第22話 初討伐成功! ハズレ味でウエ〜イ!!
随分カラフルなスライムたちだな? 普通、みんな同じ姿や色をしているんじゃないの? しかもめちゃくちゃキラキラしてるし。魔獣で、しかも自然界で生きている割には、派手すぎないか? それが私の最初の感想だったよ。
いや、本当に輝いていたんだ。まず大きさは、野球のボールより少し大きい個体から、サッカーボールを2倍にしたくらいの個体までいろいろで。まぁ、大きさに関しては、個体差があるんだろうなって感じかな。
問題は、姿の方ね。色は虹色全色と、他にもいろいろあって、どれも綺麗な透明色。しかも宝石みたいに、キラキラ、キラキラと輝いていて、太陽の光が反射すると、一瞬、眩しい!! ってなるくらいに輝いていたの。
私の中のスライムのイメージって、確かに種類は多いけど、そのほとんどが単調な色っていうか、目立たない色で、湿ったところに住んでいる感じだったんだよね。だから、キャンディーのことよりも、まず姿の方が気になっちゃったよ。
「きらきら、ぴかぴか、いろんないろがいっぱい。おなじいろじゃない?」
思わず、声に出してしまった私。そんな私に、すぐにレーノルド先生が説明してくれる。
キャンディースライムは、まだすべての色を把握しきれていないんだって。今分かっているだけでも、100種類以上の色があるらしい。つい最近も、新しい色が確認されたとか。
そして、そんなカラフルなキャンディースライムを倒すと、そのままの色のキャンディーになるみたい。味もそれぞれ違っていて、時々ハズレがあるから、それも含めて、みんな面白がって倒している理由なんだって。
「このまえは、つちのあじだった!!」
「あれはまずかった!!」
「なぁ、不味かったよなぁ」
「生ゴミあじもあったわよね」
「あれは最悪だった」
「だよなぁ、アハハハハハッ」
つち? つちって土? それに生ゴミ味? え、普通に嫌なんだけど。何その嫌なキャンディー。
私とレーノルド先生の話を聞いていたみんなが、笑いながら答えてくれたけど。いや、笑って話すことじゃないから。
「ハハハッ、確かにあれは最悪だったな。で、だな。あの姿でいつもどこにいるかといえば、湖の周りが多い。というか水周りだな。水に入った途端、水に体を溶け込ませる感じで、完璧に姿を消すんだ。だから……」
本当に、完璧に消えるらしい。しかもその時は、アンドリューさんもレーノルド先生も、他の人たちも、気配すら感じられなくなるらしいの。
例えば、湖で休憩することになって、湖の水を飲んでいたとするでしょう。その時、目の前をキャンディースライムが泳いでいたとしても、まったく気づかないんだって。
そんなキャンディースライムが、なぜか月に数回、いろいろな場所に出没するの。しかも、その現れたキャンディースライムを全部倒したとしても、少しすれば必ずまた現れてね。今までに、出なくなったっていう報告は、1つもされていないらしいよ。
キャンディースライムは、今も研究途中の、分からないことばかりの不思議スライムなんだ。
「せんせい! アンドリュー! やっていい!?」
「ああ、頑張れよ!!」
「気をつけろ。何かあったら、すぐに呼ぶんだぞ!」
「「「わぁぁぁ!!」」」
一斉にみんながキャンディースライム向かって走っていく。そして、みんな自分の得意な技で、キャンディースライムを攻撃!! ……したんだけど。
ヒョイッ!! と、攻撃を華麗に交わすキャンディースライム。
「さぁ、こちらもやってみようか。ちょうどこっちに3匹来たからね」
レーノルド先生に言われて、先生が見ている方を見ると、いつの間にか私たちの方へ、黄色とオレンジとマーブル色のキャンディースライムが近づいてきていたよ。
「子供たちの攻撃を、キャンディースライムは避けただろう? キャンディースライムは、スライムの中でも、攻撃を避けることに関しては、かなりの能力を持っているんだ。しっかり攻撃するのはまだ難しいだろうが、相手がどちらに避けるのかを予想しながら攻撃するといい。先生がやってみよう」
レーノルド先生はオレンジ色のキャンディースライムの前に立つと、その辺に落ちていた石を拾ったよ。そして……。
「今、このスライムは、右に避けるぞ!!」
そう言いながら、石を投げるレーノルド先生。すると先生の言った通り、キャンディースライムは右に避けたんだ。
「今度は左だ!!」
もう1度、レーノルド先生が石を投げれば、また言った通りに左に避けるキャンディースライム。
「どうだ? よく見ると、避ける前に、体のどちらかがフルフルと震えるんだ。それで、どちらに避けようとしているのかが分かる」
え? 震えてた?
その後も何度か攻撃を外して、キャンディースライムの動きを見せてくれた先生。でも、全然震えが分からなくて、私もピィ君も、思わず首を傾げちゃったよ。
「やはり無理か。これは大人でも見分けが難しいからな」
えー、大人でも難しいの? じゃあ、私なんか絶対に分からないじゃん。ピィ君だってまだ子供なんだよ? というか、キャンディースライムって、美味しいってみんな喜んでるけど、実はいろいろ凄いスライムなんじゃ?
