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突入

 地下トンネルを抜けて黒主ペアと別れた雪牙とレーコはビッグリングキャノンを破壊する為に入り組んだ工場地帯のような基地をエアブレードで駆け抜ける。

 灰色の制服を着るダイオクの少女達は突然の奇襲に焦りながら応戦を始める。

 黒主と藤原はその二人が自由に動けるように派手に基地内を破壊して回り、ダイオクのリングナイツである少女達を翻弄していく。

 その最中、ビッグリングキャノンが設置される見張り灯台に腕の甲からアサルトアンカーを射出し、外壁を無理矢理登る。

「おい、早いぞレーコ!」

「チンチンタラタラしてるとやられちゃうじゃない。一気にキャノンを破壊して撤退するわよ!」

 灯台の真下からの射撃に二人はシールドで防御しつつアンカーを巧みに使い上昇する。

 灯台の外壁にライフルの弾が弾け、コンクリートが剥がれて落ちた。

 二人のライフルは下の敵を倒して行く。

 間段なく撃たれる互いのライフルの火線は雪牙とレーコの心臓部分のアーマーの装甲を破壊させる。

(……不味いわね。心臓のメインコンピューターをやられたらハイパー化が!)

 自分の身体が多少重く感じるレーコはこれは重力に逆らっているからと心で念じつつ、

「一気に行くわよっ! もうすぐ屋上だもの! エアブレードで一気に外壁を上りきるわよ!」

 キュイインッ! と起動したエアブレードで真下の敵の攻撃を無視し、外壁を登る。

 灯台の最上階にいる司令室では各種モニターで現状をチェックしてる二人のオペレーターと一人の指揮官がいた。

「……甘いわ。キャノンを破壊したくば私を突破せねばならないのよ」

 すると、灯台のリングビッグキャノンを監視するダイオク前線基地大佐・翡翠翔子ひすいしょうこはセミロングの銀髪の前髪を不動明王の形のピンで留め、無線を通して言う。

「屋上のキャノンエネルギー製造部隊も外壁を登る敵を排除する事を優先して。もう遠くにはユナイトの部隊はいないはずよ。おそらく敵の偵察部隊がキャノンの性能に焦ってるだけだから奴等を倒せば全て納まるわ」

『了解』

 そして、雪牙達は上下から射撃され、屋上のビッグリングキャノンの破壊を一時諦め窓ガラスを突き破り、灯台内部に侵入した。監視カメラでその様子を確認する翡翠は内部で交戦を始める二人のネズミを見て不動明王のピンに触れる。

「……べろべろに甘いわねぇ」

 銀髪の女は仁王立ちの不動明王の如く呟いた。






 蒼と桃色のリングナイツが躍動する。

 雪牙のトサはソードとライフルを巧みに使い分け倒して行く。

 銀色のトサを駆る少女達は雪牙のライフル射撃とソードさばきに倒される。

 瞬く間に十機のトサが戦闘不能になった。

 ダイオクの少女達は男の癖に強いなと気を引き締めた。

 周囲を囲まれる雪牙は、ライフルを弾かれ全身をアサルトアンカーで絡み取られ動きを封じられる。

「くっ! やるな!」

『覚悟!』

「……!」

 ライフルを構える少女達に囲まれる雪牙は歯軋りした。

 この状況に離れているレーコは気付いていない。

 全力でもがく雪牙は敵のライフルの銃口を見据え――何故か力を抜いた。

『――!?』

 瞬間、敵の少女達は一斉にバランスを崩す。

「倒れろ乳の群れ! はあああっ!」

 絡まっているアンカーを思いっきり横に引っ張り、ドミノ倒しのように周囲を囲む敵を叩き付け合って一掃した。すると、少し離れた場所で交戦してるレーコの声が聞こえた。

「雪牙君、それで最後よ!」

「任せろ」

 シュン! と銀のソードが一閃して敵の少女達は崩れ去った。

 中層階の敵部隊を倒し、雪牙とレーコは上へ進んで行く。

 この状況でも平然としている雪牙にレーコは関心しながら言う。

 天上に影が走り、周囲を照らすライトがチカチカを点滅していた。

「流石は元スパイエージェントね。敵のど真ん中でも臆する事が無いか」

「ユナイトファングの任務は潮田教官という鬼に幼少期から叩き込まれているから怖いという感情は無い」

「人を殺すのは怖い。これは私達軍人が失っちゃいけない感情よ。忘れないでね」

「何故だ?」

「人間の愚かさを許せなくなるからよ。それは人を孤独にし、世界への憎しみに変わる」

 真上にいた敵をライフルで撃ちぬき、桃色のサイドポニーを揺らしてレーコは言った。

 

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