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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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落とし穴156堀:こちらもメンバー集め

こちらもメンバー集め



Side:コメット



「ほほう!! 空とな!!」

「……そーですよ」


私の目の前にはなぜかめんどくせーという顔をしたザーギスが座っている。

ただ内容を詳しく教えろと言っただけなんだけどね?


「そんな面白いことを、考えているなんて!! 素晴らしい!!」

「やはり、参加しますか」

「当然!! 航空力学という、地球の叡智を使った方法で空を飛ぶ道具を自ら作り上げる! これが技術者、研究者にとってどれだけすごいことか、ザーギス! 君ともあろうものが分からないわけないだろう!!」


そう、これは挑戦だ!

魔力に頼らず、己の知力と技術力だけで空を飛んで見せろという、ユキとタイゾウさんからの挑戦!

一か月で飛べるものを作って見せろと!!


「「よっしゃー!! たぎってきた!!」」


と、私と同時に誰かが同じ声を重ねてくる。

まあ、それは当然。

横向くとそこには……。


「やっぱり、ナールジアも参加する?」

「もっちろんですよ! こんな面白いことに参加しないとかありえないです!」


妖精族の長であるナールジアも参加確定。


「私たちが魔力だけのバカではないと見せてあげましょう!」

「だよねー! 確かに、知識、技術力はタイゾウさんたちの地球には及ばない。だけど……」

「学んでないわけではないのです! 同じ条件なら……」

「「私が勝つ!!」」


発する言葉はやはり同じ。


「……ナールジアが相手か。だけど負けないよ?」

「それはこっちのセリフですよ」

「「ふっ」」


私とナールジアはお互いに微笑んで拳を付き合わせる。

お互いに覚悟は決まった後は作るだけだ。


「……はぁ、何やってるんだか。ああ、因みに、仕事は普通にありますからね?」

「「はぁ!?」」

「何を驚いているんですか。働かずに飯が食えるとは思わないでくださいね。さぼったらユキに報告して、飛行ペナルティつけてもらいますよ」

「「……」」


ちっ、この空気を読めない魔族は。

ここは、設計をずっとやっていていいよ。っていえば、ちょっとは見直してやるのに。


「ま、仕事の時間は少なくして、残りの時間を飛行機制作に当てていいって言われていますが」

「「よし!」」


流石、ユキ。よくわかっているじゃないか!



そして、今日この話をしたときには、仕事にならないだろうということで、即時解散。

自分に割り当てられた、飛行機制作室へとやってきた。


「しかし、悩むところだね……。飛行機を作る。それは簡単だ。これは既に確立している技術だ。それを元に再現するだけでいい」


そう、既に魔力を使わずに、自力で短時間ではあるが滑空して空を飛ぶ技術は確立している。

無論、燃料を使って飛ぶ飛行機は私たちが使う飛行魔術よりも早く、硬く、強いのは存在している。

そのどちらも、完成形ともいうべき、実物が存在しているのだ。

今回のバードマンコンテストで長距離をただ飛ぶだけなら、同じものを用意すればいい。


「だが、それでは面白くない。私たちは後追いしか出来ない技術者とみられるね。それは……」


それは技術者、研究者として恥ずべきことだ。

常に新しいことを見つけて、チャレンジしていくのが技術者、研究者だ。

しかしながら、既に飛ぶということに関して、地球の偉人たち、そして現在の研究者たちがこれでもかと、極めていて、それで終わりではなく次を求めて研究している。

それを追い越すことは不可能だ。これは絶対にだ。

数十年研究しているならともかく、たった一か月で、地球の飛行機設計を越えられるわけがない。


なら、私が目指すべきところは……。


「そうか! まずは、自由に作ってみよう! 飛ばすのはその後だ!」


そう、誰も見たことのない設計で飛ばすことだ。

地球の歴史を振り返ればヘンテコな飛行機は数多存在している。

最適化する前に存在した飛行機たちだ。

私もそういうのを目指してみよう。

最適化されたものは確かに機能的で素晴らしいが、そこには芸術性が損なわれている。

どうせというのは、あれだが、ここは個人で飛行機を飛ばすことだ。

最長距離を飛ぶのが目的ではあるが、それだけではない。

発想力も問われるんだ。

私はそこを攻めよう!



こうして、私は自分の設計で面白機体を作りあげていくことになったのだが……。


「さて、機体はできたが、パイロットがいないな」


そう、機体はできた。

材料は、研究所のモノから拝借してきたので全く困らず、加工も私にとっては慣れたものだ。

機体を作るうえでの加工に魔術は禁止されていないからね。

それで素早く試作機を作り上げたのだが、乗る人物がいなかった。


「本来なら私が乗るべきなのだけど……」


どうも元来から、作った物を使うことにはとんと向いていないんだよね。

誰かに使ってもらうことを前提に作っていたからねぇ。

そして、改良する上では、一歩離れて作品を見ることも必要だからね。

さて、そうなるとパイロット候補だけど……。



「ということで、パイロットにならないかい?」

「お断りします」


あれ? なんか断られた気がしたね。

まあ、気のせいだろう。


「ヒフィー。飛行機のパイ……」

「お断りします」

「早いよ!? というか、親友じゃないか!」


なぜか、ヒフィーにパイロットを頼んだら断られた。

意味が分からない。

自力で空を飛ぶという偉業に何も感じないのだろうか?


