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異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~  作者: ありぽん


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第36話 願っていた回復、そして忠告

「ささ、並んで並んで」


 全てのニーンをマジックバッグにしまい、まとまって並ぶ私たちと、あー君たち。


「今から、君の部屋とこことを直接移動できるように、入り口を作るからね」


「ちゅくってもらっていい?」


「普段は、人がいる場所には作らないんだけどね。ここの場所に、変な人たちを近づけたくないから。でも君は特別。それにアルバートも他に話さないだろうし。それに、もしバレそうになったら、ミッケたちに消してもらうから大丈夫だよ。作るのは時間がかかるけど、消すのは一瞬だから」


「そうなんだじょ!」


「それに、今は時間がないからね。直接に帰った方が良いでしょう? せっかく特別なニーンができたんだから。落ち着いたら、新しい入り口からどんどん遊びにきてよ。それでまた話をしよう」


「しぇいっち、ありがちょ、ごじゃいまちた!!」


『ぴぴぴぴ!!』


『ありがとなんだじょ!!』


『せいっち、僕たち、みんなが元気になるの見たら帰ってくるよ』


『最後まで確認しないとね』


「うん、それで良いよ。じゃあ、リア、最後まで頑張るんだよ。もうすぐ、みんな元気になるからね」


「あい!!」


「それじゃあ、入り口を開くよ! ……はい、これで君の部屋と繋がったよ!」


え? もう? 入り口を消すのは一瞬って言ってたけど、作るのも一瞬じゃん。せいっちが作ったからかな?


 せいっちが手を上げると、ミッケたちが作った入り口と似た入り口が、一瞬で地面に現れたんだ。ミッケたちの入り口よりも、より綺麗で、より力が強いって感じかな。


「さぁ、みんな、行って行って」


『おいら1番なんだじょ!!』


『ぴぴぴぴ!!』


 ミッケが入り口に入り、続いてピィ君が。それから、あー君たちが次々と入り口へ入っていく。せいっちのしっかりした入り口だから、バラバラに入っていっても大丈夫らしい。そして残ったのは、私とアルバートさんだけになったよ。


 私は最後にもう1度、せいっちにお礼を言う。


「しぇいっち、ほんちょに、ありがちょ、ごじゃいまちた!!」


「いいっていいって。それにあれを完成させたのは、僕じゃなくてリアたちだからね。リアたちの想いで、獣人たちを助けられるんだから」


 私はギュッと、マジックバッグを抱え込む。


 そう。黄金のニーンじゃなくて、虹色になったニーン。結論から言うと、私たちは最高級のニーンを作ったらしい。


 黄金のニーンは、不治の病を治すことができる。もちろんそれは、他の体も不調にも効くのは当たり前だけど。

 虹色のニーンを食べると、不治の病が治るどころか、2度と重病にかかることがなくなるんだって。それに、怪我もしにくくなるとか。


 少しくらいのことなら、無傷で終われるらしい。どのくらいかっていうと、魔獣の中で最強とされているドラゴンに襲われても、数回だったら無傷でいられるくらいだって。


 せいっちも、虹色のニーンがあることは知っていたけれど、見るのは初めてで。まさか見られるとは思ってなくて、驚いたって言っていたよ。


 そんな凄いことしか起こらない虹色のニーンを、私たちは全てのニーンで、作ることができたんだ。10本全部ね。予備にもらった分は、後で時間がある時に作りにくれば良いって。


 ということで、虹色ニーンをマジックバッグにしっかりとしまい。私たちは今、宿舎に戻るところなんだ。それでせいっちが、私の部屋とここを繋げてくれたんだよ。


「本当に助かった。礼を言う」


「ほら、もう良いから、行った行った」


「リア、行こう」


「あい!」


 アルバートさんと手を繋ぎ、入り口の中へ入ろうとする。と、その時だった。


「あっ、言うの忘れるところだった」


 そう、せいっちが呼び止めてきたんだ。


「何だ?」


「君たちのところにいる、フィンレイ・ストーンフォードだけど。彼には気をつけて。彼のことを考えると、リアは絶対に1人にならない方がいい」


「やはり危険なのだな」


「ああ。あれは悪意の塊だからね。何をしてもおかしくない」


 急にフィンレイ・ストーンフォードの名前が出て、ちょっと驚いたけど。ミッケも、近づかない方が良いって言ってたし。せいっちがそう言うってことは、本当に危険なんだろう。


