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冥地功周VSユナイト・キョウト3

 花火のような光が幾度となく上がりキョウト支部外周で爆発が起きる――。

 キョウト支部の司令室は冥地家のリングナイツの攻撃開始に応戦の構えを見せ、互いの陣地の中央地帯の平和の森では前線部隊の戦闘が終結し残骸が転がっている。

 各ポイントで爆発音が上がる中、琴乃の顔が青ざめる司令室では冥地の地震攻撃の目的が見え、恐ろしい状況に陥っていた。

「平和の森地下最深部エリアに巨大な熱源反応有り。これは……マグマです!」

「更に一つの高エネルギー反応! このリングナイツの反応……この反応は土の属性――冥地功周の地恒庵です!」

 二人の女のオペレーターの叫びに琴乃の顔は引きつり、樹音はやはりといった顔をする。

地恒庵が起こした地震によりユナイト側からの生体兵器が眠る地下プラントのルートがマグマにより潰され、辿り着くには雪牙達の突入部隊しかいなかった。

 ここで謎が多い生体兵器を使われたらどういう戦況になるかもわからない。

 だが、生体兵器が眠るプラントに近づくにはマグマが旋回する結界を抜けなければならない。まさかこのキョウト支部の近くの山がマグマを秘めた山だとは思わなかった為に、地下に生体兵器プラントを作った理由が伺えた。

 司令室全体が凍りつく中、LOSTの文字が点在するメインモニターを注視し少年のような容姿の琴乃の妹である樹音はトゲのある言葉で言う。

「……確実な戦力差がある以上、奴等は切り札の生体兵器を使ってくるのは自明の理。この地域は元々だが、今は冥地功周家が管轄している土地。本当に潰す覚悟が無いと、世界はインペラトルは潰されるわ。冥地家とジパングやニホン国民。総司令はどちらの命の天秤に重石を乗せるのかしら?」

「総司令命令です……黙りなさい樹音」

 目に涙を浮かべ優しかった祖父の冥地功周の今更の反乱に納得がいかない心は乱れる。

 この世の騒乱の元であるリングを消し去るという目的に到達するには生体兵器を使い、早く目的を達成させなければならないという焦りもあるのだろう。数年前から冥地には大病説が流れておりあまり表舞台には姿を現していなかった。

 所が突然一年半前に暴発し、ユナイトファングの施設を破壊し投獄された。

 それはダイオクとユナイトの裏で暗躍する潮田を炙り出す作戦ではあったが、そのプリズンに投獄された姿を見て、トサという機動兵器で多大なる利益を上げながらもその機動兵器で身内が堕落し、骨肉の争いを繰り広げるのに嫌気が差し老人が最後の悪あがきに出たというのが世間の声だった。

『……』

 セントラルの司令室は、非常灯の明かりだけが存在を主張し人間は静まり返る。

 そして、大義ある者と大義無き者の戦いの行方は終盤戦へ差し掛かろうとしていた。

 シーハーに炎姫を任せた雪牙は先行して辿り着いていた三部隊と進入した冥地家の地下アジトを爆破して無理矢理道を広げ、生体兵器のあるバイオプラントまでのルートに入り通路を進行していた。その作業の最中、土砂に呑まれ一人戦死したAチームに加わり人二人がやっと通れるレベルの狭い通路を駆ける。

 対冥地功周戦を見据え、すでにリングチェンジすら出来ない隊員もいるが今は命を捨ててでも任務を全うするのが軍人の責務である。リングナイツが出てこない以上リングチェンジは温存し生身で全員は進む。マシンガンを持ちヘルメットをかぶる紺のユナイトの隊員服九名が冥地功周が蛹から成虫へ開放しようとしているバイオプラントへ向かった。





 戦闘区域から少し離れた森の中をいつの間にか雪牙等とはぐれたピーコは歩いていた。

 深い森の中にも関わらず、迷う事の無い足取りで金髪のショートカットの少女は歩いて行く。

「あーらピーコちゃんどこ行くの? 戦争中にピザの配達は無いでしょう?」

 草を掻き分けた先に待ち構えたかのようにオネエ軍人・シーハーが不動明王のような佇まいで腕組みをしていた。クリムゾンの炎姫と戦ったのはいいが、クリムゾンは何かを探しているらしくシーハーにもレーコにも興味を示さずどこかへ消えた。

 鷹のように鋭かった黄色い瞳が柔らかくなるピーコは、

「……シーハー少佐。皆様の手をわずらわせずに一人繁華街に戻ろうとしてた所です。ワタシはどこでも三十分以内の配達がモットーのマッハピザですから」

「あーらそうだったの。じゃあ安全に帰れるように愛の抱擁をしてあげなくちゃ」

 微笑を浮かばせシーハーはピーコに抱きつこうとするが、華麗なステップで避けられる。

(……この抱擁を回避出来るのは一人しかいない。瞬間の身のこなし、視野の広さ……やはりこの女はアイツね。噂は本当だったか)

 二三の会話の後、二人は別れた。突如、シーハーは音も無く振り返り、

「その方角はバイオプラントの方角よ、潮田海荷ちゃん」

 禿鷹の異名を彷彿とさせる冷酷な呟きと共に潮田海荷と呼ばれたピーコの背中に向かって銃弾が放たれた。





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