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異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~  作者: ありぽん


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第34話 精霊王のイメージがぁぁぁ!? 磨いて磨いて磨きまくる? ん?

 うん、分かるよ。そうなるよね。私だって、あまりのことに衝撃を受けたんだから。


 今、私たちの前には、あー君に連れられてきたアルバートさんが立っている。微動だにせず、精霊王をじっと見ているアルバートさんがね。


 本当に、助けてもらっておいて言うのはなんだけど。ごちゃごちゃファッションに、なんか中途半端なパリピみたいな人が精霊王だなんて。このことを話して、誰が信じてくれるっていうの。いや、絶対に信じてもらえない自信がある。


 もちろん、そのことは精霊王本人には言わなかったよ。本当に精霊王なの? なんて、そんな失礼なこと言えないでしょう。でも、なんか、なんか納得がいかない。


 私の読んでいたライトノベルや漫画に出てくる異世界。そこの出てくる、綺麗でカッコよくて、落ち着いている精霊王のイメージが!!


 前世では、1人暮らしを始めてから、好きな精霊王のグッズまで集め始めてたっていうのに。この差はなに? 何で、何でなの!! と、畑に着くまで、私は心の中でずっと叫んでたよ。心の中で叫ぶくらい許してほしい。


 ちなみに、セイッチというのはね。きー君が話してくれていた、せいっちが友人の獣人を助けたという話は、本当だったらしくて。その友人の獣人が、精霊の「せい」を取って、せいっちと名付けたらしい。


 しかも、移動している最中に、空中に光魔法で文字を書いてくれたんだけど、平仮名で、せいっちだったんだ。


 それで、ハッ!! とした私。そんな私に、せいっちは、


『全てが終わったら、話そうね』


 って言ってきて。どうにもその獣人、元日本人っぽいんだよね。もしかしたらバカ神が、私以外にもこの世界へ転生させた人がいたのかも……。

 まぁ、その辺は、せいっちの言う通り、今の緊急事態が治ってから、改めて聞くことにしたよ。


 と、そんな衝撃的な事実をいくつも聞きながら辿り着いた畑は……。それはそれは素晴らしい畑だった。


 あー君たちの家がある場所は、全体が光っていて綺麗だったでしょう? 畑も同じで、全体が綺麗に光っていて、広大で綺麗な畑が一面に広がっていたんだ。


 そんな綺麗な畑の上空を飛びながら、畑の中心へと連れて行かれた私たち。すると着いた場所にニンジンに似ている、ニーンと呼ばれる野菜が植えられていて。他よりも量が極端に少なかったかな。


 せいっちの説明によると、どうやたらこのニーンは、自然ではなかなか育たないらしく、でも精霊が育てると、少しは多く育てることができるんだって。ただ、精霊の力を使ったとしても、年にちょっとしか育たないみただけど。


 そんなニーンがなんと、100本以上も育っていて。ニーンは育っても腐ることはなく、そのまま何年も植えっぱなしで、ここまで溜まったって。


「精霊や僕が育てた野菜は、人間たちが育てた野菜と違って、神聖な野菜として育つからねぇ。味も効能もバッチリだよ。ね、みんな」


『『『ウエ~イ!!』』』


「ウエ~イ!!」


 って、みんな胸を張って言っていたよ。せっかくの神聖な野菜が、ウエ~イのせいでダメになりそうだから、やめた方が良いんじゃ? と心の中で思ったよね。


 ただ、ウエ~イの後は、すぐに病気の話に戻って。獣衰病の治療には、この神聖なニーンが必要で。宿舎にいる獣人たちを助けるには、10本くらいあれば十分だろう。

 それから、もしもこれからやることに成功したら、さらに私に予備として、5本くらいあげるからねって、せいっちは言ってくれて。


 これからやることは、まだ聞いていなかったけど。私が何かに成功したら15本も貰えるのかと、ウエ~イは別として、私はせいっちに何度もお礼を言ったんだ。だって普通じゃない、神聖な野菜を15本だよ? 何度お礼を言っても言い足りないくらいでしょう?


 でも、お礼はいいから、それよりも早くニーンを収穫して、次のことをしないとねって言われて。みーちゃんたちとニーンの収穫を始めた私たち。


「あるばーとしゃん、えと……」


 せいっちは精霊王だって、知られたくないって言っていたよね。じゃあ、せいっちで紹介した方が良いか? 

