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リングナイツ~転生せしジパングでの戦国ロボット奇譚~  作者: 鬼京雅
インペラトル総帥・武杉ケンゲンとの決戦編
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第二の龍

 ジパングの大地は真っ二つになった――。

 武杉ケンゲンの壮大なる一撃にて切り裂かれたのである。 

 ゴゴゴ……とジパング全土が揺れ、インペラトル総帥の少女の力に恐怖した。

 信玄のリングより解き放たれし第二形態であり真のリングナイツ・クリムゾンファントムZ。

 新たなる脅威にユナイトファングを代表して戦う雪牙は蒼い髪を風に揺らし呟く。

「信玄のリングはリングナイツを二つ格納出来るのか? やってくれるな……」

「さて、風林火山の力を試させてもらうぞえ」

 邪悪な龍の鱗が輝き、このジパングの全てを斬るようにドラゴンソードが躍動する。




 ケンゲンの侍従達を退けたヤヨイとナルは無双するケンゲンの勢いに呑まれていた。

 すでに風林火山を得た雪牙は劣勢になっている。

「風林火山ですら対応できないだと? ぐおおおっ!」

「ヤヨイにナルも戻ってきたか。しかし今の余には誰しもが勝てぬよ。天晴れ! 天晴れ!」

 倍以上違うケンゲンのスピードとパワーにその場の全員が反応しきれない。

 サンドバックの相手を楽しむかのようにヒット&アウェイを繰り返す赤い龍に空間全体に絶望がよぎり出す。

 ヤヨイのKBクロスバーニアのスピードもナルの強欲な攻撃もケンゲンにとっては赤子と対峙しているのと同然だった。

『きゃあああ!』

 ズガッ! と二機はケンゲンの一撃で倒される。

 その間を埋めるように雪牙の風林火山が炸裂する。

「侵略する事火の如し――」

「ぬるいのぅ」

 その刃は片手で受け止められた。

 さっきとはまるで別人であるケンゲンのパワーに雪牙は呆然とする。

「風林火山も無意味よ。それは虹の力を得る初期段階のもの。余の第二形態には傷一つつけられんだろう」

「ぐあああっ!」

 ハハハッ! とケンゲンは雪牙を殴り飛ばす――が、

「……のぉ!」

 弾かれたバネのように地面を蹴りカウンターに出た。

「主の全てを否定してやる」

「……!? がはぁ!」

 頭のカブトが弾け飛び、身体のアーマーが粉々になり宙を舞う。

 蒼い金属片の煌めきと共に雪牙は地面に倒れた。

 その雪牙にケンゲンは迫ろうとするが、腹部の重症で瀕死であるレーコがそれをさえぎる。

 未だに諦めを知らないレーコの瞳を見て流石は余が愛した女だと笑うケンゲンは、

「このリングナイツになると手加減が出来なくてのぅ。レーコよ。本当に死にたくなければ寝ていろ」

「雪牙君はやってくれるわよ。切り札を残していたのは貴女だけじゃないわ」

 ふっ……と瀕死のレーコは言うと桃色の髪を乱し意識を失う

 すると、ケンゲンの瞳に蒼い少年が写る。

 風が流れ、赤い髪を揺らす。

「……最後の力で風林火山を使っても、風林火山は余には通用しない――?」

 放たれた電撃にケンゲンは驚く。

 雪牙は風林火山の力以外の力を使っているようだ。

「何だ? その力は……」

 雪牙のシエルリングが七色に発光し、全属性の力が解放される。

 虹のオーラが展開し、雪牙のアーマーが七色に輝く。

 これはシエルリングが生み出す虹の不死鳥・シエルフェニックス。

「自分で言ったはずだ武杉ケンゲン。風林火山は虹の力を使いこなす試練の力。お前の野望は俺が打ち砕く!」

 ついに、シエルリングを使いこなし完全なるシエルフェニックスに変化した会桑雪牙が動き出す――。