「何、こいつ信じられない。みたいな顔をしているんですか」

「いや、その通りだし。信じられないね。で、理由は?」

「私はタイゾウさんのために飛びますから」

「納得」

「でしょう」


凄く納得した。

タイゾウさんも参加してたね。

となると、彼女に声がかけられていても不思議じゃない。

というか夫婦だし。


「というか、魔術を使わない飛行機を作るという一点については、私の夫の方が圧倒的に信頼がおけますから」

「くそっ!? 事実過ぎて何も言えない! ちくしょー! 絶対ヒフィーより飛ぶパイロット見つけてやるからな!」


ちくしょー! 女の友情より男かよ! ヒフィーの裏切ものめー!


「……で、私の所に来たと」

「そうなんだよ! ということで、キシュア、空を飛んでみないかい?」

「いや、今までの流れでなんで私が協力すると思うかな」

「え? 協力してくれないのかい!?」


あまりの言葉に私は愕然とする。


「私が拾った恩を忘れてしまったのかい!? バッサリ後ろから斬ったくせに!」

「いや、そういう意味でなんで私に頼めるんだよ。また裏切るとか思わないのかよ」

「いや、それこそ今私を斬る理由もないからね。そもそも精神操作が原因だし、恨んでもないし」


まさか、そんなことで遠慮しているとは思わなかったよ。


「ああ、再会してもなんかよそよそしかったのは……」

「そりゃそうだよ。コメットさんを斬っておいて、今更どんな面をすればいいのか……」

「なるほどね。ま、確かにそういう気持ちもわからないでもないね。道具の実験が失敗して頭が爆発したヒフィーに顔を合わせることは数日できなかったね」

「そりゃ当然だよ! というか、ヒフィーシスターの頭が爆発してた事件ってあんたが犯人かよ! つか、その時顔を合わせられなかったじゃなくて、逃げてただろう!」

「そうだっけ?」


ま、結局捕まってヒフィーに散々怒られたんだけどね。


「と、そういう昔ばなしはいいとして、どうだい手伝ってみないかい? 何なら、サポーターとしてスィーアやニーナ、ディフェスたちベツ剣メンバー集めてもいいよ」

「あー、手伝いたいの山々だけど、ほら。私たちはこの通り、お店の経営をしているわけで。そして、イフ大陸の情勢監視の仕事もあるんだよ」


キシュアはそう言いながら肩をすくめる。


「悪口じゃないが、このお店は別に繁盛しているわけじゃないだろう? ラッツの趣味で建てたおもちゃ屋だし。今はぬいぐるみ専門店みたいになっているけど」


奥には私がいつか作った人形が大事に飾られている。

まったく、嬉しいのやら恥ずかしいのやら。

と、あと一個の理由の方も言及しておこう。


「イフ大陸の情勢監視も確かに必要だろうけど、切羽詰まってないんだろう? こうしてキシュアが店番しているし」

「まあな。とはいえ、どっちも任されているから、ラッツの許可なしに、コメットさんのお願いとはいえ、勝手に店を空けるわけにはいかないんだ」

「むう。キシュアって雑な喋り方する割には細かいよね」

「あんたに言われたくねえよ!?」

「ま、話は分かった。取り敢えずちょっと待って」

「?」


私はそう言いつつ早速コール画面を開いて連絡を取る。


『はいー。なんですか、コメット』

『こちら、ディフェスです。何か御用でしょうか、コメットさん』

「いやー、ちょっとお願いがあってね」

「なぁっ!?」


後ろでキシュアが驚いているけど無視。

簡単な話だ、許可がないなら許可をもらえばいいじゃない。

何せ私はユキのお嫁さんたちと直接話が出来るように連絡先は交換しているからね!

で、早速事情を説明すると……。


『あーあー。あの話ですね。なるほど、キシュアがパイロットになるんですね。全然大丈夫ですよ、シフトの調整しておきましょう』

『私も構いません。当日私も応援にいくから、頑張りなさい。キシュア』

「だー!? 話が勝手にまとまった!? ニーナ! お前がやれよ!?」

「え? 馬鹿じゃない。いやよ。私もスィーアやアルフィンたちと一緒ににぎやかしね」


店のカウンターでレジをしていたニーナがそう言う。

正直、いたの?って言いそうになったけど、こらえた私は偉い。


私はちゃんと空気を読める女なのさ。


「さ! 許可はとった! 存分に練習しようじゃないか! キシュアはベツ剣があるから丈夫だし、無茶もできるからね」

「無茶っていった! コメットさん、ベツ剣必須って時点で駄目だから! ニーナ、マジで助けて!」

「キシュア。ユキがいるから命の心配はない。死んでもヒフィーがいるから大丈夫」

「大丈夫じゃない! 全然大丈夫じゃない!」

「はいはい。一度飛べば楽しくなるから。さあ、無限の空へ飛び出そう! キシュアが!」


私は作る側だし!


「いやぁぁぁぁ!?」

「お、キシュアの女の子みたいな叫び声。レア」

「ニィィィナァァァ!?」


さ、メンバーはそろった。

あとは実験を重ねていって精度を高めるだけだ!


大空よ、まっていろ!



こうしてコメットは仲間を手に入れた!

仲間に加わったではありません。

手に入れたのです!


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― 新着の感想 ―
[一言] コメット号 小説版はともかくアニメ版は…「水滴型」どこが!? 人間1、サイボーグ1、ロボット1、アンドロイド1の四人組のSFの話です。タイゾウさんはエズラ・ガーニー的存在として読んでいます。…
[一言] 後書き賛江 そこは生け贄とか、科学技術の人柱とか、物の言い様がぁ?
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