第103掘:ウィード
ウィード
side:セラリア
『さあ、ダンジョンにお住いの皆さま方。ついにこの日がやってまいりました』
現在ダンジョン全域に放送が流れている。
どこかのマッドサイエンティストとユキが結託して、魔法で拡声器の再現をしたらしい。
あの自称四天王はこんな風に最近は活躍している。
でか乳の方は農業を普通にしてる。
その乳しぼってやろうかしら?
と、変な方向に意識がいっちゃったけど、あれからガルツのダンジョン設置は滞りなく終わり。
物流も流れ始め、ダンジョンの経済は今まで類を見ないほどの活性化している。
そして、リテアからの難民も最後の人が来てから3か月余り。
私達がダンジョンに戻ってきて1か月がたち、難民の人たちが慣れて来たころ、ついにこのダンジョンが産声を上げる日が来たのだ。
この日の為に、ガルツの王族、リテアの重鎮、……身内のロシュール一派。
3国をここに集めることに成功した。
会議、いや雑談会も終わり。
いや、お互いの交易はじっくり話し合ってね、私がいないところで。
『本日はこのダンジョンの領主であるセラリア様の御意向により、いえ、今は亡きエルジュ様のご遺志を形にする日が来ました。お仕事でお忙しい方もいらっしゃると思いますが、どうかこの放送を聞いていてください』
「ほー、この放送とかいったか、素晴らしいな」
「そうですね。リテアにも是非ほしいです」
「なんじゃ、ロシュール王は知らんかったのか?」
「しゃーないだろう。娘になー……」
「なんだ、まだ嫌われとるのか」
「……うーん、私が歳も近いですし、なんとか言ってみましょうか?」
「おおっ、ありがたい!! 最近尚の事セラリアが厳しくてのう」
「お前のそこが悪いと思うのだがな。娘は色々あるからな、下手にしつこくしても嫌われるぞ?」
ガルツ王が正解にちかいわね。
アルシュテールはあとで折檻。
クソ親父はスルー。
と、こんな風に庁舎の中で書類を確認し、茶を飲み、お菓子を食べながらのんびりしている3か国のトップ共。
「そっちはどうかしら?」
「こっちも大変ですよ、アーリア様」
「でも、こうやって話せるなんてね」
「そうですね」
アーリア姉さまとガルツのティーク王子とシャール王女が仲良く歓談……。
「で、あの件はこの額で……」
「もうちょっと、どうにかなりませんか?」
「ええ、こっちもあそこを譲歩してますし」
あ、こっちは戦争してるわ。
どっちも跡継ぎだし、こういうところで慣らしてるのかしら?
『改めまして、この放送は商業代表ラッツと、庁舎会計のエリスでお送りします』
最初は新人にやってもらおうと思ってたんだけど、流石にこの技術はすごすぎて、新人が慣れるまでに時間がかかるから、私達の誰かということになったの。
で、決まったのがこの二人。
うん、完全に適材適所だと思うわ。
その二人は現在目の前の放送室で台本を読みながら喋っている。
夫は横でサポート。
……不満ではあるけど、私が放送しろって言われてもアレだから我慢しましょう。
『さて、改めまして、本日このダンジョン町の名前が決定いたします』
『現在このダンジョンに住んでいる1万2423人。全員の投票を得られました。まずはお忙しい中、投票に来ていただいた事を、感謝いたします』
『今回初めての投票ということで緊張したかもしれませんが、これからどんどん投票の機会が増えていきます。私が今務めている商業代表ですが、これも一年後には任期が終わり、皆さんの中から代表を選んでいく形となります』
『無論、いきなり全部を任せては混乱すると思いますので、私達はサポートという形で残りはしますが、これが自分達で町を運営していく形になります。エルジュ様が願った民による民の為の政治なのです』
因みに、エルジュは変装してこの場にいるが、自分がやり玉に挙げられて悶えている。
仕方ないわよね、自分が望んでいたことではあるけど、ユキが本来受けるはずの栄誉や名声を全部受けている。
しかも死んだ状態で。
もう悶えるしかないわよね。
『ではでは、開票!! と、行きたいのですが、ある方達が来られています』
『はい。皆さんもご存知かと思いますが、ロシュール、リテア、ガルツの3国の王、聖女様が現在このダンジョンにいらしています』
グランドマスターもいるのだけど、流石にこの場にはならべないので、のんびりしている。
『そのお三方より、名前の発表、及び、ある宣言をしていただきます。皆さま心してお聞きください』
そして、夫が3トップにコイコイとする。
うん、流石。
大物が相手でも関係ないわね。
いや、この場で一番の大物は私の夫なんだけどね。
そして、3トップの挨拶がおわる。
『では、いよいよ。発表です!!』
クソ親父に投票結果の紙が渡される。
『では、発表する。得票数8301にて『ウィード』。これがこの町の名前だ!!』
そう発表すると、周りが慌ただしくなる。
いや、歓声か。
だがまだまだ、これからが本番だ。
『そして、このウィードの生まれを祝って……このウィードを独立国家と認めることを宣言する!!』
『リテアの聖女。アルシュテールがロシュール王の宣言を支持いたします!!』
『ガルツが王。ロックステンもロシュール王の支持をする!!』
その宣言に辺りが静かになる。
どういう事だ? と混乱しているだろう。
さあ、クソ親父、夫が貴方の支持向上の為に、セリフ用意したのだからちゃんといいなさい。
『皆の者!! エルジュの願いを叶える為に…否!! 自らその道を切り開くために立ち上がった事嬉しく思う!! もはやこの町の民は我の手から巣立っている。皆、自分の手でもっと良き町にしてくれ!! セラリア頼むぞ!!』
『この国の暫定国王のセラリアです。ですが、皆さんも知っての通り、この玉座は皆さんあっての物です。そしてこれからも、皆で守っていきましょう。そして、より良き未来を!! 皆手を貸してください!!』
「「「うぉぉおおぉおぉおお……」」」
ダンジョンが歓声で揺れている。
『さあ、そういう事です。このダンジョン…ウィードは独立国家となりました……』
『それを祝って、呑んで騒げ!! あ、でもケンカとかダメですからね? あと、商売人ども、稼ぎ時だ!! ぬかるんじゃねーですよ!!』
『『祭りだ!!』』
そして、BGMを流して放送は休憩となる。
「うっし、みんなお疲れさん」
そういうユキはとっても嬉しそうだった。
貴方のその顔を見れただけで、私は満足かも。
さあ、屋台でも見て回ろうかしら?
少し話を飛ばしました。
まあ、細々した小話ばかりなので、希望があれば後日落とし穴で。
さて、街の名前「ウィード」ですが「雑草」という意味です。
これからは、ウィードを舞台に馬鹿がやってきますよ?




