第61話 掃除のケルベロス作、小さい子限定ペタ洋服
「よし、話は以上だ。掃除用具で分からないことは?」
『う~ん、今のとこないかな』
『私も大丈夫そう』
『何かあれば、後で聞いても良いか?』
「いまは、だいじょぶみちゃい。でも、わからないことあったら、あとできいていい? って」
「ああ、もちろんだ。それでは問題がなければ、掃除を開始してくれ」
『は~い。よし!! まずは全員でこれを着よう!!』
『それでどこを綺麗にするか決めましょうか。全員で同じところを掃除してもね』
『3人ずつ別れるのはどう? 1人でやっても良いけど、一緒にやった方が、早く終わらせられることもあるし。最初はこの道具を使うけど、一緒に持たないといけない道具を、後で使うかもしれないでしょう?』
『それが良いかも』
『だな。じゃあ、まずは着替えて、それから3人ずつ別れて、それからどこ掃除するか相談だ!!』
『掃除だから、相談は少し』
『そうだね。相談で時間がかかるのはダメだよね。ささっ!! みんな着替えるよ!!』
『『『おー!!』』』
エドウッドさんによる、掃除道具と、他の説明が終わり、みんなそれぞれ動き出す。あー君たちが最初に選んだのは、エドウッドさんの新作道具、ペタ洋服だったよ。
ペッタンって、魔獣から出る粘液を使って作られる、ガムテープみたいにペタペタと貼り付けることができる道具があったでしょう?
作りはペッタンと同じ、だけどペッタンよりも粘着力が弱いんだけど、でも細かいゴミを、しっかりとくっ付け取ることができる、ペタという物があって。
エドウッドさんは、そのペタを使い、みんなの洋服を作ったんだ。まぁ、洋服と言っても、しっかりした洋服じゃないけど。
こう、まずペタの布を2つ折りにして、折った部分に切り込みを入れ、そこから頭を出せるようにする。
と、これだけでも、もちろん動くことはできるけど。この状態だと前と後ろで、布がヒラヒラしちゃうでしょう? だから腰くらいのところで、前と後ろの布に紐を通し、その紐を結べば、ペタはヒラヒラ動かなくなって、腕はそのまま脇から出す。
後は、かぶるタイプだから、足も自由に動くし。こんな感じの簡単な洋服、貫頭衣みたいな物を、作ってくれたの。
早速、ペタ洋服を着るあー君たち。ただ、なぜか最初に着終わった、きー君としー君が、くっ付いてみようと言い出し。向かい合って、ペタッとそのままくっ付いちゃったんだ。
それを見て、せっかく作ってもらったのに、離れられなくなってダメにしちゃったらどうしよう、と慌てたよ。だけど、
「離れるぞ!」
「うん」
そう言って、きー君としー君が、お互いに別方向へ歩き始める。すると、粘着力があるはずなのに、ペリペリペリと音を立てながら、綺麗に離れることができたんだ。
「よし、じゃあ次はムムギだ!!」
今度は、その辺に落ちていたムムギを、ペタ洋服に付ける、きー君としー君。そうして、付いたムムギを取ろうとしたんだけど、すぐには取れなくて。今度は、思い切り体をブルブルと動かすと、ポロポロとムムギが取れたの。
『『『おお~』』』
「何をやっているんだ?」
「きーくん、ちーくん、なにちてるの?」
『どれくらいのくっ付くか、やってみたんだぞ!! それからどれくらいの取れるかもな!!』
『ペタとペタだと、すぐ取れる。でもムムギはすぐに取れない。ちょっと力いる。うん、ちょっと。ちょっとだから、力入れているとは言えない?』
かなり激しいブルブルだったけど、本人たちはそうでもないのかな? 無理していないなら良いけど。
「このペタは、ペッタンよりも粘着力は落ちるが、それでもかなりの粘着力だ。しかし、この粘着力は、他と違う特徴を持っている」
『特徴?』
「ペタ同士がくっ付くと、無理なく綺麗に剥がすことができる、という特徴と。他の物はしっかりとくっ付けることができるし、くっ付けた物をポロポロと、途中で落とすことはないのだが。少々衝撃を与えると、それらも綺麗に取ることができる、という特徴だ」
なるほど、だからきー君としー君は、綺麗に離れることができて、ムムギの方は、力の強いブルブルで取ることができたのか。
『じゃあ、いっぱいムムギを付けてから、ゴミ箱の上か、ゴミを溜めている場所で、ブルブルをすれば良いってことね』
『面白いね。ゴミだけじゃなくて、他のことにも使えそう』
『おもちゃとしても、1着ほしいわね』
「……ふむ、そう言っているか。では、掃除が終わったら、あらためて感想を聞き、そのあと考えてみよう」
『リア、オラも欲しいんだじょ』
『ぴぴぴぴぴ!!』
え? ピィ君とミッケも欲しいの? 頼んでみるけど、どうかな? みんな人型だし、羽部分もペタに切り込みを入れて、そこから羽を出して飛んでいるんだよね。って、羽は大丈夫なのか? くっ付いて飛べないってことは? 私は急いで、あー君たちに聞いてみた。
『あ、それなら大丈夫。くっ付きそうだなと思って、ぴーの粉かけといた』
『美味しい花を、細かく粉にして、どこでも食べられるように、持ってきているのよ。マジックバッグと同じ感じかしら。私たちは魔法で何でもしまえるの。それでね、粉をかけると……』
妖精の国に、ペタペタくっ付く、面倒な草があるらしくて。その場所へ行く時は、この花の粉をかけてから行くらしいんだ。そうするとぜんぜんくっ付かずに、飛ぶことができるみたい。
この草と、同じようにすれば、ペタに羽が付かないんじゃないか、ということで。みんな粉をかけたら、やっぱりくっ付かなくなったみたいだよ。
「しょなんだ。じゃ、あんちんね」
うん。羽問題は解決か。となると、ピィ君とミッケの問題は、姿が鳥とタヌキってことだよね。う~ん、頭から被るだけだとね……。
「えどうっどしゃん、ぴぃくんと、みっけもほちいみたい。あたちもいっちょに、ちゅくるので、ちゅくってもらってもいいでしゅか?」
「ピィとミッケか……。分かった。後でいろいろと考えてみよう」
「ありがちょ、ごじゃましゅ」
『みんな着替えた!?』
『私は良いわよ!!』
『ぼくも!!』
『よし!! じゃあみんな良いってことで、3人ずつ別れて、部屋の半分ずつ片付けようか』
『それが良いわね』
『おう! そうしようぜ!』
『じゃあくじ引き!! ピィとミッケで別れよう!!』
くじ引きというか、組みで別れる時に、毎回揉めていたから、まったく同じ棒を用意し、先っぽに色をつけてあげてね。それで引いてもらったんだよ。同じ色の子と組みになるの。
そうしたら、みんなこれを凄く気に入って。それからはいろいろな棒を作って、組み分けするようになったんだ。今日は、ピィ君とミッケの絵が書いてある棒を使うみたい。
総団長さんが、絵を描くのがとっても上手でね。割り箸サイズの物にも、本物そっくりな、完璧な絵を描いちゃうの。だからピィ君とミッケの絵も、本人たちそのまま!! って感じの絵が描かれているんだ。
『決まり!! 僕と、あおと、ぴーが組みで、きーと、みーと、しーが組みね。さぁ、みんな、掃除開始だよ!!』
『『『おー!!』』』




