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異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~  作者: ありぽん


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第27話 閉ざされた宿舎、獣衰病の恐怖

「フフフ、ハハハハハッ。これで、あの方々も終わりですね。本当に良い物を手に入れました」


 バジッ! ボワァァァッ!!


「これで良いでしょう。2日もあれば、あの宿舎にいた獣人たちはすべて……。ハハハハハ、ハハハハハハハっ!!」




        ************************




「あんどりゅーしゃん! もってきちゃ!!」


「リア、静かに」


「あ、ごめんしゃい」


「キーファン、イライアス。他の様子は?」


「皆、同じだよ」


「俺たちのところと、人間の方で何とか対応しているが、あまり良くないな」


「そうか。薬は足りているか?」


「今のところはある。だが、あと何日もつかは分からない」


「やはり、ここで作らなければダメか」


「作るにしても、材料を集めてこないといけない。冒険者ギルドと商業ギルドが、保管していた物をすべて持ってきてくれたけど、あの量じゃ足りないからね」


「依頼も出したようだが、それもどこまで集まるか。特殊な素材が必要だからな」


「ぴぃくん、みっけ。おもいきりしぼって。ぼたぼた、みじゅがたれるのはだめだよ」


『ぴぴっ!』


『分かってるんだじょ!!』


「せーの、ぎゅうぅぅぅ……」


『ぴぴ~』


『ぎゅう~じょ』


『ぴぴ?』


『どうだじょ?』


「……うん、だいじょぶ! あんどりゅーしゃん、たおる、かえましゅ」


「ゴホゴホッ、……悪いな、リア」


「おはなち、だめ! しじゅかにちてりゅ!」


 私は、アンドリューさんのおでこに乗せてあったタオルを取り、新しく、しっかりと絞ったタオルを乗せる。……取り替えたタオルは、ぬるいどころか、すっかりあったかくなっていたよ。


「……おみじゅ、のみたいとき、いっちぇくだしゃい」


「……ああ」


「……ぴぃくん、みっけ! ちゅぎは、ひるどれっどしゃんだよ!」


『ぴっ!!』


『分かったんだじょ!!』


「次は私がついて行こう。お前たちは、他の者の看病を」


「分かった」


「何かあれば、すぐに呼びに行くよ」


 アルバートさんとアンドリューさんの部屋を出て、ヒルドレッドさんの部屋へ向かう私たち。そうして静かにノックをして部屋に入ると、ヒルドレッドさんが床に倒れていたんだ。


「ひるどれっどしゃん!?」


『ぴぴぴ!?』


『大変なんだじょ!?』


「ヒルドレッド!!」


 急いでアルバートさんが、ヒルドレッドさんを起き上がらせる。私もすぐに、ヒルドレッドさんが使っていたタオルを回収。タオルは、アンドリューさんの時よりも、さらに熱くなっていたよ。


「あるばーとしゃん! おねちゅ、たいへん!!」


「ああ。今すぐ治療する!!」


 意識のないヒルドレッドさんをベッドに寝かせ、すぐに治癒魔法をかけるアルバートさん。それから私たちが、新しいタオルをヒルドレッドさんのおでこに乗せたところで、意識が回復したよ。


 どれくらい倒れていたのかは分からないけれど、治癒魔法ですぐに意識が戻って良かった。


「……アルバート、リア」


「はぁ……。お前は、悪化したらすぐに呼ぶように言ってあっただろう。そのために、呼び鈴も用意したんだ。どうせ、お前のことだ。心配をかけてはなどと、くだらない事を考えたのだろが」


「……今の状況、私だけではありませんからね。……少しくらいは、我慢しないと」


「それで倒れて、そのまま意識が戻らなかったらどうするつもりだ。最悪なことにもなりかねん。次は、すぐに呼ぶんだぞ。大体、リアとピィとミッケに、余計な心配をかけることになる」


「……そうですね。……リアたちに、これ以上心配をかけるわけにはいきませんから。……次は、ちゃんと呼ぶことにします」


「ひるどれっどしゃん! おみじゅ!!」


 私は、吸い口のついた入れ物で、ヒルドレッドさんに水を飲ませてあげる。


「……ふう。……少し、スッキリしました。……リア、ありがとうございます。……ピィも、ミッケも」


『ぴぴ!!』


『おいらたち、なんでもやるんだじょ! だから、なんでも言ってほしいんだじょ!!』


「……ふふ。ありがとうございます。……他は?」


「……お前と同じような感じだ。だが、はっきり言う。このままだと、医者が足りなくなる。それと、薬もだ。ここで一応、薬を作る予定ではいるが、そうなると材料が必要になるのでな。その対策を、これからするところだ」


