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冥地功周VSユナイト・キョウト7

 身体の左から炎・右から冷気を放つ黒を基調とした中に蒼と桃色が混ざるきらびやかな威風堂々さがある覇王のようなリングナイツ・蒼天桃夜そうてんとうやと地恒庵が対峙していた。バイオプラントの生体オーラすら吸収を始める蒼天桃夜に地恒庵の冥地功周めいちこうしゅうは途方も無い力を手にした存在と合間見える事になった。

 秀吉のリングとされるHリングというものもソルトブレイクの最終戦以外で使われた事は無いし、それが融合の力を秘めているとの報告も無い。口元を笑わせ冥地は言った。

「何か形がおかしいと思いきや、炎と氷が融合した機体になったのか。いいとこどりという事か」

「今気がついたのか。三対一になるが、勝たしてもらう」

「戦う人間は一人だろう? 戯言では勝てんよ」

 自分の力の凄さに酔う雪牙に嫌味を言ったが通じない。

「どうやら、そのHリングにはまだ隠された力があるようだぜ。あのリーダーは三人でお前と戦いたいようだ」

「君の切り札の蒼天楼と四之宮玲子の夜天光が黒主のHリングの導きで融合した……ならば四之宮はどうなった?」

「レーコの意識は俺の身体の中でリーダーと共に眠ってるだけさ」

「そうか。無粋な霊に邪魔されてもかなわん。戦場を変えよう」

 冥地はシーハーが突入してきた頭上の穴を目掛けて飛んだ。

 バイオプラントの放置したままのクリスタルに封印される生体兵器が気になるが、今の冥地を自由にするわけにもいかない為、雪牙も後を追って地上に出た。

 両者は地面の芝に足を着地させる。

 パチンッと指を鳴らす冥地は一本の指を天に掲げ、その指を雪牙に向かって指した。

 ズゴゴゴ……と地下のバイオプラントに振動が起きるように、出てきた穴が土砂で塞がる。

 それをきっかけに両者は動き出した。

『はあああああああっ――』

 激しく激突する戦いの最中で蒼天桃夜の力にやっと気がつく雪牙は、機体の特性である炎と氷に慣れ初めてきた。

 しかし、長引く戦闘をさせるほど冥地は甘く無い。

 機体の地恒庵は全身にダメージを受けそう長く戦える状態には無いが、長年の戦闘経験というアドバンテージがある。雪牙の操る蒼天桃夜は能力が高くとも生まれたての赤子同然でまだまだである。

 だが、新たなる時代を生み出すには先代の歴史を作り上げて来た老人を超えていかなければいけないというのも事実。

 雪牙がこの老人を倒さねばこの戦いに生き残っても軍人として、人間としても負けたままであろう。

 距離を取りつつ、氷と炎で攻撃するのを地恒庵は紙一重で回避するが、数発受ける。機体がボロボロに破壊されようとも冥地の心が折れない限り止まる事は無い。

「それが本当に自分自身の力だと思うか? 貴様等の力はリングに頼った自分の力では産まれる力の無いまがい物だ。そんなものに頼っていては人間はダメになる」

「そのまがい物を使っているのはお前も同じだろ!」

「ワシがまがい物だと気付くのが遅かったからからこそ、この戦いを仕組んだんじゃ!」

「わけのわからない事を言うな!」

 自分の中に芽生えた何かを具現化させるように雪牙は左右の手に意識を集中させる。

 すると、左に炎の剣、右に氷の剣が生まれた。

 次々と新しい事をしてくれる若者に冥地は身震いした。

(この僕がプレッシャーを? 会桑に何かの大義が芽生えたか……この家康の息子である少年ならリングを正しく使いこなせるかもしれんな)

 地面から土を利用し大鎌を作り蒼天桃夜の二刀流に応じジャジャジャジャキンッ! と高速の獲物の動きが両者の生き様を映し出すかのように展開する。激烈な攻撃の応酬は周囲に嵐を生み出し、地響きが発生する。

