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キョウト支部長・冥地功周

 丸型のニホン大陸の西に位置するユナイトファングの支部であるユナイト・キョウトに到着した雪牙せつがとレーコはキョウト支部長・冥地功周めいちこうしゅうにロアーシ大陸のインペラトルの現状のデータを提出した。雪牙はこの老人がロアーシ大陸で何かをしていた証拠を掴んでおり、この老人こそがインペラトルの本質ではないかと内心怪しんでいた。

 白髪の若草色の羽織袴姿の老獪なる老人を目の前にする外異特務隊は敬礼する。

「久しぶりだな。ソルトブレイクの英雄、会桑雪牙かいそうせつが四之宮玲子しのみやれいこ

 その老人は多少痩せたシワの深い顔を向けて話す。

 雪牙はこの老人の今の実力が完全に落ちているわけでは無い事を感じながら、多少の警戒をしながら聞く。

「このニホン大陸はジパングと違い、大きな争いは無い歴史を持つ世界だ。ここの住人達はスポーツという自分の身体を使った競技で順位を競う争いがあるから人が死ぬ事自体が多くある事ではないのだ」

 冥地は咳き込みながらもこのニホン大陸について二人に語る。一年前も体調に関しては良好ではないと言われていたが、この痩せようを考えればもう命の灯火が長くないのは明白であった。

 このニホン大陸は男女が均等に育ってはいるが、この戦争の無い文化がそうさせたのかリングナイツという兵器を扱うのは男より女の方が上手かった。この国の男たちは各種スポーツで大金を稼ぐのが当たり前な世界であり、軍人で殺し合いのような訓練をして金を稼ぐというのはスポーツマンにあるまじき事として敬遠されたのである。

(この老人がロアーシでやっていた実験が生体兵器の開発ならば、このニホン大陸のどこかにその施設があるはずだ。ある程度のユナイトの監視がついているとは言え、この老人の庭のキョウトのどこにあるかは検討がつかない……ここは自分の足で調べるしかないか)

 このまま冥地に問題提起しても簡単にかわされてしまい開戦のきっかけになるだろうと考え、雪牙はやけにこのキョウトを褒める老人の話に相槌を打ちながら聞く。

「……というわけでワシの事業はユナイトファングを通してかなりの拡大を見せた。ジパングとは違う文化を二人も経験してみるといい。会桑は北の新大陸に行ったそうじゃが、あそこは寒いだけで観光などはないじゃろう」

「何故、ユナイトファング内でもトップシークレットになる北の新大陸について知っているのです?」

「ワシの情報網を舐めたらいかんぞ? 自分の家からもワシを排除したい勢力は多いが、それと同時に支援する勢力も多いという事じゃ殊更、このキョウトにはワシの仲間が多いんじゃて」

「そうですか。それは失礼」

 雪牙はその言葉を私設組織があるという風に受け取った。

 そして、外異特務隊の二人はこの老人から以外な任務を託された。

 実際に目の前に事件があるわけではない為、この冥地の言葉は歓迎すべきものであった。新しい土地を知るには資料ではなく自分の目と耳と身体全体で感じるのが一番だからである。それを北の新大陸ロアーシでの経験から知る雪牙はキョウト支部長の任務を了承した。

 そして、戦闘モードになっていた心を開放しニホンのキョウト地区からニホン全土の文化や風習などを学び見聞を広げる事にした。





 ユナイトファング・キョウトの留置場にヤヨイはいた。

 支部にいる雪牙達とは裏側にあるこの場所は目と鼻の先である。

 ヤヨイは海に落ちて泳いでこのニホンまでたどり着き、冥地の命により投獄されていた。海を泳いで渡るなどどいう前代未聞の不穏なリングナイツだったからであった。

 そのヤヨイは紫の髪のセミロングの少女であるユナイトのリングナイツ・ナルにつかまってここにいるのであった。ナルはトサ・グリードというパープルカラーの攻撃的な専用機を使い、戦闘に関しての評価だけは高い少女である。クルクルッと髪を巻くナルは生魚をバクバク食いながら牢屋の中に繋がれるヤヨイに言う。

「魚を喰ってやろうと槍で海に潜っていたら遠くの空で戦闘があり、たまたま貴女が私の場所まで泳いで来た。マグロでは満たせない最高の獲物がかかったわと思ったわね」

「そう。私はベジタリアンだから肉の旨味はわからないわ」

「ムフ。そーう。それは残念」

 濡れた金髪が口に入るのをヤヨイは息で払い、ナルを見る。

 鳴沢無読なるさわむよみ。通称ナル。

 ナルシストのナルではなく、ノットエアーリーディングのナルである。

 その異名は伊達ではない。

 命令無視、友軍殺しなどの罪で何度も軍法会議にかけられ有罪判決を受けるが、監獄のプリズン内でも問題を起こし罪人すらこのナルを受け入れようとはしなかった。仕方なくユナイト側も出所させて、戦闘区域を見越した模擬演習や、リングナイツではサビで機体がダメになる海中での深海調査などの仕事を与え、なるたけ他人と多く関わらせないようにしていた。