 いやぁ、良かった。初めて会った時、あの黒に気づかず、向こうへ行かなくて。


「分かった。リアからも、フィンレイ・ストーンフォードからも、目を離さないようにする」


「うん、そうして」


「よし、行くぞ」


「あい!」


 そうして入り口に入る私たち。周りが見えなくなる瞬間、私はせいっちに手を振って。気づくと、宿舎の自分の部屋にいたんだ。


「よし、今からキーファンとイライアス呼ぶ。2人は、私たちがどこに行っていたのか知っている。私たちだけで、ニーンをどうにかするのは時間がかかるから、2人に手伝わせよう。……キーファン、イライアス、今戻った。リアの部屋へ来てくれ」


 エルフは、エルフ同士なら、少し離れた場所に居ても、話ができる力を持っているんだって。だから私の部屋からでも、キーファンさんとイライアスさんを、呼ぶことができるの。


 そして1分もしないうちに、キーファンさんが私の部屋へ来たよ。


「アルバート、お帰り。どうだった?」


「問題は解決だ」


「本当に!? ……彼の方が力を貸してくれたの?」


「ああ。自分からは名乗らなかったが、彼の方は精霊王で間違いないだろう。そして私たちに、いや、リアたちに、今回の問題を解決できる物を授けてくださった。……少々、今回のこととは別に、問題はあるがな」


「どういうこと? 病気は治るんだよね?」


「ああ、そちらは問題ない。……精霊王が問題だというだけだ」


「一体何を言ってるのさ? まぁ、良いや。詳しい話しは後で聞くよ。今は病気を治す方が先だからね。それとイライアスは今、あっちについてるから、ここにはいないよ」


「分かった」


 何か、コソコソ話を始めた、アルバートさんとキーファンさん。もう! 何を話しているかは分からないけど、時間がないんだから、先にこっちだよ。私は2人に声をかける。


「はやくしゅる!! じかんだいじ!!」


「あ、ごめんごめん。それで、僕は何をすれば?」


「せいっちは、少しずつで良いと言っていたからな。これから私が簡単に見本を見せる。あーたちには、今から私がやることをやってもらいたい。ここには今、たくさんの人間がいるからな。お前たちはここから出ない方が良いだろう」


『うん、そうだね』


『ここで、私たちができることがあるなら、そっちの方が良いわね』


「よし。リア、確かマジックバッグの中に、たくさん果物が入っていたな。それと食器も。それを出してくれ。もちろんニーンもだ」


「あい!!」


 私はすぐに、マジックバッグから言われた物を出したよ。


「え!? 何、このニーン!?」


「これは、せいっちから授かり、リアたちが作った特別なニーンだ。これで獣衰病を治すことができる。だが、これをこのまま食べさせるわけにはいかないからな。飲み物に混ぜて、飲ませる。いいか、この入れ物に……」


 アルバートさんがやったのは、魔法を使い、小さな木のボウルの中へ、果物をスムージーにして入れ。そしてそこへ、ニーンもスムージーにして入れる、だったよ。

 そうして、ごますり棒みたいな物でかき混ぜれば、ニーンの虹色が消えて、普通のフルーツスムージーみたいになったんだ。


 うん! これなら、ニーンのことに気づかれずに済むよ。さすがに、こんなに目立つニーンを、みんなの前で堂々と出せないもんね。それは何だって追求されても困るし。


「できるか?」


 そう、アルバートさんが、あー君たちに聞くと、


『これならできるじょ!!』


『うん! これならできるよ!』


『任せてちょうだい!』


 と、元気よく返事をしてくれるみんな。


「では、入れ物は8個あるから、8個分全て作ってくれ。私とリアとピィとキーファンで、ヒルドレッドたちに飲ませに行く。ピィとキーファンは、何か聞かれたら、上級のニーンが手に入ったと答えろ。ピィ、いいか?」