分からないことばかりだし、水の中なら誰にも見つからず、無敵っぽいし。大人でも分かりにくい避け方をするしさ。
ムスッとしてしまう、私とピィ君。
「ハハハッ、そうムスッとするな。分からないと分かっていても、一応、最初に教えることにしているんだ。そうすれば、みんなが練習するときに、気をつけて相手を見るようになるからな。それに、分からなくても、別に倒せないわけじゃない。見てみろ。みんな、誰かと一緒に攻撃しているだろう。一緒に攻撃することで逃げ場をなくし、しっかり攻撃をする」
そう言われてみれば……。みんなを確認すると、確かに2~3人で集まって、キャンディースライムを倒していたよ。
「だから、リンとピィも一緒に攻撃すればいい。慣れるまでは、大人の誰かが一緒にやってやる。今日は俺とアンドリューだ。さぁ、やってみよう」
レーノルド先生とアンドリューさんが、オレンジ色のキャンディースライムの前後に立ち。私とピィ君で、左右から攻撃する作戦ね。黄色とマーブル色は、他の獣騎士さんが逃げないように、見てくれているよ。
じわじわと、キャンディースライムに近づいていく私とピィ君。そうして私は、剣を振れば届く距離に、ピィ君も、突撃すれば届く距離まで近づいた。
「一緒に攻撃だぞ」
「しっかりと攻撃しなさい」
「あい!」
『ぴぃ!』
「ぴぃくん!!」
『ぴぴぃ!!』
お互いの目を見つめて頷き合い、そして……。
「ちょおっ!!」
『ぴぴぴぃっ!!』
私の剣と、ピィ君のツノ突撃で、キャンディースライムを同時攻撃!! と、これがバッチリ決まって。
私の方は、剣でキャンディースライムを切った感触は、大きくて少し硬めのゼリーを、スッと切った感じで。それで切ったところから、コロコロ、パシッピシッと、キャンディースライムの体が崩れていってね。
ピィ君の方は、ツノでキャンディースライムの体を貫通。その貫通したところから、やっぱり、コロコロ、パシッパシッと体が崩れていったよ。
本当に、これなら素手でいけるかも。でもせっかく剣をもらったから、剣で攻撃するけどね。
「よし、良いぞ!! 見ろ! そこに、平べったい石みたいなのが出ただろう?」
見ると確かに、キラキラした体の中に見えていた、平べったい石みたいな物が、弾けたスライムと一緒に地面に落ちていたよ。
「それがスライムの核だ。それを踏みつけて壊しても良いし、硬いもので叩いて壊しても良い。今の状態なら、簡単に壊れるからやってみろ」
ピィ君が、私がやっていいって、仕草で譲ってくれたから、私は急いで剣で核を叩く。核を壊さないと、すぐに復活するって教えてもらっていたから急いだの。
ピシッ!!
アンドリューさんの言った通り、剣で叩いくと簡単に割れた核。
すると、キャンディースライムの、まだ崩れていなかった部分がプルプルと震えて、数秒後、軽く弾け飛んだんだ。そして、弾けたキャンディースライムは、まったく動かなくなったよ。
「……」
『……』
「よくやった!」
「初めての魔獣討伐、おめでとう!」
レーノルド先生とアンドリューさんがそう言いながら、私とピィ君の頭をそれぞれ撫でてくれて、ようやく実感が湧いてきた私とピィ君。
「たおしぇちゃ」
『ぴぴぴぴ』
「うへへへへ」
『ぴゅぴぴぴぴ』
自然と笑い声が漏れちゃったよね。
そうして調子に乗った私たちは、この後1回だけキャンディースライムに避けられたものの。黄色とマーブル色のキャンディースライムも、しっかり倒すことができたんだ。
そして私たちが倒す間に、他の子たちもみんな、無事に討伐完了。
全てもキャンディースライムの討伐が終わったら、色が混じらないように、それぞれ小さなカゴに入れてささっと水洗い。すぐに風魔法で乾かしたら、これでスライムキャンディーの出来上がりだよ。
さぁ、キャンディーパーティーの始まり始まり!
「う~ん、おいしい!!」
「あっ、これ、バナ味だ!!」
バナは、バナナに似ている果物ね。
「ちぇっ、これは木の味だ」
「あ、これは、はなのみつのあじ!!」
今日は、ほぼ当たりみたい。木の味はハズレ。
私とピィ君の初めては、私はオレンジ色を食べてミカン味。ピィ君は、黄色を食べて、ブドという、ぶどうに似ている果物の味だったよ。
そして、マーブル色だけど……。
「わぁ!? 掃除の布味だ!!」
「わぁぁぁ!?」
「おぇぇ!?」
掃除の布味? ……雑巾か!! うわぁ、大ハズレだ。でもみんな、おぇぇと言いながら、喜んでない?
今日の大外れに、盛り上がるみんな。レーノルド先生の言った通り、みんな、当たりと同じくらい、ハズレも期待していたらしい。
ああ、もう。ピィ君まで一瞬舐めて、ダメだこりゃって感じでひっくり返ったし。もう、わざわざそんなの舐めないでよ。
はぁ。でも良かった。最初にマーブル色を舐めなくて。最初が雑巾味なんて、いくら他が美味しいスライムキャンディーだって分かっていても、絶対、その後食べるのを躊躇するようになるところだったよ。
『ぴぃ~』
私が考えているうちに、また雑巾味を舐めるピィ君。
「お、ピィも好きな感じか?」
「この木の味も、舐めてみるか?」
「ぴぃ!」
だから、そんなの舐めるなって!
「「「うえ~い!」」」
『ぴぴ~い!』
……お前たちはパリピか!! そんなので盛り上がらないでよ!!
こうして、せっかくのキャンディーパーティーは、雑巾味のキャンディーパーティーへと変わり、キャンディーパーティーが終わるまで、続くことになったんだ。
はぁ、あとでピィ君には、しっかり注意しなくちゃ。




