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必勝ダンジョン運営方法 相手に合わせる理由がない  作者: 雪だるま
大陸間交流へ向けて

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第884堀:現在の新大陸魔力情報

現在の新大陸魔力情報



Side:ユキ



「……大変お見苦しいものをお見せしてしまいました。ここに深く、お詫び申し上げます」


キャリー姫が赤くはれた目を隠そうともせず、堂々と言いながら頭を下げる。

まあ、会議中に泣き出したって言うのは、普通なら失礼に値することだしな。

とはいえ、今回のことでは文句を言うような者はいない。


「何、気になさるな。友人の門出を祝って涙する、いい事ではないか。それだけ良き友人だということだ。妾はこの友を思って涙したこと、何ら咎めるつもりはない」


さらに、今回の婚姻には関係のないエメラルド女王が真っ先に宣言したおかげで、カグラたちが文句を言われる可能性をもつぶした。

そりゃー、先に他国の女王が咎めない、罪、罰無しと言ったのに、たとえ足を引っ張りたいのであろうと、自国の連中が文句を言うようでは狭量と見なされる。

まあ、これを弱みとしてあとで利用しようとする可能性もなくはないが……。


「人情味あふれるキャリー姫にこそ、これからのシーサイフォとの交渉役をお願いしたいものだ。いかがか? ハイデン王?」

「ふむ。シーサイフォの女王がそう望むのであれば構わないが、キャリーを今回のことで脅すようなことはしないでほしい」

「うむ。そのようなことはせぬと誓おう。そもそも彼女がいなければ、ウィードとも出会うことが無かったとも聞き及ぶからのう。むしろ、放逐してくれるのであれば真っ先に吾が保護しようぞ」


キャリー姫自体が欲しいという宣言をするエメラルド女王。

ま、シーサイフォから見れば、カグラと一緒になって俺を、ウィードを呼び出した功績は計り知れないものがあるからな。

一歩間違えれば、国ごと滅んでいたってのはあるが……。


「誰が、かわいい姪っ子をやるか。エメラルドもかわらんな」

「ふん。遊び惚けておったお前が王とは、キャリー姫の苦労が目に浮かぶわ。のう? フィンダール、エノル大司教もそうは思わんか?」

「まあな。とはいえ、今回の問題では私も同じように失敗したからな」

「お恥ずかしながら私もです。まさか身内から狂信者を出すようなことになるとは夢にも思いませんでした。しかし、ハイデン王もエメラルド女王も全く変わっていませんね」

「本当にな。性悪なのはちっとも変わってない」

「はっ。行き当たりばったりなお前よりよほどましじゃ」


なんか、仲の良い知り合いのような感じで話す各国のトップたち。


「もしかしなくても、エメラルド女王とはお知り合いで?」

「ああ、昔馴染みというやつだな」

「ようやく切れたと思ってた縁がこうして復活してしまいうんざりじゃな。あ、ウィードのことや、キャリー姫のことは大いに喜ぶべきことじゃが」

「既に聞いていると思うが、この二人は元々継承権は低かったのでな。昔は共に色々諸国を巡っていたのだ」

「ええ。私のところにもいらしてくれました」

「所謂冒険仲間っていうことですか?」

「そうだ。極めて不本意なことながらな。こいつがいると冒険にならんから、冒険仲間というものになるかは怪しいがな」

「はっ、崖の下にある洞穴へ上から飛び降りる様なことを冒険などとはいわん。自殺というのじゃ」


そう言いながら向かい合ってバシバシと火花を散らしあうハイデン王とシーサイフォ女王。

うん、これは仲がいいんだろうな。

ついでに冒険というワード……。


「思い出話中すいません。俺の方から、その冒険に関してお聞きしていいですか?」

「冒険? おお、ユキ殿も興味があるか! そりゃ、そうだろう。男に生まれたからには、一度は冒険しないとな! 世界をその足で見て歩く! それがいかに素晴らしい事か!」

