空の戦い
トサエアマスターのソードとサッチョウドのビームソードが激突する。
「ビームソードか。あまり刃を交わすとこっちの刃がすぐにダメになるな」
その剣の舞の頭上から桃色の閃光が舞い降りる。
「はあああっ!」
右手で雪牙と戦いながら、レーコのソードに腰のブラスターカノンを放つ。
ソードを弾かれるレーコはそのまま拳の応酬に出た。
「消えろ!」
左手で受けたヤヨイは顔を歪ませながらマイクロミサイルで弾幕を張り後退する。レーコの一撃がヤヨイの左手を痛めた事を知り、雪牙はライフルを放ちつつソードを構え迫る。
「落ちろヤヨイ!」
「それは貴方よ雪牙」
スッとビームソードを構えながらヤヨイは腰のブラスターカノンの照準を絞る。
突っ込む雪牙は笑う。
「本当にそうかな?」
放たれるブラスターカノンは雪牙に直撃し爆発を起こす。
黒煙が上がり、レーコは動きが止まるサッチョウドを仕留めようと動いた――刹那。
「うおおおおっ!」
何故かライフルを無くしダメージが無い雪牙はヤヨイに一撃を決めた。
そして、返す剣で左肩にあるマイクロミサイルを破壊した。
そこにレーコは拳を叩き込む。
追撃をかける雪牙はソードを腹部目掛けて伸ばした――。
「ぐっ……!」
「チェックメイトだヤヨイ。投降しろ。でなければ死ぬぞ」
「残念だったわねぇ。貴方だけが不死身じゃないのよ」
その美少女の青い瞳に呑まれ、腰から放たれるブラスターカノンが直撃する。
口から血を吐く雪牙はレーコに支えられ空中を浮遊する
「チッ! あのカノンもかなりの威力だな!」
「それに小回りもきくわね」
バババババ! と間段無く放たれるブラスターカノンにユナイトの二機は円を描くようにフルスロットルで空を切り裂くように回避して行く。呼吸も出来ず二人は速度を上げて眼球をサッチョウドのブラスターカノンとマイクロミサイルに向けて動き続け回避しきる。片方のマイクロポットは雪牙が破壊している為に、この弾切れをチャンスとし二人は特攻した。先に動くレーコの目に一つの見慣れた鉄の魚が見えた。
「なっ、何でミサイルが――」
「誰が弾切れなんて言ったかしらプニ子さん」
残る一発のマイクロミサイルがレーコに放たれる。
これだけスピードを上げた状態では停止も方向転換も出来ない。
ただ放っただけで空中の地雷になるマイクロミサイルの群れにレーコは拳を引いた。
「レーコーっ!」
手を伸ばす雪牙の声も虚しく、回避が不可能な距離にいるレーコにその全てが直撃した。
黒い煙が周囲を包み込む。
雪牙を見るヤヨイは一機撃墜と思い微笑むが、雪牙もまた微笑んでいた。
黒い煙の中から桃色のチロルチョコマニアが正拳突きの構えのまま姿を現す。
「桃色ファンタジー……拳でそのミサイルを破壊出来るのはお前だけだレーコ」
相変わらずの拳だなと微笑む雪牙はブースターを吹かしサッチョウドに迫る――。
「――!」
すると、雪牙の全身が悪霊につかれたかのような悪寒に支配された。
サッチョウドの臍に黄色い光が集中して行く――。
この感覚は一年前にソルトブレイクで味わった潮田海荷から受けた地獄の閃光――。
「ソルトフラッシュ!? レーコ! 俺の後ろに避難しろ!」
「――オッケー!」
蒼い炎が発し、雪牙のトサ・エアマスターが空中で静止した。
シュパアアアアッ! という閃光をハイパーモードでシールドを巨大化しフラッシュキャノンを防いだ。
『……』
しかし、シールドは消滅し雪牙自身もかなりのダメージを受けていた。
片方のブースターは黒い煙を上げている事にレーコは気付く。
何故か後ろを振り向く雪牙は微笑んだ。
