうほうのだよ。で、この子の本名は……、まあユキ殿ならいいか。というか聞くと引き返せないけどそれでいいのかい?」

「おいっ、引き返せないってどういうレベルだよ」

「この1位の子は今ここ、この学府での立場しかないのさ」

「あはは……」


本人はただ壊れたように乾いた笑いをするだけ。

……直感的にやばそうだと感じる。

さっきから会話をしているが、どこか的を射ていない。中身がないというか、本人の意思が感じられないというか……。

まあ、乗りかかった船だ。


「直接俺に訴えるってことはしたんだ。俺にできる限りのことはしよう。というか、クリーナ、サマンサを押さえて第1位とか人材としては申し分なさそうだしな。だがそれって、普通ならどこかの国が欲しがると思うが……。アーデスが言っていた国元では厄介者っていうやつか?」

「……そういう噂はやっぱり出ているんだね」

「……あはっ、あはっあはは」

「1位。落ち着いてください。大丈夫ですよ。大丈夫」


俺はただ小耳に挟んだ噂を言っただけだが、どうやら当たりのようで学長は纏めて苦虫をかみつぶしたような顔になり、イチに至ってはさらにまずい笑い方になって、それをララが抱きしめて落ち着かせているところだ。

そのあまりに異様な様子を見せられて、流石に嫁さんたちも異常性を感じたようで……。


「ポープリ学長。彼女はどういった経緯で?」

「まあ、ちょっと色々あってね。でも、ユキ殿が助けてくれるって言うのだからもう大丈夫だろう。というか、私としても、ユキ殿に助けてもらうのが一番だと思う」

「それはどういうことでしょうか? ユキ様に助けてもらうのが一番というのは、その通りです。ユキ様以上に何かを守るための手段を持っている方はいません。ですが、何も事情を聞かないうちに保護するわけにもいきません。それはランサー魔術学府を運営するポープリ学長は十分お判りのはずですが」


もったいぶってないでさっさと話せと迫るカグラとスタシア。

そして、同じように顔を険しくしてプレッシャーを掛けようとしているミコスとエノラ。

まあ、いい加減話せっていうのは分かる。


「そうだね。まぁ、話さないと始まらないが……。1位。話すけどいいかい?」

「あ、うん。いいよ。もとより、私から話すつもりだったし」

「とりあえず、君が自ら動いたということは、喜ぶべきことなんだろうね」

「とりあえずはいらない。私はユキに可能性を見た」


……マズイな。なんか、重い話になってないか?

俺は魔力枯渇現象をどうにかするという大仕事だけじゃなく、大陸間交流に参加している各国間の調整とかもやっているんだよ?

それに加えてさらに色々厄介ごとを抱えるとか嫌なんですが……とはいえ、これを断るわけにもいかないよなー。

できる限りって言っちまったし、ポープリも協力者には違いない。

問題があるなら解決のために手を貸すのが当然か。

でも、でもだ。

なるべくそこまで厄介なことじゃありませんように。


「さぁて、どこから話したものか。ああ、ユキ殿がかかわっているところから話した方がいいかな?」

「えっ、俺がかかわっている? え、そのイチって以前あったことあったか?」

「いや、私とユキはあったことないよ」

「だよなー」


こんな根暗でインパクトのあるやつとあって忘れているとか、まずありえない。

しかしだ。よくよく見てみれば、髪の毛は伸ばし放題のボサボサ。どう見ても貞子なのだが、髪の色はなぜかきれいなピンクなので恐怖は半減で冗談という感じになっている。

というか、ラッツとリリーシュもピンクだし、一体なんでピンクなんて色になるんだ?

マジで魔力枯渇現象よりも、この世界の髪の色がどうして決まるのかを探りたいほどだ。

って、ちがう。

今はイチの話だ。


「俺が直接知らないってことは、誰かの関係者ってことか?」

「そうだよ。彼女はエナーリア聖国の出身で、ノク大臣の……その、愛妾の子供なんだよ」

「愛妾ね。ということは後継者ではないってことか。それでも魔術学府に来ているってことはそれだけ目をかけられているってことだろう?」


愛妾というと、日本ではイメージが悪いが、こっちじゃ偉い人には正室という奥さん以外の女性とも関係をもって子供を産ませているってのは多々ある。

日本と決定的に違うのは、それを国として認めていることだ。

なにせ、衛生管理という概念がないからな。

新生児の生存率は著しく低い。

ウィードができてからそのあたりも改善しつつはあるが、まだまだ世界中に行き届いてはいない。

だから、貴族などは跡取りの予備として愛妾を迎え入れて子供作る。

たとえ予備としては必要なくなっても、その正規の跡取りの部下、相談役とかになることも多々ある。

何より、女性側にとってもいいことなんだよな。

貴族の愛妾となるのは、それだけ生活の安定につながる。

お金に護衛に教育って感じで、生きることが最優先なこの世界では愛妾というのは狙うべき立場ってことだ。


……ま、頭じゃわかってはいるが、実際それを受け入れられるかというのは別だが。

俺も散々悩んだからな。


その愛妾の子供がこのイチってことだが、学府でちゃんと教育も受けているくらいだから、別に立場は悪くないはずだが?