「覚悟! 冥地功周!」

 懐に入り込まれた地恒庵は数度の斬撃を浴びた。

「うおおっ!」

 炎と氷が振るわれる剣から放たれ続ける。それを緑符でガードし続ける冥地は攻撃の嵐が止んだ瞬間、目の前にを見た。

「落ちろーーーっ!」

 二刀流が十字の斬撃を放つ。

「ぐのぉ!」

 炎と氷の斬撃の中心部が白く光り地恒庵は吹き飛ばされる。

「――胸部が少し消失した?出しゃばるなよ小僧がぁ! 集まれ大地の恵みよ……土岩漠壁しょうどがんばくへきしょう!」

 反撃に出る地恒庵は地面の土を拳に纏い右拳を突き出す。

「ぐへぁ!?」

 土で強化武装される圧倒的な拳も蒼天桃夜には通じなかった。

 あり得ないほどに強くなる雪牙にやられながらも、この老人は口元を笑わせていた。




「不死身如きで最強と信じる若造がしゃしゃり出るなよおおおおおーーーーーっ!」

 雪牙と同じ不死身を得る冥地は雪牙の攻撃を何度浴びても倒れず、次第に蒼天桃夜にプレッシャーを与え出していた。

「若い! 若い! 若いなあああああっ!」

 更に前へ出る冥地の一撃に左の炎の剣が弾け飛び地面に刺さる。その隙に大上段に構えた斧の一撃が蒼天桃夜を真っ二つにしようと迫る。瞬時に右の氷の剣が動き防ぐ。が、その斧は剣を砕き脳天に迫る――瞬間、冥地はまたも吐血した。

(リング如きに、この冥地功周の生き様を邪魔させる……かあっ!)

 心臓に埋め込まれたリングの痛みすら凌駕し限界を超え断罪の一撃を繰り出した。

(――!)

 唖然とする雪牙の脳裏には、黒主の姿があった。

 その男は金髪をかき上げ言う。

〈しっかりしろよ真打さん。じゃないと俺がお前を倒し、この蒼天桃夜を奪い去るぞ?〉

 脳天を断ち切るように蒼天桃夜の額の前に大鎌が繰り出される――。

 瞳に蒼い炎が宿り、雪牙は強い意志を取り戻す。

「――お前の出番は無いぞ黒主京星っ!」

 死力を振り絞り雪牙は炎の剣で大鎌を防いでいた。ズズッ……と地面に足が沈み、右手の氷の剣が地恒庵の胸元を切り裂いた。

 対する冥地は噴火する火山のような心を一時的に収め、冥地は疲れたのか相撲取りのような蹲踞の姿勢に出た。

「そんな融合が君の答えならば、君は失敗作以外の何者でもないぞ会桑。欲望まみれの男に新たなる力が目覚める事態がおかしい」

「そうか? 欲望は人間の本質を吐き出す重要な感情。人間とは集団の中で様々な立場にあり、その集団が掲げたものが大義になる。その大義に私情は無いと皆が言うが、それは違う。全ての人間はおのが私情で動く」

「迷いの無い、いい答えだ。君は使えるな」

『お前に使われる言われは無い!』

 雪牙、レーコ、黒主のシンクロする心により蒼天桃夜は一瞬で間合いを詰め、十字斬りを繰り出し斬った。地恒庵の装甲が弾け飛ぶのと同じくしてその全てが何故か消滅していった。

白い消滅の煌きを二人は疑問に思いつつも、とうとう倒したという興奮が雪牙を満たす――刹那。老獪な老人の声が耳に響く。

「インペラトルの壊滅は君に一任するよ会桑雪牙――」

『!?』

 その声と同時に、背後から大鎌の一撃をくらい吹き飛んだ。

 蹲踞の姿勢の地恒庵は土で作ったダミーであり土となり地面に還る。

 青いな……と言った顔の冥地功周はとどめに出る。

 雪牙の顔が死に染まり――。

「ドンマーーーーーイ!」

 瞬間、倒れる蒼天桃夜と入れ替わりでピンク色に輝く事も出来ないボロボロのトサ・イッコーブリリアントが大空から奇襲をかけた。




 

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