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ジャスティスタワー攻略戦3

 爆音が空間を満たす――。

 黒主部隊三人の力で階層ごとにあるリングエネルギーの結界を破りつつ最終の地下階層まで到達した。 すでに敵から奪った雪牙せつがのトサは弾薬も切れ近接のソードしか戦えるものが無い。

 三人はここまでたどり着くのに体力の大半を使い果たしている。

 当初の見込みでは、内部の敵は潮田含めて三十機あまり居たはずだった。

 しかし、すでに三十機以上の敵と遭遇している為に敵の戦力は図り知れない。

 だが、こちらは増援は見込め無い。

 セントラルは本部の威厳と威光を保つ為と、各支部の覇権争いで応援を簡単に頼め無い。

 故に水面下での各支部の勢力抗争から各支部の領土で起こった事件、災害は各支部で処理しなくてはならない。それが本部のユナイトセントラルに対する忠誠心だった。

 忠誠心の高さは予算の増加と領土の拡大、追加補充機の優先投入が見込まれる。以上の理由から黒主部隊は反逆者潮田を早々に捕らえ、大々的な極刑に処さなくてはならない。そうしなければ、ここまでの内乱により権威が崩壊したセントラル支部全体は上層部の人員全てが入れ替えられ、他支部の手足として働かなければならなくなるのである。

 すると、エアブレードのけたたましい音が聞こえ三人は立ち止まる。

『!』

 そこには銀色のトサ三十機が現れる。おそらくこれがこの場所にいるダイオクの戦力の全てだろうが、最後のボスである潮田は存在しない。すでに機械としての機能が無いカブトを捨てたレーコはチロルチョコが無い事を思い出し溜息をつく。黒く汚れたピンク色の髪の汚れを払い、もう一度サイドポニーにするレーコは言った。

「おーっと、私のお客だから私が相手するわよ。二人は先に行ってちょーだい」

『レーコ!』

 敵に突っ込んだレーコが二人を先に行かせて立ち回る作戦に出た。

 一人では絶対的に不利だが、潮田戦を目前にしてこれ以上のパワーを消費するわけにはいかない。

 ユナイトの軍人として最善の行動にレーコは出たのである。

 一気に三機を撃破したが、後続のトサにライフルを浴びて左腕から火花を上げて後退する。

 背後を振り向かないレーコは欠けたソードを捨て、両足の太腿からダガーを取り出し両手で構えた。

「さーて、久しぶりに桃色キリングを披露しようかしら」

「おい、レーコ。流石に敵が多すぎるぜ。演習じゃないんだぞ」

 その黒主の言葉にレーコは前を見たまま反論する。

「残念でしたリーダー。私が大好きなチョコ切れから起こるデスモードのストレスオートになったらユナイトで潮田教官以外に勝てた人はいたカニ?」

 ダガーを逆手に持ちながら指でカニのポーズを取る。

 黒主も雪牙も自分達に背を向ける一つの大義を現す少女に声をかけられない。

「生きて帰ったら、チョコパフェをバケツサイズで死ぬほどおごってもらうからよろしく!」

『任せろ!』

 そして、仲間を信じる二人は桃色の少女に背後を任せダイオクの真の総帥であり、ユナイファングの副支部長。そして、二人の教官でもある潮田海荷の元へと向かった。





 潮田海荷が待ちうける阿修羅の門がある前に銀色の三機のリングナイツがいた。

 パワード・トサを駆る三人の少女達は左肩に〈潮〉というマークがある。

 幾村に灰田、相馬の三人はユナイトファングセントラルの潮田海荷物の最も重用していた潮の三人衆である。

 ダイオクに加入してからはたまに戦場で見かけるくらいだったが、彼女等を相手にするのは黒主も初めてであった。

「……何だよ、まだこんな化け物がいたなんてな。この一月で俺はお前達すら超えたと思うぜ?」

「そうだなリーダー。潮田を倒すにはこの潮の三人衆を倒さないと倒せる相手ではない」

 目の前の強敵に武者震いがし、雪牙はソードを構えた。

 敵がどれだけ強かろうが、ここまで来たら戦うしかない。

 潮の三人衆の幾村が言う。

「三人なら潮田総帥とて苦戦する我々に勝てると思うなよ」

 そして両者は動き出す――。

「時間はかけられねー。全快で終わらせる」

 無言のまま黒主はダイナマイトをめちゃくちゃに投げた。

 その軌道の全てを読んだ潮の三人衆はダメージを受けない場所へ移動する。

 一つのダイナマイトの爆風をもろに浴びながら黒主は叫んだ。

「――ドラドラッド・ドラガーーーーーーーーン!」

 ブフォ! と幾村と灰田の回避した先に必殺の突きを全快で叩き込んだ。

 一瞬にして潮田の精鋭の二機は爆発し、相馬のみが残る。

 黒主は相手が規則通りに動くと予想し、ダイナマイトの影響の無い場所を計算していたのである。

 それに雪牙は驚いた。

「まだそんな体力が……」

「後先を考えてばかりいてダメージ受けてちゃしょうがねーさ。俺達の地獄はまだ始まってもいねーんだからな」

「そうだな……確かにそうだ」

 その雪牙は残るパワード・トサの相馬を見据えた。一撃で二人も倒された事に驚き相馬は言う。

「翡翠翔子大佐を倒したのは本当だったようだね。その強さ……どうしてそんな急成長を? 一体お前達には何があった……何をしたというのよ……?」

『何かをしたのはダイオクの潮田海荷だ』

 雪牙と黒主は同時に言う。

 そして雪牙は阿修羅の門の先にいる潮田海荷を思い、荒れ狂う敵をハイパー化したトサ・グランブレイドで倒した。

 二人は確実に強くなっている自身を持ち、阿修羅の門の前に立つ。

「おそらくここが最後の門だ。潮田はここにいるだろう。行くぞ雪牙」

 ズズズッ……と阿修羅が描かれた門が黒主の手によって開き、その奥に七本の剣を持つ白いトサが仁王立ちで立っている。それは潮田のみが操れる超絶技巧を必要とする専用機であるトサ・セブンソード。

「疲労困憊、満身創痍と言った所か。貴様等の大義。見せてもらおうか」

 左右三本計六本の腕に剣が持たれ、額には蛇腹のような海蛇のような剣が獲物を求めて蠢いている。

 この女を敵にするのは二人にとってやはり有り得ない事だった。

 心の中では幼少期から勝てない大人として君臨してしまっているからである。

 そんな二人の思考を無視するようにトサ・セブンソードは阿修羅のように飛んだ。



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