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アストラ・リンク:天界と接続できる唯一の学生  作者: Aditya Kushwaha
Volume 1

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第6章:|高層の不安《ハイ・ライズ・アンザイエティ》

「最悪だ」 強風に煽られながら俺は叫んだ。 「マジで最悪だ!」


現在地、地上40階。


正確には、俺たちは『スカイライン・プラザ』の剥き出しになった鉄骨の上に立っていた。3ヶ月前に「構造上の不安定さ」を理由に工事が中断された建設現場だ。


リアは幅15センチしかない鉄骨の上を、まるで公園を散歩しているかのように歩いていた。下を見ようともしない。


一方、俺は中央のコンクリートの柱にコアラのようにしがみついていた。


「泣き言を言わない」リアは振り返りもせずに言った。「高所は戦術的優位タクティカル・アドバンテージを与えてくれるわ」


「優位だと?」俺は恐る恐る下を覗き込んだ。通りの車がホットウィールのミニカーに見える。「もし足が滑ったら、道路のシミになるまでの10秒間、自分の人生の選択を走馬灯のように振り返ることになるんだぞ!」


「なら滑らなきゃいい」彼女はこともなげに言った。


彼女は足場の端で立ち止まり、眼鏡をタップした。 「数値が跳ね上がってる。作業員たちが逃げ出したのは構造上の問題じゃないわ。クレーンに何かが巣を作っていたからよ」


俺はさらに15メートル頭上にそびえ立つ黄色いクレーンを見上げた。強風を受けてギシギシと音を立てている。


「巣?」俺は唾を飲み込んだ。「ハトとか?」


「ええ。もしハトの翼幅が2メートルあって、羽の代わりにカミソリが生えていればの話だけど」


キイイイイイッ!


金属と金属が擦れ合うような金切り声が雲を切り裂いた。 見上げると、クレーンから影が剥がれ落ちた。急降下してくる。


禿鷹ハーピーヴァルチャー・ハーピー。鳥と人間の死体が混ざり合ったような異形だ。腐った灰色の羽、長く曲がったクチバシ、そして鉤爪のついた人間の腕が生えている。


接触コンタクト!」リアが叫び、刀を抜いた。「アリアン、注意を引いて! 私が側面を突く!」


「注意を引く?」俺は柱から手を離した。「おい! そこのブス! お前の母ちゃんニワトリだろ!」


ハーピーは金切り声を上げ、急旋回して俺を睨みつけた。そのビーズのような黒い目が俺をロックオンする。 翼を畳み、爆弾のように突っ込んできた。


「やべ」


俺は左手を掲げた。ブレスレットはすでに輝いている。


『戦闘モード』 『化身(アバター)炎神(アグニ)


ボォォッ!


炎が俺を包み込んだ。落下の恐怖が消え、炎の神の攻撃的な衝動に置き換わる。肌が木炭色になり、髪が燃え上がる。


「来やがれ!」俺は歪んだ声で咆哮した。


掌を突き出す。バスケットボール大の火球が上空へ放たれた。


外れ。


ハーピーは空中で信じられないような機動を見せ、体をひねった。火球はかすりもせずに通り過ぎていく。


「遅い!」上の梁からリアが叫んだ。


ハーピーが俺のすぐ横をすり抜け、その鉤爪が俺の胸を削った。


ガギンッ!


岩のように硬化したマグマの皮膚が、内臓をぶちまけられるのを防いでくれた。だが、衝撃でバランスが崩れた。 足が鉄骨から滑り落ちる。


「うわっ!」


俺は手足をばたつかせ、燃える手で鉄のケーブルを掴んだ。 ケーブルがジューッと音を立て、俺の握力と熱で溶け始めた。


「悪いアイデアだ! すげえ悪いアイデアだこれ!」


俺は地上40階で宙吊りになった。ハーピーは旋回して戻ってくると、嬉しそうに鳴いた。俺が罠にかかったことを理解しているのだ。奴は俺の攻撃範囲外に留まり、俺が落ちるのを待っている。


(飛ばなきゃダメだ)俺は必死に考えた。(あいつみたいに動くんだ)


俺は脳内ディスプレイのグレーアウトしたアイコンを見た。


風神(ヴァーユ)


「システム!」俺は叫んだ。「風神(ヴァーユ)を解除しろ! 今すぐ寄越せ!」


『アクセス拒否』 『エラー:ユーザーの精神状態が不適合です』 『現在の状態:パニック/執着(アタッチメント)』 『要求される状態:解脱(デタッチメント)


「俺はめちゃくちゃ解脱してるぞ!」掴んでいるケーブルがブチブチと切れ始める中、俺は叫んだ。「物理的にビルからデタッチ(分離)しそうだっつの!」


ハーピーが再び急降下を開始した。鉤爪が俺の顔を狙っている。


「アリアン、手を離して!」リアの声だ。


俺は質問しなかった。手を離した。


俺は3メートル落下し、下の階の床に激しく着地した。 俺が落ちると同時に、リアが上の影から飛び出した。銀色の刃が閃く。


ザシュッ!


