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リングナイツ~転生せしジパングでの戦国ロボット奇譚~  作者: 鬼京雅
インペラトル総帥・武杉ケンゲンとの決戦編
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武杉ケンゲンとの出会い

「震動!? 地下からか?」

 基地司令室にいるヤヨイは雪牙の攻撃の震動で身体のバランスを崩しそうになる。

 すると、司令室に赤いマントを着た赤髪の幼女が現れる。

 白い素肌にマントをはおり、幼女とは思えぬ異様な風格があるその人物に司令室のオペレーターである侍従達は一様に敬服した。そう、この風変わりな赤髪の幼女こそがロアーシ大陸の王・武杉ケンゲンであった。

 ヤヨイの背後に立つケンゲンはまるでその揺れをまるで気にしないかのような表情で言う。

「……うむ、苦しゅうない。この震動はおそらく先の侵入者が地下のマザーリングと接触した事で起こった震動だのぅ。ここをどう対処するヤヨイ?」

「すでに手配は済ませているわ。貴女は王の玉座でふんぞり返っていればいいのよ」

「天晴れっ! 天晴れ! 相変わらず天晴れな事を言うなヤヨイ。生体兵器を持ち帰った褒美をとらせんといかんな」

「期待してるわよケンゲン」

 踵を返し、ヤヨイは美しい金髪をかきあげると司令室を出た。

 ケンゲンはじっ……とマザーリングがある爆炎が起こる部屋のモニターを眺めていた。





「ここは……」

 全裸の雪牙は赤い海の中のような空間を浮遊していた。

 どこまでも続くような赤い海は陸地も無く、そこにはただ海があるだけだった。

 彷徨うように浮遊する雪牙は周囲を見渡す。

 すると、小さな妖精のような赤く長い髪の幼女がひらひらと現れた。

「! 貴様誰だ?」

「貴様ではない。余はロアーシの王・武杉ケンゲンだ」

「お前が武杉ケンゲン……紅水泉のような赤髪だな。それより、この空間は何だ?」

「冷静なのか大雑把なのかわからん奴だ。よい、この空間について教えてやろう……」

 コホンと息を整え、ケンゲンは語り始めた。

「この場所は精神空間。リングとリングが共鳴して生まれる特殊な空間だ。ので主は生きているぞ。場所はどこだかは知らんがな」

「共鳴だと? そう簡単にリング同士が共鳴するかよ。仕組んでいたわけどもあるまいし」

「これは仕組まれた事だよ会桑雪牙」

 そのケンゲンの言う通り、雪牙がこの基地の動力部に到達する事は察知していた。それを利用してケンゲンは自分のリングと共鳴してコンタクトを取れる状態をマザーリングを介して作ろうとしていたのである。

「……手の込んだ事をするな。ただの幼女では無いようだな」

「褒め言葉として受け取ろう。すでに動力部を破壊してもマザーリングは蛹から羽化した生体兵器に変えてあるから問題ないのだ。すでにヤヨイの持ち帰った生体兵器の一部でこのインペラトル基地の動力は補えているのさ」

「……」

 唖然とする雪牙にケンゲンは満足しながら周囲を飛ぶ。

「主はこれからどうする? たった一人でこの基地を壊すとでも言うのか? トウキョウでユナイトとインペラトルが戦争をする中で奇襲をかけてきたのは面白いが、所詮は単機での無謀な特攻だったのぅ。それとも何か勝算があったか?」

 周囲をうっとおしく飛び回るケンゲンの妖精に雪牙は瞳を細め、言う。

「俺は不死身だ」

 その言葉を聞き、ケンゲンは顔の前で止まり微笑んだ。

「その不死身の力。余が頂くぞぇ……」

 奇妙なプレッシャーが雪牙の全身を刺激し、息を呑んだ。

 この赤い異様な精神空間の不快感も増して来る。

「そろそろ、リングの共鳴も終わるのぅ。胸に手を当てて愛する者の名を叫べ。そうすれば、この精神世界ともお別れだ」

「……愛する者か」

 ゴクリ……と息を飲んだ雪牙は瞳を閉じ、手を交差させ両胸に手を当てた。

 心の中にはレーコにヤヨイ、潮田海荷が存在した。潮田海荷は自身の母である為に除外できるが、レーコとヤヨイだけはどうにもならない。選ぶにはまだかなりの時間を要するだろう。

(……)

 そして、心に感じる声をおもいっきり叫んだ。

「――ーーーっ!」

 その叫びは現実世界の雪牙のリングを刺激し、蒼くまばゆい光を発光させた。

 爆発したマザーリングエリアにたどり着いた警備員達は一斉にどよめいた。

 その輝はさらに増し、蒼い髪の雪牙の姿を浮かび上がらせ――。

 シュワアッ! と激しく発光すると同時にズゴゴゴゴッ! と蒼い炎を上げる蒼い機体が映る。この世の全ての憎しみを表したような阿修羅のような顔立ちに、両肩に円盤があり両腰に二本の刀。蒼く輝く瞳が周囲を見据え、鋼鉄の左手が獲物を探すが如く動いた。呆気にとられた警備員達は無線で各々がモニタールームに連絡し、フロアから逃げ出して行った。

「久しぶりに蒼天楼を生み出せたな。ケンゲンの奴、誘ってやがるか?」

 コオオオッ……と蒼天楼は口から内部の熱を白く吐き出し、瞳を閉じ静止した。

 そして、両肩の円盤を頭上に展開し蒼炎砲を放つ準備に入る。その荒々しいエネルギーのチャージ具合を感じた雪牙は目を見開いた――瞬間。

「ああああああっ!」

 という叫びと共に全てを焼き尽くす蒼い炎である蒼炎砲は放たれた。



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