「あほ。ユキ殿が聞きたいのは、おそらく魔力枯渇現象に関してじゃ。違うか?」

「そうですね、今はエメラルド女王の言うとおり、魔力枯渇現象に関してです」

「そうか……」

「ですが、冒険の過程で気になったことなども併せて聞きたいですから、ハイデン王の冒険譚を聞くことにもなります」

「おお!! そうか!!」


あまりに残念そうにするからそう言うしかないじゃないか。


「ユキ殿。ハイデンのに気を使うことはないぞ」

「まあまあ、魔力枯渇現象の解明につながるかもしれませんし」

「とはいえ、ハイデンの冒険譚なぞ長々と聞いている暇はないぞ。手短に頼む」

「おう、任せておけ」

「「「……」」」


絶対心配だという表情を見せてる俺たちだったが……。


「大丈夫です。陛下のお話がほんの僅かにでも関係ないものに走る様でしたら、私がきちんと修正いたしますので」


そう満面の笑顔でいうキャリー姫という心強い味方がいた。

絶対に無駄話はさせないという感じがひしひしと伝わってくる。


「では、陛下。魔力枯渇現象に関係するお話をさっそくどうぞ」

「あー、んー……」


俺たちでもわかる威圧なんだから、その威圧をもろに受けているハイデン王は完全に挙動不審になっている。

まあ、最初からちゃんと魔力枯渇現象に関係していることを話そうと思っていたのなら、なんら問題ないはずなんだが、やっぱり関係のない冒険譚を語るつもりだったんだろうな。

で、それはみんな察しているのだが、キャリー姫の手前、ハイデン王が口を開くまで静かに待っている。


「陛下。なぜお話にならないんでしょうか? まさか、関係のない冒険譚をするおつもりだったのでしょうか? 御多忙な各国のトップの前で?」


もしそうだったらただじゃおかないわよ? とその目が物語っている前で、そのまま貫き通せるような人物はなかなかいないだろう。

さて、このままハイデン王は情報を出せずにキャリー姫にお仕置きされることになるのか見ものだな。


「ま、まさか! ただどれが一番有益な情報かを考えていただけだ。それだけ数々の冒険をしてきたからな!」

「そうですか、では時間も押しておりますので、今思いつくものの中で構いませんので一番の冒険譚をユキ様たちに聞かせてくださいませ」

「そうじゃな。後で他にも情報になりそうな冒険譚があれば書類にでも纏めて渡せばいいからな。ほれ、何ぞ語ってみよ」


エメラルド女王もにやにやしながらキャリー姫の援護をする。

ほんといい性格しているな。

ま、止める気はないが。情報が出てくるならそれでよし、出てこないなら今後無駄は省かれていくだろうし、俺としてはどっちもいい。

あと、面白いし。

で、逃げ道を完全に塞がれたハイデン王は観念したのか開口一番……。


「ギャグを使えないとなると、普通に考えて、ゴブリンたちが住む村のことだな」

「「「あ」」」


意外そうな声を上げるみんな。

その中にはキャリー姫も含まれている。


「ユキ殿は全く驚かんな。そしてエメラルドの方はすごく不満そうな顔だな」

「まあ、それが有力かなと思っていましたから」

「はっ、キャリー姫にちょっと脅された程度で腑抜けになりおってからに。まったく、肝の小さい奴め」

「ふん。わざわざお前を喜ばせる理由などないというだけだ」

「「ああ!?」」


この2人も、どこかの神様夫婦と同じように、どうも犬猿の仲のようだな。

ま、とはいえ政治とか国を引き合いに出さないだけ、あっちよりよほどましか。


「陛下。時間もございませんので女王陛下との楽しいお戯れはそこまでになさってください。ユキ様への情報提供が最優先です」

「そうだな。私が思いつくのは改めて言うがゴブリンの村だ。確か、ユキ殿の大陸ではゴブリンは魔物だったな?」

「ええ。魔物の分類ですね。まあ、良い悪いはありますが」

「文献などに残る遺跡などのことについてはエノル大司教の方が知っているだろうし、私の方から話した方が良いもので一番可能性があるとするなら、ほかの大陸では魔物と呼ばれるゴブリンたちの村だと思う」