「はぁ、ま、知らなくて当然だね。なによりこの場には、エナーリアにいたメンバーは一切いないようだし」

「ん? ああ、エナーリアに行ったメンバーはここにはいないな。何せ新大陸のメンバーとコメットだしな。ん? いや、コメットは行ったというか、居たことがあるな」


と、普通にそう返したんだが、ポープリは苦笑いをしながら首を横に振る。


「違うよ。訪問したことがあるメンバーがというんじゃないんだ。文字通り、あの時のエナーリアに、魔物襲撃事件があったときにいたメンバーってことだよ」

「エナーリアの襲撃事件? ってあれっておい」

「「……」」


ポープリたちは沈黙を守り、ただこちらをにらんでいる。

あ、そうか、イチは関係者じゃないから聖剣使いが起こしたことをしらないしな。

なるほど、彼女はあの時の被害者の子だったのか。

ん? でも、それなら彼女がゴミになる理由はないな。

何せ、学府の中で文字通りトップの生徒だ。誇りはしても……あ、正室の子よりも才能が豊かなのは問題か。

そう推測したのだが、ポープリはやれやれって顔になっていて。


「あの時の被害者っていうわけじゃないんだよ」

「はい? じゃあ、どういう関係だ?」

「ノク大臣って名前で思い出せないのかい?」

「ノク? ノク? ……ああ、あの時の魔物を召喚した大臣か。って、その子供か……」


ようやく話が読めた。

というか、そんな名前、すっかり忘れていた。

ありゃ他国のお裁きだったしな。俺が口を出すわけにもいかないし、あの大臣のやったことはそそのかされたとはいえ、アホの所業だしな。


「そう。彼女はエナーリアの元大臣であり、国家転覆を企てた大逆の咎人である、ノク・ノンフォードの愛妾の娘であり、ノンフォード家最後の者。名をナイルア・ノンフォード」

「もう、その名を名乗ることは二度とできないけどね……」

「名乗れないってことは、エナーリアでは……」

「ああ、一族郎党処刑だ。当然だね。やったことがあまりに大きすぎる。それで唯一残ったのが、彼女さ。先に情報が来てね、彼女にまで手が回るのは何とか防いだ。幸いなことに、変わりものが多いシングルナンバーだったからね。交友関係が少ないことが幸いしたよ」

「ぐふっ」


あ、ポープリが言葉の刃で傷つけている。

ま、それはいいとして、この案件はつまりだ。


俺も関わっているということに間違いはないわけだ。


さて、どうしたものか。



ということで、ゴミちゃんこと、イチちゃんの正体はエナーリアのクソ大臣の娘でした。

みんな覚えているかな? あのエナーリアでの出来事を。


正直に言おう、雪だるまはあまり覚えていない。

だから読み直した。


というかこういう繋がりが楽しいよね。


そして、ちょっと問題があるのでご報告を。

今日の投稿は前日に行うんですが、ここ二日ほど18時で間違っておりました。

ブログの更新時間と混ざってたみたい。


で、本命。今日の投稿準備を行う前の話なんですが、体調を崩して、というかメニエール病みたいなのにかかってパソコン見れない、気持ち悪くて、吐くというコンボをもらいました。

一応病院には行って脳内出血の可能性はないといわれたので一安心ですが、投稿が数日ない可能性もありますので、楽しみにしている皆様に先にご報告でした。


とはいえ、ストックはあと2話ぐらいあるから残ってい内は投稿します。


では、みんな体に気を付けてー。

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― 新着の感想 ―
[一言] 全く覚えてなかったわ… 墓の下大臣… は違うな…
[一言] >さて、どうしたものか。 奥さんが増えるよ!やったねユキさん! でいいのでは?w 奥さんになれば恩赦で助命もあるでしょうし 最悪、名前変えてウィードで暮らす? まぁ学園じゃ守りきれないって…
[一言] ノク大臣ね、覚えてたよ、名前は! それはともあれ無理せずお大事になさってください。
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