 ジパング全土を照らし出す希望の虹の光は邪龍と激しいバトルを繰り広げる。

 雪牙は分身したような動きで虹の粒子を撒き散らし空中を疾走する。

 風林火山の力ががシエルリングの真のパワーを引き出すキッカケであり、虹の力を覚醒させる雪牙は神のような存在と化していた。

 しかし、この龍一族の末裔も龍神である。

『はあああああああああっ!』

 両者の攻撃の凄まじさは、大気を鳴動させ地鳴りさえ引き起こした。

 雪牙は二本の雅神剣を神速で振るう。

 速すぎて七本腕に見える攻撃にケンゲンは狂喜した。

「それが……龍一族を滅ぼした虹の力か。シエルフェニックス……最高の力よのぅ!」

「ならとっとと倒れろ! 俺はレーコと約束があるんだ!」

「レーコはやはり余が抱いてやろうぞ」 

「それは俺の役目だ!」

 虹の不死鳥と赤き邪龍はジパングの空を切り裂くように螺旋上に上昇する。

「これほどの強敵は初めてじゃ! 流石はレーコの惚れている男。一筋縄ではいかんのぅ!」

「レーコを殺さなかったのはお前の愛情だろう。お前は恐怖の大王を演じている道化だ。それを認めろ!」

「知った風な口をきくな小僧!」

 ボウッ! とケンゲンのドラゴンブレイクが雪牙に炸裂する。

 その雪牙は機体をフェニックスモードへチェンジさせた。

 火・水・土・雷・風・木・金の自然七属性全ての力を宿す特攻の鳥型モードである。

「シエル・ゴットバード!」

「これが本物のシエルフェニックス。自身が虹の不死鳥になるか。天晴れ!」

 ハハハッ! と笑うケンゲンはドラゴンソードに全オーラを注ぎ込む。

 ジパングを真っ二つにした必殺のドラゴンサンクチュアリと、虹色の不死鳥が激突した。

 ズバババッ! と夜の闇を互いのオーラが切り裂き、オーラとオーラの力押しになる。

 歯軋りする両者は意地と意地をぶつけあう。

「余が存在するだけで部下のパワーは上がり最強の兵が生まれる。それはこれからも武杉ケンゲンが存在する限り続くのじゃ」

「恐怖の支配者は過去に長く存在できないのを知らないのか? 民意を得なければ王は王ではない」

「人が存在する限り競争が、戦争がある。余の元にいればその争いを勝ち続けられ不安が消えるのじゃ。故に余は恐怖を推奨する」

「レーコを愛し、愛を知るお前が恐怖というものの虚しさを知らないわけがないだろーーー!」

 ブフォ! と雪牙の不死鳥が輝き、二人の凄まじいオーラは解除された。

 瞬時に動き出す二人は両手を組み合い、力押しになる。

「また力比べだな。今度は勝つ」

「手が使えないのに勝てるのか? 残念ながら両手を使えなくても龍一族の余には手はあるのじゃ」

 お尻にある鋭利な尻尾で雪牙の心臓を刺した。

 言葉が止まる雪牙は微動だにできず死を待つばかりだった。

「このまま不死身を宿す家康のリングのオリジナルを貰うぞぇ」

「ぐっ……あああっ……」

 ぐにゃり……と肉が抉られる嫌な音が立ち、雪牙の心臓にある家康のリングにケンゲンの尻尾の先が干渉した。

 これにより、一瞬だけ家康のリングに宿っていたシエルフェニックスの残り香が輝く。

「まだ生きているじゃと? この男本物の――」

「……不死身だ」

 死亡したはずの雪牙の瞳が蒼く輝き、動く。

「何度も言わせるなよ。俺は不死身だ」

「一時的な残り香のせいじゃろう。調子に乗るなよ」

 ケンゲンはドラゴンソードを突き出し特攻した。

 雪牙も同じく特攻する。

「ケンゲンーーー!」

「会桑ーーー!」

 そして、全ての力を使い果たした二機は地面に倒れた。




 今までの戦いを眺めていたヤヨイはレーコの手当てをしつつ、ふと動き出す紫のショーボブの女を見た。何かをぶつぶつ呟きながら歩くナルの行動に不信感を持つヤヨイは止めに入る。