 現在、ナルが気になるのは空を飛べて武装も数多あり、汎用性も高いサッチョウドの兵装についてである。それはヤヨイのリングが無いと拝む事が出来ない。

「ムフフ……リングをどこにやったのかしら? 貴女のリングはどこなの?」

「捨てたわ」

「どこで?」

「海の中で」

 二人の話は先程から平行線を辿っており、ナルが諦めない限り出口が見えない。

 しかし、ナルはヤヨイを信じていない為に諦め無い。

 ナルの野生の勘が、この金髪の美少女の言動から存在までを虚構を固めたものとして見ていた。

「ムフフフフ。ユナイトでの出世がかかってるからね。ここで貴女を喰ってしまわないともっと高みに行けないのよ。この世界を喰らい尽くすほどの高みにねぇ……」

 ヨダレを拭いナルは言う。

 そして、ナルはリングチェンジした。

 紫のパーソナルカラーがあるトサ・グリードは白兵に特化した機体。

 全身に武器を仕込む攻撃特化しか考えない少女の好むグリードという欲望の体現された機体だった。いつのまにかナルの足元にヨダレの泉が出来ている。

「厳しく身体を調査するわよ。死んだらゴメンねぇ」

 リングナイツのパワーで生身のヤヨイの身体を弄び出した。

 ヤヨイの服が破られ、乳房が露わになる。それを潰して遊ぼうとナルは笑いながら手を伸ばす。徹底的になぶられるヤヨイは声を上げず耐えた。そして今日の所はこれまでと呟きナルは留置場から出て行く。

「……」

 誰もいなくなったヤヨイの牢獄の中央にあるナルの残したヨダレの泉に黄色い水が流れていた。それは座り込むヤヨイの股間から流れていた。

「軍法なんてもんに従ってるからリングの一つも見つけられないのよ。欲望に忠実な割には案外甘いわね、鳴沢無読」

 笑う全裸のヤヨイの視線の先に、一個のCと刻まれた自然力を得る事が出来るシエルリングがあった。

 その股間に隠されていたCリングを足の指で拾い、左手にはめた。





 雪牙とレーコは冥地功周に言われた通り、このニホンの現状を知る一番の策として観光感覚で遊びに出ろと言われキョウト中心部の繁華街にいた。猥雑とする繁華街を二人は歩いて行く。

「とりあえずこのニホンとなった新大陸の関西地区というのを見て回る必要がある」

「デートね?」

「デート……?」

 雪牙はレーコと共に多くの人で賑わうキョウトの街を堪能した。一年かけて冥知グループが元々のキョウトの文化と自分の自分の事業を融合させ、リングナイツとユナイトファングを溶け込ませた為に多くの軋轢を生まずに軍政を行う事が出来た。

 力だけでなく文化的な活動を優先させた為に人々は冥知を受け入れ、それはユナイトファングを受け入れる事になった。仕事先として戦争に駆り出される危険はあるが、安定した多くの収入が見込めるユナイトファングへの就職は人気の職種となり、女ばかりのリングナイツも男の割合が多少なりとも増えて来ていた。街は従来よりも観光が発達し、交通などのインフラもジパングとは違い電車なども走っていて人々はそれぞれのスタイルを選べるようになっていた。

 それに新大陸の大半は、戦争というものが無いかわりにスポーツやお祭というものがあり、決められたルールの中で楽しむものが定期的に行われているのが戦争ばかりしてたジパングの人間達にとって新しい発見だった。

「いやーキョウト最高だね! おいしい食べ物ありすぎよ! カロリーに満ち溢れてるわ!」

 揺れる巨乳がまた成長したようなレーコはパフェを十人前も食べた後に平然とチロルチョコを食べる。七つ橋という味がキョウト限定味らしい。微笑むレーコは爪楊枝にささる七つ橋を雪牙の口に寄せてくる。

「雪牙君あーん」

「……ん。んまいな」

 そろそろ胃の限界を感じ、血糖値がMAXで倒れそうになる雪牙だがその性格故か顔色には出さず歩く。繁華街を抜けるとホテル街が見えた。いつか自分もあの場所でいろいろな事をするんだろうと思い、さりげなくレーコをホテル街から遠ざけようとする。

「……あれ?」

「どうした?」

 突然レーコは、大柄の男と帽子をかぶっている金髪の少女を見かけ立ち止まる。

 唇をん~パッ! とするレーコは、

「ホテル街か……行くわよ雪牙君」

 スタスタとレーコは歩いて行く。

 え? と思う雪牙はまだ昼間でネオンも灯っていないホテル街を進むレーコの考えが読めずに聞いてしまう。

「す、するのか?」

「当たり前じゃない。ここはエッチする場所でしょ?」



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