 私はそう思い、アルバートさんに何も言わず、ただの? いやこの状況で、ただのっていうのはおかしいんだけど。一応、ただのせいっちとして紹介することに。


「あるばーとしゃん、しぇいっちでしゅ」


 そう言いせいっちを見れば、頷いてくれたから、これで合ってたみたい。


「せいっちだよ、ちーすっ!」


『『『ちーすっ!!』』』


「……そうなのか」


 あーあー、いつもただでさえ感情を表に出さないアルバートさんが、無だよ、無。あのダメなカタリーナの時と同じ無だよ。

 せいっち、カタリーナと同じ反応されてるけど、それで良いのか? まぁ、せいっちの姿を見て、今みたいな独特の挨拶をされたら、仕方ないと思うけども。


 それというか、そんな言葉を使わない!! 挨拶は、ちーすっ! じゃなくて、こんにちはだよ! 精霊たちが真似しちゃってるじゃないか!! ウエ~イだけじゃなかったの!? まったく。これについても、後で話をした方が良さそうだね。でも、今は……。


「あ、あの! しぇいっちしゃん、びょきのなおちかた、ちってましゅ!! これからおちえてもらいましゅ!!」


「……そうなのか」


 あああああ!? 今度は信用していない顔だ! こんな人だけど、精霊王なんです! 信じてください!


「ささ、挨拶はこれで終わりねぇ。これから湖に戻って、やらないといけないことがあるから、君も付いてきて。とっても大切なことなんだ。これができないと、獣衰病は治せないんだよ。さぁ、みんな戻るよぉ」


 何か言いたげなアルバートさんををのままに、みんなでニーンを持って湖に戻り始める。そうして少しすると、アルバートさんが、


「あれは信じていい者なのか」


 って、他に聞こえないように、私にボソッと聞いてきたから、大きく頷いておいたよ。


「みためと、はなちかただめだけど、しんじてだいじょぶ」


 ともね。そんな私の答えにアルバートさんは、まだ完璧には納得していないって感じだけど、とりあえず表情は、いつも通りに戻ってくれたかな。そうして数分後……。


「さぁ、着いた。じゃあみんな、ここにニーンを置いて。リアとピィとミッケは、それぞれ1本ずつでも良いし、みんなで1本でも良いから、ニーンを持って僕の方へ来て」


 言われるまま、最初は1人1本よりも、みんなで1本の方が良いかなと思って、ピィ君とミッケにそう言うと、2人もそう思っていたみたいで。とりあえず、私が1本手に取り、3人でせいっちのところへ行ったよ。


「よし、これから何をするか説明するからね。まぁ、やること自体は簡単だから、問題ないと思うよ。やることは……」


 ドキドキしながら、せいっちの言葉を待つ。


「……やることは、磨いて磨いて磨きまくる、かな」


「はえ?」


『ぴぃ?』


『ほぇじょ?』


 思わず変な声を出しちゃったよ。


「だからね、やることは、このニーンを磨いて磨いて磨くだけ。ね、やることだけなら簡単でしょう?」


 いや確かに、磨くだけなら、小さな私たちでも問題なくできるだろう。ただ、この世界の野菜は、ジャガーやふわはねレターみたいに、不思議優しいが多いからね。それに、磨くのはただの野菜じゃなくて、神聖な野菜なんだよ?


「ほんちょに、みがくだけ?」


「うん、そう。この湖でね、洗って、磨いて、磨いて磨きまくるの。手でやっても良いし、道具を使っても良いよ」


 顔を見合わせる私たち。そんな私たちに代わって、アルバートさんが話を聞く。



「本当にそれだけか? どう考えても、それだけではないだろう? 私も一応、この野菜は知っている。だが、この野菜を磨いたところで、病気が治らないことも知っているぞ」


 あ、アルバートさん、この野菜を知ってるんだ。まぁ、自然では育ちにくいっていうだけで、育たないわけじゃないんだもんね。


「あるばーとしゃん、このおやしゃい、めじゅらちい?」


「ああ、私たちが暮らしている場所では、年に1本か2本、見つかるか見つからないかの、とても珍しい野菜だ。それが……、あれほどの量を見ることになるとは思わなかった」


 え? なかなか育たないって、年に見つかる数は1、2本だったの!? もう少し育つと思ってたよ。


 アルバートさんの話によると、このニーンはかなりのレア素材らしく、しかも重病が治ることも分かっていて。

 だから、商業ギルドと治癒師たちがその時々で値段を決め。料金は高いけれど、重病度が高い人から、ニーンを使った薬を使い、治療しするんだって。


 それでね、もちろんニーンを獣衰病に使ったんだけれど、それでも獣衰病は治らなくて。だから、獣衰病は不治の病のままなんだ。


「様々な方法で試してそれなのだ。それを磨くだけとは、そんなことあるはずがない」


「まぁね。そっちの方法じゃ、絶対に無理だよ。だって、獣衰病に効くニーンを作るには、この場所じゃないとダメだし、強い心と、想いが必要だからね。それで、磨いて磨いて磨いて、だよ」


 どういうこと?

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