「がはっ……」

「邪魔しないでくれる? すでにアンタ達との休戦協定は無いでしょう」

 風林火山の洞窟で修行する雪牙を洞窟の前で守護し、ケンゲンと戦えると約束した休戦協定はすでに存在しないのは当然だった。空気の読めないわけではなく、これは当然の行動でもあった。

「ムフフ……チャーンス♪」

 雪牙が倒れた光景を紫のショートボブのナルは眺めていた。

 意識が朦朧とするケンゲンは背後のナルに気付いてはいない。

 ケンゲンの第二形態もかなりのパワーを消費しているのは誰の目にも明らかだった。

「この状況なら二人共殺せるわ。ヒャッハーーーー!」

『!?』

 突如、戦闘に介入してきた暴走ナルに雪牙とケンゲンは驚く。

 足を負傷していたのを気が高ぶっていたせいで気付かなかったケンゲンはナルに抱きしめられてしまう。

「ムフフ。これで最強のドラゴンパワーもいただくわぁ!」

「こやつ! 離れんか!」

 シュワァ……とケンゲンのパワーを吸収したナルは自身の身体を変化させ虎に翼の生えたような巨体なリングナイツを生み出した。紫の闇を生み出すその機体は、周囲のミストジャマーを喰うように自身に還元していた。まさに獰猛な野生の獣でしかないその存在の名は、ダークグリードグリフォン――。

「ヒャッハーーーーーー!!!」

 新しいリングナイツを生み出したノットエアーリーディングの少女は雄たけびを上げる。

「ナルの奴……いい時に行動に出てくれるもんだぜ」

 立ち上がる雪牙を無視するナルは獣になる身体を躍動させた。

 それは明らかにケンゲンに狙いを定めており、それに気付く雪牙はオーラを吸収されすぎて反応出来ないケンゲンに叫ぶ。

「後ろだケンゲン!」

「!?」

 紫の死の閃光がダークグリードグリフォンより放たれ、ケンゲンは呑まれる。

 その光の粒子が空気に流れると、蒼い髪の少年がボロボロになり立ち尽くしていた。

 身震いをするケンゲンは喉の奥を詰まらせながら言う。

「お主……余をかばったのか?」

 放たれた一撃を雪牙は身をていして防いだ。

 その余波で雪牙の武装の全てが壊れてしまう。

 意識を取り戻すヤヨイは、最悪の状況になる戦況に歯をかみ締める。

 すると、その金の瞳に紅い炎の悪鬼が映った。

「最終決戦を邪魔するな! 空気読めこのハエ女!」

 突如現れたケンゲンの妹である紅水泉はナルに猛攻をかける。

 しかし、その獰猛な獣は泉の炎姫そのものを飲み込んでしまった。

「噛み砕けなかったのが惜しいわね。ケンゲンは噛み砕いてやるわぁ……」

 ザッ……ザッ……とダークグリードグリフォンはその四肢を動かしケンゲンに迫る。

 まだ完全に力が戻らないケンゲンはどうにも出来ない。 

 野獣である紫の機械獣は獲物を定め跳躍する。

「ヒャッハーー!」

「ウルサイのよゲデモノ食い女」

「ヒョエ?」

 腹の中から聞こえた泉の声に驚くナルは、肥大化する自分の身体に驚く間も無く爆発した。

 ダークグリードグリフォンは泉の腹の中からの攻撃により倒される。

 意識を失うナルは、グリフォンモードから開放され地面に身体を叩きつけられ倒れた。

 それを見たケンゲンは自分の妹に多少感謝しボロボロの雪牙に言う。

「空気の読めん奴のせいで形勢逆転かのぅ」

「……」

 すでに雪牙は残る力もほぼ無く、武装すら無い。

 その姿を見つめるヤヨイは隣のレーコに言った。

「ケンゲンの部下達はケンゲンに心酔しているわ。だからケンゲンを倒せばこの戦は終わる。雪牙なら勝てるはずよ」

「当然でしょ。雪牙君は無敵で不死身よ」

 そのレーコも雪牙の勝利を確信していた。

 雪牙は全ての武器を失っている。

 しかし、心の蒼い炎は更に燃え上がっていた――。



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