『ぴぃ!!』


 鳥系の獣人はピィ君と話せるからね。何か聞かれたら困るもんね。


「私はリアについて、右半分の患者たちを回る。キーファンはピィと、左半分の患者を回ってくれ」


「分かった」


「ぴぃくん、ちっかり、のましぇてね!!」


『ぴぃ!!』


「よし、では飲ませに行くぞ」


『リア、ピィ、頑張るんだじょ!!』


「うん!!」


『ぴぴぴっ!!』


 こうして、私たちはすぐに、最初の患者の元へ向かったんだ。


「ひりどれっどしゃん!!」


 ノックをして、最初に入った部屋は、ヒルドレッドさんの部屋。


「……おや、お帰りなさい。……思ったよりも早く戻りましたね」


 行く前、挨拶しに来た時に、詳しい話はしなかったから。あー君たちの知り合いで、しかも私とピィ君しか会えないってね。後でアルバートさんが、いろいろ話すだろうけど。私は、せいっちが精霊王ってことは黙っていないと。


「リアとピィとミッケ、そして精霊たちのおかげで、とても貴重な物を手に入れたのだ。上級のニーンだ。それを今、フルーツの飲み物に混ぜて、全員に飲ませる予定でいる。私たちの方は、お前が最初だ」


「……ニーンですか。……しかも上級の。……そんな貴重な物が手に入るとは。……あーたちの知り合いとは一体」


「とりあえず、先に飲め。私たちは忙しい」


「ひるどれっどしゃん! おはなち、あと!! いまはのむ!!」


「……ふふ。そうですね。……では」


 私はスプーンを使い、そっとヒルドレッドさんに、ニーン入りフルーツスムージーを飲ませてあげる。


 そうして3口ほど飲んだ時だった。いきなりヒルドレッドさんの体が、ぽわっと黄緑色の透明な光に包まれ、それからすぐ元通りになったんだ。そして……。


「……これは。今まで、あれほど苦しかったのに、全ての症状が消えた?」


 おおおおお!! こんなにすぐ、改善されるなんて!!


「もう少し飲め」


「え、ええ」


 次は自分で、小さな入れ物に入っていた物を、全て飲み干したヒルドレッドさん。今度は光ることはなかったけれど、さらに体が軽くなったみたい。


 そんなヒルドレッドさんを、アルバートさんがすぐに調べたよ。アルバートさんは、症状を調べることができる力を持っているんだ。鑑定みたいな感じらしい。


 それを、ドキドキしながら待つ私。そして。


「よし。全ての症状が消えている。獣衰病の表示も、完璧に消えたぞ」


「……本当に、獣衰病が治った?」


「うひょぉぉぉ!!」


 思わず奇声を上げてしまい、慌てて口を押さえる。


「これは一体……。いくら上級のニーンでも、ここまで、すぐに症状が治るわけが」


 そう言いながら、私とアルバートさんを見てくるヒルドレッドさん。アルバートさんは、いつもの無表情のまま知らん顔をしていて。私もそれを見習って、何でもありませんよ、って顔と仕草をしたよ。ちゃんとできていたかは、分からなかったけどね。


「……ふ。そうですか。これは、かなり上級のニーンだったようですね。アルバート、ありがとうございます。リア、何をしてきたのかは後で聞きますが、大変だったでしょう。本当にありがとうございます」


 そう言いながら、私をギュッと抱きしめてきたヒルドレッドさん。その体温は、あんなに熱が高かったとは思えないほど、いつも通りのヒルドレッドさんの温もりだったよ。


 良かった。私たちのニーンで、本当にみんなを救えるんだ。せいっち、本当にありがとう!!


 その後、一応もう少し寝ていた方が良いだろうと、ヒルドレッドさんをベッドへ戻し。私たちは次々と、他の部屋を回っていったんだ。


 ピィ君とキーファンさんの方がどうかな? アンドリューさん、今ピィ君たちが治してくれるからね!!

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