やっぱりそうなるか。

まあ、文献や資料に関してはエノル大司教にお願いしているし、話に聞いていたゴブリンの村が最有力候補だろうな。


「確かに、今までは急ぎ対応すべきことが色々あってこれまで訪問することは叶いませんでしたが、ゲートを維持するためという大義名分もあるので、訪問することは可能でしょう」

「そのゴブリンの村はどこに?」

「結構あちこちに点在している。しかし、残念ながらハイデン領内にはない。確か、フィンダールの方にはなかったか?」

「ああ、あるぞ。とはいえ、大山脈の近くだが。そうだな、スタシア?」


そう言って、フィンダール王はスタシアを見る。


「はい。陛下の言う通り、我が国ではゴブリンの村が確かに大山脈の麓に存在しています」

「なら、ユキ殿へのフィンダール国内の案内はお前に一任する。とはいえ、今やお前は嫁入りした身、ちゃんと通すべきところは通せ。よいな」

「はっ。お任せください」


ビシッと敬礼するスタシア。

ふむ。これはスタシアを案内役として連れてこいってことか。

前に言っていたスタシアという女性が立派に働けるところを国内に見せるつもりだな。

ま、こっちとしても、悪い話ではないからそこはいいとして……。


「他のゴブリンの村はどこにあるか把握していますか?」

「ふむ、詳しくはしらないが、必要か?」

「ええ。どこに存在しているのか。そういうのもわかればありがたいです。情報は多い方がいいですから」


分布図ってのは大事だからな。なぜ、多くの魔物がハイレンの理不尽魔物死滅しろ結界で消えて行った中、ゴブリンたちだけがそれを潜り抜け、生き延びたのかっていうのはなかなか不思議な話だ。

新大陸では魔石は凝固化しないので魔物の核となる魔石は確かに存在しないが、生物として魔力を使わず生きていける魔物というのはゴブリンだけではない。

その謎を解明するカギが地形などにあるかもしれない。

イフ大陸では都市の配置に大規模な魔法陣も見つかったことだしな。

その可能性を考え無いわけにはいかない。


「では、ゴブリン村の位置の把握はハイレ教会に任せてください。各国に顔は利きますので、そして魔力枯渇現象に関する文献も探しておきます」

「ありがとうございます」


ハイレ教会は各国に教会を建てているからな、こういう大陸全体を広く調べるということに対しては、一番有効かもしれない。

そういった意味では、ロガリ大陸ではリテア聖国、イフ大陸ならエナーリア聖国とヒフィー神聖国が大規模な宗教国家だな。

そっちに協力を申し込んでみるのが一番効率がいいかもな。

と、そんなことを考えていると、エメラルド女王が口を開き……。


「ふむ。妾はその魔力枯渇現象に関して、あまり知識はないが、思いつくのはやはり海に現れた魔物のことじゃな」

「ああ、そういえばそれでこっちにやって来たんだったな。最初は武器を携えてきたから、ついに戦争を吹っ掛けに来たかと思ったぞ」

「お前のような短絡的思考はしておらん。まずは対等に交渉をと思っただけじゃ。で、ユキ殿はどう思われるか?」


えーと、海の魔物の出現原因はアクエノキの残したマジック・ギアって言うのはもう分かっているしな。

まあ、交易国のグスド王国に行けばまた別の情報が手に入るかもしれないが……。

そこまで俺たちの戦力に余裕はない。


「エメラルド女王の言うように、海の方も気になりますが、そちらはグスド王国との連絡が取れてからの方が好ましいですね」

「確かにな。海となると色々曖昧じゃからな。そうなるとやはり陸地からか」


ということで、まずは行き来が簡単なところから調べていくという方針に決定するのであった。




こっちはゴブリン村。

まあ、なぜそこにゴブリンたちが村を作ったのかというのも大事なヒントではあります。


さて、ロガリは竜山、新大陸はゴブリン村、残るはイフ大陸だけど……。



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