「……そうですか。……街は?」


「街は、まだ何も起きていない。ここで発生しているだけだ」


「……なら良かった。……狙われましたかね」


「もしかしたらな。調べなければ分からないが、その可能性が高いだろう」


「……まったく。……ほぼなくなったと言われているものが、出てくるとは」


「マンレイ様にお聞きしたのだが」


「……さすがに、マンレイ様でも、これの対処法はご存知ありませんでしたか」


「……ああ。だが、完治した者がいないわけではない。今、その者たちの情報を集めている。どうにか解決策を見つけるから、お前たちはそれまで何としてでも持ちこたえろ」


「……ええ、皆さんが動いてくれているのですから。……そう簡単にはやられませんよ」


「よし。我々は、次の患者の元へ行く。いいか、次は絶対に、呼び鈴を鳴らすんだぞ」


「……ええ」


 さぁ、次はレーノルド先生の所へ行かないと。そう思いながら、先にヒルドレッドさんの部屋を出る私と、ピィ君とミッケ。


「……アルバート」


「何だ?」


「リアたちを、頼みます。……もしも私たちがいなくなった後のことも」


「……ああ、分かっている」


「あるばーとしゃん!!」


「今いく!!」


 呼ぶと、すぐにアルバートさんは部屋から出てきたよ。


「ひるどれっどしゃん、なにかいってちゃ?」


「いや 呼び鈴をならせと、もう1度注意していただけだ」


「しょか!」


「よし、レーノルドの所へ行こう」


「あい!!」


 一体、アルバートさんやヒルドレッドさんに、宿舎の中で何が起きているのか。それは一昨日、いきなり始まったんだ。


 その日、宿舎にいた獣人さんたちが、突然バタバタと倒れ初めてね。それはあっという間に宿舎の中で広まって、1時間もしないうちに、宿舎にいた獣人さんたち全員が倒れてしまったの。


 そう、アンドリューさんも、ヒルドレッドさんも、レーノルド先生も、総団長さんまで例外なく全員ね。


 何が起こったのか、まったく分からず、その場で固まってしまっていた私とピィ君とミッケ。でも、その時たまたま、装備品を届けにきてくれていた、人間のハーモンさんが、私たちを連れて冒険者ギルドまで行ってくれてね。


 それですぐに、宿舎に駆けつけてくれたギルドマスターたち。と、そこであることに気づいたギルドマスターは、直ちに宿舎を封鎖。

 獣人が誰も出入りできないようにした上で、街にいる治癒師を全員集め、さらに冒険者ギルドと商業ギルドからも人手を集めて、対応にあたってくれたんだ。


 それからアルバートさんにも連絡をしてくれて、アルバートさんと、たくさんのエルフさんたちも駆けつけてくれたの。


 そうして詳しく調べた結果、総団長さんを含め、獣人さんたち全員が、ある病気にかかってしまっていることが分かったんだ。


 病名は獣衰病。獣衰病は獣人だけがかかる病気で、急激な運動能力の低下、高熱、頭痛に、体全体が痛むこともあるし。他にも脱水症状や、幻覚を引き起こしことも。

 しかも、発症から1日で、ほぼ歩けなくなってしまって、獣人の力そのものが衰えていく、とても怖い病気なんだ。


 ……不治の病とも言われていて、死亡率がとても高いんだって。


 どうして発症するのかは、食べ物が悪いとか、自然に病気が発生するからどうしようもないとか。誰かが病気をばら撒いただの、いろいろ言われているけれど、ハッキリとは分かっていないみたい。


 それから獣人から獣人に移るっていう人もいるし、平気だっていう人もいるし、それも分かっていなくて。だから今、街にいる獣人さんたちは、家や宿から出ないように外出を控えるよう指示が出されているよ。


 対処法としては、治癒師に症状を抑えてもらったり、ポーションなんかで抑えたりするんだけど。効果は一時的で、すぐにまた具合が悪くなっちゃうんだ。しかも、だんだんと治癒魔法もポーションも効きにくくなっていって、最後には……。


 そんな恐ろしい病を、宿舎にいた全ての獣人が発症してしまったの。


 それで私は、総団長さんやアンドリューさんたちに、外にいて無事だったエディスンと一緒にいるように言われたけど。少しでも人員がいるっていうのを聞いて、みんなの看病をさせてほしいとお願いしてね。


 それで今は、アルバートさんや他のエルフさんたちと一緒に、みんなの使っているタオルを取り変えたり、飲み物を用意したりと。私にできることで、お手伝いしているところなんだ。


「リア、疲れたらすぐに言いなさい」


「あい!! でも。まだまだじぇんじぇん、だいじょぶ!!」


『ぴっ!!』


『おいらも大丈夫なんだじょ!!』


「そうか」


 みんなが大変なのに、疲れたなんて言っている暇はないよ。


 今回のために集められた、必要な物が置かれている部屋に入いると、すぐにタオルを入れ物に補充する私。


「……この者のためにも、どうにかできれば良いのだが」

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