第54話 面倒な奴らが暴れた時の正しい対処法とは?
「森で誰か暴れたようだ。人間か他の種族か、それとも魔獣か……」
『えー、また誰か暴れたの?』
『なんで、みんな暴れるんだろうね』
『自分の物は何も壊さないのに、森や林や、みんなが住んでいる場所を壊しまくるんだから』
『それだけじゃないよね。自分が暴れて、自分の物を壊してさ。自業自得なのに、そのことをこっちのせいにするんだよな』
『そうそう、それでさらに暴れるのよね』
『怒りたいのは、僕たちの方なのに。まぁ、最後にはちゃんと怒って、二度と悪いことができないようにするけどさ』
『そう、お仕置きだよな!!』
「あるばーとしゃん、なんのはなち?」
「ああ。時々、理由もなく自然を壊し、自然に生きている生き物たちを攻撃してくる者たちがいるのだ。そのせいで森は2度と元の姿に戻らなくなり、魔獣たちの命が消えたり、住処を奪われて移動を余儀なくされたりする。私たちも対処しているのだが……」
アルバートさんの話によると、どうも自分たちの楽しみのために、自然破壊や、自然で生きている魔獣たちを、いじめる人たちがいるらしいんだ。それでいつも結構な被害が出るんだって。
もちろんアルバートさんたちや、被害のあった場所に近い街から、獣騎士さんたちや、人の方の騎士団も、取り締まりに行くよ。だけどそれでも、完全に全員を捕まえることができず、問題になっているみたい。
それで、あー君たちの言ったことだけど。あー君たちや、自然の中に生きる生き物たちも、ただ黙って、そういう人たちの好き勝手にさせているわけじゃないんだ。
その場所で力を持っている魔獣たちが力を合わせ、そういうダメな連中に制裁を与えるんだ。時と場所によって、あー君たち妖精たちも、一緒に制裁を与えるんだって。
ただ、その制裁に関してなんだけど……。どんな制裁? って聞いたら、アルバートさんは答えてくれなくて。でも、一瞬だけ、あのいつも無表情なアルバートさんが、ニヤッと笑ってね。それが何とも言えなくて、私はそれ以上聞かないことにしたよ。
と、まぁ、こんな感じで、面倒な人たちがいるらしく。今回の爆発は、今度私たちが、ローゼンベルトさんに連れて行ってもらう予定の森で起きたみたで、たぶん総団長さんたちが調査に行くって。
って、今度行く森!?
「もちかちて、いくのだめになる!?」
『ぴぴぴ!?』
『ふぁ、なんだじょ!?』
『え? どういうこと!?』
『なになに? どうしたの!?』
「めんどなひとたち、もりでばくはちゅおこちてる。じゃあ、しょのひとたちつかまえるまで、あたちたちいけない!? ちゅかまえても、しゅぐにいけないかも!!」
総団長さん……は行くかわからないけれど。獣騎士の誰が行っても、絶対に犯人は捕まえるだろうから、それに関しては別に心配なんかしていないよ。
でもね、もしも犯人たちのせいで、森が酷いことになっていたら? というか、さらに酷くなったら?