急降下から体勢を立て直そうとしたハーピーの翼を、彼女の刀が捉えた。黒い血が飛び散る。 怪物は悲鳴を上げて空中で体勢を崩したが、無事な方の翼を羽ばたかせ、高度を取り戻した。わずかに届かない距離でホバリングしている。


奴は俺たちを睨みつけた。知性があり、怒っている。リアが飛べないこと、そして俺が良いカモだということを理解したのだ。


奴はクチバシを開いた。高周波の音波が俺たちを襲う。


「音波攻撃!」リアが耳を塞ぎ、顔をしかめた。下の階のガラス窓が粉々に砕け散る。


頭が割れそうだ。俺は膝をつき、体の周りの炎が明滅した。


「攻撃が届かない!」俺は頭を抱えて叫んだ。「速すぎるんだよ! このままじゃなぶり殺しだ!」


リアは立ち上がろうともがいていた。「地面に落とさないと! 遠距離攻撃はないの? ビームとか!」


「狙えない!」俺は叫んだ。「動きが速すぎる!」


俺はハーピーを見た。奴は俺たちを嘲笑っている。奴は自由だ。俺は鉄骨にしがみつき、重く、不格好で、無駄な怒りに燃えているだけだ。


(考えろ)俺は自分に言い聞かせた。(もし俺が風になれないなら……風を利用するしかない)


俺は周囲を見渡した。作りかけのビルだ。防水シート、瓦礫、そして……。 端の方に積まれた、工業用セメントの袋の山。


「リア!」俺は叫んだ。「飛べと言ったら飛べ!」


「何をする気?」


俺はセメントの袋に向かって突進した。ハーピーは俺が動いたのを見て、トドメを刺そうと急降下してくる。


「今だ!」


俺は燃える拳をセメントの山に叩き込んだ。破壊するためじゃない。加熱するためだ。 炎神(アグニ)の熱を、袋の中の空気にすべて注ぎ込む。


超高温になった空気は膨張する。爆発的に。


ドカンッ!


袋が粉塵爆弾のように破裂した。灰色のセメントの粉塵が大量に噴き出し、瞬く間に足場周辺の空気を埋め尽くした。


ハーピーはその中に突っ込んだ。粉塵が目に張り付く。粉を吸い込んでむせ返る。 そして何より重要だったのは、粉塵が風の流れを可視化したことだ。灰色の雲の乱れで、鳥がどこにいるかがはっきりと見えた。


「見えた!」俺は叫んだ。


俺は鳥を狙わなかった。その上にある、クレーンのケーブルを狙った。


俺は精密で細い炎のビームを放った。火球じゃない。レーザーカッターだ。


バシュッ!


鋼鉄のケーブルが切断された。クレーンの巨大な金属製フックが、粉塵の雲を切り裂き、振り子のように落下した。


ガゴォォォン!


それは目潰し状態のハーピーに、解体用鉄球レッキング・ボールの威力で激突した。


怪物は潰れたカエルのような声を上げ、骨が砕けた。空から叩き落とされ、俺たちの下にある30階のコンクリート床に激突した。


屋上に静寂が戻った。風の音だけが響く。


俺は力を抜いた。炎神(アグニ)の形態が消えていく。俺は鉄骨に寄りかかり、汗とセメントの粉まみれになって座り込んだ。


「勝ったか?」俺はゼーゼー言いながら尋ねた。


リアは刀を下ろした。俺を見て、粉塵の雲を見て、また俺を見た。彼女は頬についた汚れを拭った。


「即席の目潰しに、環境利用」彼女は採点するように言った。「雑ね。ものすごく雑」


彼女はカチリと音を立てて刀を納めた。


「でも」彼女はわずかに微笑んだ。「新人(ニュービー)にしては悪くないわ」


俺はニヤリと笑い、サムズアップを返した。そして下の30階を覗き込んだ。


ハーピーは動いていない。だが、別の何かが動いていた。 死体から、濃い紫色の霧が立ち上っている。霧は消えることなく集まり、形を成していく。人の形だ。


リアもそれに気づいた。彼女の笑みが消えた。


「普通の死骸の消滅反応じゃない」彼女は囁いた。「アリアン、立って」


紫色の霧は、ダークスーツを着た人影へと変わった。 そいつは40階の上にいる俺たちを見上げ、手を振った。 そして、影の中へと消えた。


「誰だ、あいつ?」 俺は尋ねた。風とは関係ない寒気が背筋を走った。


「トラブルよ」リアは深刻な声で言った。「特大のね」

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