「飛行機とは距離が出来た。これで思いっきり戦えるわね雪牙君」
「あっ、あぁ。こっからが本番だ」
「気合入れなさいな隊長」
コツン……と雪牙は装甲越しに股間を叩かれた。
そして戦いが再開される――が、サッチョウドの少女も遠くを見つめ呟く。
「邪魔者が来たようね」
放たれた炎が三機の間を抜け、その射出先を全員は見た。
真紅の悪鬼であるクリムゾンウォーターが遠くの空から迫って来ている。
「クリムゾン……しつこい女ね。野蛮過ぎて機体のチェックがあの女じゃ出来ないわよ」
「隙有りよBカップさん」
「――!?」
瞬間、桃色の甘い女がサッチョウドの少女の真上に現れた――。
「桃色ファンタジーーーっ!」
ズバババババッ! とサッチョウドは全身にレーコの乱打を浴び、海面に落下して行く。
呆気に取られる雪牙は空中を静止したまま動けない。
海面に落下し、ボフッ! という小さな爆発が起こった。
その光景を見つめる雪牙は呟く。
「シチュウに喝を見出すCカップ……あのおっぱいの感触を俺は知っている」
すると、クリムゾンウォーターが戦闘宙域にたどり着いた。
二人を見た後、海面を見るクリムゾンは眉をひそめた。
「パツ金女を倒したの……いや……」
海面に浮かぶ何かを発見したクリムゾンは海面へ向かった。
それにつられるように二人も海面に降下した。
海に浮かぶ元は四角い箱のような鉄屑を発見したクリムゾンは言った。
「これはマイクロミサイルのポッドの残骸ね。さっきの爆発は機体じゃなくてコレよ」
「そうか。ならばサッチョウドのリングナイツは生きているという事だな?」
「おそらく海でのナイツの使用は装甲がサビて使用出来ないから泳いでニホン大陸にたどり着くはず。ったく桃色が攻撃した後、追撃してればここで倒せてたのに。あの女に惚れても思いはとげられないわよ?」
ヤヨイを敵として早く処理し、隣の女を愛せと言わんばかりのクリムゾンの言葉に雪牙は答えられない。レーコが言葉を発しようとすると、クリムゾンは雪牙に言う。
「アンタが連れて来た厄災は早く始末しないと大変な事になるわよ。考える前に動け」
「あのリングナイツがヤヨイだとしても、厄災ではない」
クリムゾンの言う事は信じず、雪牙は否定する。
そうすると、クリムゾンは仮面の奥の顔を歪め、
「早漏はどうしたの? そんな量産機でこの戦いは生き残れないわよ」
「え? 何なの早漏って? 雪牙君は早漏じゃないわよ」
レーコは疑問に思いながら問う。
ハハッ! と笑うクリムゾンは答えた。
「ソルトブレイクの時にNリングで生み出した機体が蒼天楼だから早漏よ! ソーロー♪ ソーロー♪ ソーロー♪」
「違う、雪牙君はインポよ!」
「早漏かもしれんが、インポではない!」
自分の機体や股間について勝手な事ばかりを言う女達を雪牙は抑えた。
そしてクリムゾンは最後に言う。
「まぁ、アンタはアレが自分の女だから本質を見たくないのね。アタシはアレを殺すからレーコを抱いて我慢しときなさいな。アレは厄災しか呼ばない悪夢よ」
そして、クリムゾンはキョウト方面に向かって飛んで行く。
今の風の流れを利用すればこのままニホン大陸に到着出来ると考え、雪牙とレーコはパラシュートを使う事になった。
(ヤヨイ……死ぬなよ。お前は俺が殺す……)
ふと、ヤヨイと共に塩田海荷を思い出した雪牙はパラシュートを展開した。
そして旅客機は上部にかなりの損傷を受けつつも無事にキョウト空港に着陸した。
西側のニホン大陸に到着した二人はフジ山と呼ばれる頂が白く、下が青いアポロチョコのような山を見た。
冥地功周の支配するユナイトファング・キョウト支部へ向かった。