だって、今からみんな調査しに行くでしょう? その間、犯人たちは自由ってことで、それで被害が拡大しちゃうかも。森の強い魔獣たちも、最初は様子見で、すぐに攻撃できないかもしれないし。そうなると、森がどれだけ被害を受けるか。
まずはもちろん、森に住んでいる生き物たちと、森が優先ね。何か被害が起きていて、私たちにできることがあるなら、何でもやってあげたい。
ただ、何とか森を守る事ができても、そのあと私たちが、森へ遊びに行けるか、っていうのは、また分からないでしょう? もしかしたら当分の間、森に入ったらいけない、なんてことになるかもしれないし。そうなると……。
私はさ、一応中身は大人だから我慢できるけど。でも、ピィ君もミッケも、あー君たちも、みんなずっと楽しみにしてたんだよ。ピィ君とミッケなんて毎日、森へ遊びに行く、ごっこ遊びをするくらいなんだから。
そんな楽しみにしているみんなが、森へ行けなくなるのは、ちょっと……。
私はすぐに、そのことをアルバートさんに話したよ。すると、私の話を聞いたピィ君やミッケ、あー君たちが、一気に大騒ぎし始めた。
『わわわ!! 大変!?』
『僕たちの楽しみを奪うなんて!!』
『そんなこと許せないわ!!』
『俺たち、行くの楽しみにしてるんだぞ!!』
『そうだ!! 今からみんなで、やりに行こうよ!!』
『そうね!! それが良いわ!! ピィ、ミッケも、もちろん行くでしょう!!』
『ぴぴぴぴーっ!!』
『もちろんだじょ!! すぐに捕まえに行って、ビシバシなんだじょ!!』
『みんな、行くよ!!』
『『『おーっ!!』』』
「お前たち、落ち着け。おそらくだが、お前たちが行かなくとも大丈夫だろう」
『えー、何でそんなこと分かるの!?』
『まだ、誰も森に行ってないんだよ!』
『誰が悪いことしてるか、分かってないじゃん!!』
『早く確かめないと、間に合わなくなっちゃうかもしれないわ!!』
「私も、絶対とは言えない。が、おそらくこれ以上、森が壊されることはないだろう」
『だから、何でそんなことが分かるの!!』
『私たちの、楽しい森なのよ!!』
『ぴぴぴぴ!!』
『そうなんだじょ!! リアとお出かけなんだじょ!! 他の人たち気にしないで、お出かけなんだじょ!!』
「お前たち、私がお前たちに嘘を言った事があるか? ないだろう」
『それはそうだけど』
『でも、楽しみなんだよ!』
「みんな、たのちみ。じゅっと、たのちみにちてた。しょれに、もりもちんぱい。まじゅしゃんと、ほかのいきもの、けがちてるかも」
『ぴぴぴ!!』
『やっぱり、行った方が良いんだじょ!!』
「はぁ、分かった。ヒルドレッドたちよりも、私の方が早く移動できるからな。私が先に行き、森の様子を見てくる。そして犯人がいれば、すぐに捕まえよう」
『じゃあ僕たちも……』
「お前たちはやめておけ。それと、リアたちもだ。皆がまた心配するからな。お前たちは厨房で待っているんだ。サイラスには私が話をする。相手が人間程度ならば、私1人ですぐに押さえ込めるからな」
『まぁ、アルバートならね』
『それじゃあ、アルバートに任せましょうか』
『アルバートが行ってくれるなら良い』
「はぁ、では厨房へ行くぞ」
こうして、全員で厨房へ向かった私たち。ドタバタと厨房に入った私たちに、サイラスさんは最初、少しだけ驚いていたけれど。アルバートさんがサイラスさんに事情を説明すると、サイラスさんは快く、私たちを迎え入れてくれて。
そしておやつを食べた後は、あー君たちはうちへ帰ることになって。私たちは、厨房のすみで、何かしながら、待つことになったんだ。
「それでは、私はブランデンに伝えたあと、森へ向かう」
『あっ、待ってアルバート。僕たちも行くよ。リアとピィは、ここで待ってて。すぐに戻ってくるから、おやつの用意してて』
『あー、どうしたの?』
『あれだよあれ』
あー君がミッケたちに話しをする。
『ああ、なるほど』
『それが良いわね』
『よし、それじゃあ、アルバート行こう!!』
『リア、ピィ、待っててなんだじょ!!』
そう、ミッケたちは言い残すと、アルバートさんも、まったくなんなんだと言いながら、厨房から出て行っちゃったんだ。
ただ、ミッケたちは、本当に10分くらいで戻ってきてね。チラッと話しを聞いたら、せいっちの作った入口から、森へ行ってもらったって。
なるほどと思った私。それから20分くらいして、ヒルドレッドさんたちも、森へ向かって宿舎を発ったんだ。




