表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アストラ・リンク:天界と接続できる唯一の学生  作者: Aditya Kushwaha
Volume 1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/25

第9章:|好敵手の重み《ウェイト・オブ・ア・ライバル》

「伏せろ!」


俺は理由を聞かなかった。その場に膝をつく。背中の炎が轟音を立てて燃え盛る。 ヴィクラムが俺の背中を跳び箱のように使い、空中で回転した。彼の革靴が、迫りくる悪霊(レイス)の顎を砕く。


バキッ!


悪霊(レイス)が床に叩きつけられる。俺は即座に追撃した。 「爆炎撃(パイロ・バースト)!」


俺は拳を地面に叩きつけた。炎の噴水が噴き上がり、再生する間も与えずに悪霊(レイス)を焼き尽くした。


「遅いぞ」ヴィクラムは優雅に着地し、ネクタイを直しながら批判した。「それに部屋を暑くしすぎだ。整髪料が溶けるだろうが」


「こっちは文字通り燃えてるんだよ、ヴィクラム! 少しは手加減しろ!」 俺は叫びながら、彼の足を掴もうとした骸骨を吹き飛ばした。


俺たちは講堂の中央で背中合わせになっていた。生徒たちは出口へ殺到していたが、紫色の結界が完全に封鎖していた。


リアは天井の梁のどこかにいて、メイド服のエプロンから投げナイフを取り出し、食屍鬼(グール)を狙撃していた。


死霊術師(ネクロマンサー)はステージの上空に浮かび、不愉快そうにしていた。 「印象的だな。粗削りな精霊使い(エレメンタル)と、遺伝子強化された兵士か。だが、それは運命を先延ばしにしているに過ぎない」


彼は両手を上げた。部屋中を渦巻く紫の霧が、さらに濃くなる。 霧が圧縮され、数百もの「影の槍」へと形を変えていく。


死の雨(デス・レイン)死霊術師(ネクロマンサー)が囁いた。


障壁(バリア)!」 ヴィクラムが叫んだ。彼はポケットから小さな金属のディスクを取り出し、床に投げつけた。エーテル技術(エーテル・テック)だ。 青い六角形のドームが展開し、俺たちを覆った。


ガガガガガッ!


影の槍が障壁を叩く。青い光が明滅し、亀裂が入る。


「保たない!」ヴィクラムが歯を食いしばった。顔中から汗が吹き出している。「奴は支柱ピラーを狙ってる! 天井が落ちたら、中にいる全員が死ぬぞ!」


俺は見上げた。彼の言う通りだった。槍は俺たちだけを狙っているんじゃない。講堂の構造自体を破壊しようとしている。 出口の真上――怯えた一年生たちが固まって震えている場所――にある巨大なコンクリートの梁が、悲鳴を上げ始めた。


ピキッ。


亀裂が入った。


「あの子たちが!」俺は叫んだ。


俺は走り出そうとしたが、炎神(アグニ)形態フォームは重かった。足が溶けた床に沈み込む。俺は戦車であって、ジェット機じゃない。


「俺が行く」ヴィクラムが言った。


彼は待たなかった。障壁の安全圏から飛び出した。


「ヴィクラム、待て!」


彼は速かった。人間離れした速度だ。 数トンのコンクリート梁が崩落するのと同時に、彼は生徒たちの元へ到達した。 彼は梁を受け止めようとはしなかった。猛烈な勢いで生徒たちを突き飛ばし、落下地点から弾き出した。


ズガァァァン!


梁が地面に激突した。土煙が舞い上がる。


「ヴィクラム!」俺は咆哮した。


土煙が晴れた。 ヴィクラムは生きていた。辛うじて。 彼は転がって避けようとしたが、距離が足りなかった。コンクリートの梁が、彼の右足を完全に押し潰していた。 「完璧な王子様」からは一度も聞いたことのない、生々しい、悲痛な叫び声が響いた。


死霊術師(ネクロマンサー)が笑った。「高潔な自己犠牲か。退屈極まりない」


彼は動けなくなったヴィクラムに指を向けた。空中で紫色の巨大なエネルギーの槍が形成され始める。トドメの一撃だ。


「やめろ……」 俺は前に出ようとしたが、距離がありすぎる。炎神(アグニ)は強力だが、鈍重だ。一歩一歩が泥の中を歩いているようだ。あの槍を焼き払うことはできるが、間に合わない。


(俺は遅すぎる。怒りすぎている。ただエネルギーを燃やしているだけだ)


俺はヴィクラムを見た。彼が俺を見た。 その目はもう傲慢ではなかった。彼は恐怖していた。


『自由』リアの声が記憶の中で響いた。『何かに縛られている(アンカー)限り、あんたは風にはなれない』


俺は死霊術師(ネクロマンサー)への怒りに縛られていた。死への恐怖に縛られていた。 手放さなければならない。敵を破壊する必要はない。ただ、そこに辿り着けばいいのだ。


俺は目を閉じた。炎への燃料供給を絶った。


フッ……


周囲の轟音が瞬時に消えた。熱が去る。突然の冷気が肌を刺す。


『警告:炎神(アグニ)、停止』 『ユーザー心拍数、低下中』 『精神状態:解脱(デタッチメント)


俺は目を開けた。死霊術師(ネクロマンサー)は見なかった。俺とヴィクラムの間にある「何もない空間」を見た。 それは距離ではない。ただの空気だ。そして空気は流れるものだ。


「システム」俺は囁いた。「風神(ヴァーユ)


ブレスレットは今度は抵抗しなかった。滑らかに回転し、ダイヤルが緑色に変わる。


『アクセス承認』 『化身(アバター)風神(ヴァーユ)


熱さはなかった。感じたのは「無重力」だ。 重力が俺への干渉を諦めたかのようだった。足が地面から浮く。 戦場の音――悲鳴、崩れる瓦礫の音――が、遠くのハミングのような音に変わった。


死霊術師(ネクロマンサー)が紫の槍を発射した。それは弾丸のようにヴィクラムの胸へと迫る。


俺には、それが水の中を進んでいるように見えた。


俺は一歩踏み出した。摩擦はない。俺は地面を蹴ったのではない。空気そのものを蹴ったのだ。


ヒュンッ。


ソニックブームが残っていた窓ガラスを粉砕した。 1ミリ秒前、俺は部屋の中央にいた。 次の1ミリ秒、俺はヴィクラムの目の前に立っていた。


俺は槍を止めなかった。その必要はない。 俺はヴィクラムの襟首を掴んだ。


「捕まってろ」俺は言った。その声は、そよ風の囁きのように響いた。


俺は動いた。世界が色の帯となって流れる。 紫の槍は、ほんの一瞬前までヴィクラムがいたコンクリートに突き刺さり、虚しく爆発した。


俺たちはすでに講堂の反対側、高いバルコニー席の上に移動していた。


俺はヴィクラムを下ろした。彼は喘ぎながら、潰された足を押さえた。周囲を見回し、方向感覚を失っている。 「何が……今、何が起きた? お前……テレポートしたのか?」


俺は自分自身を見た。 皮膚は半透明になり、蜃気楼のように揺らめいている。 髪の毛はなくなり――代わりに、白い風の霧となって背後にたなびいていた。 足は床に触れていない。


「いいや」俺は言った。人生でかつてないほど体が軽い。「ただ歩いてきただけだ」


俺は下の死霊術師(ネクロマンサー)を見下ろした。 彼はヴィクラムがいたはずの空白の場所を見つめ、混乱していた。キョロキョロと探し回っている。


「どこへ行った、ドブネズミめ!」死霊術師(ネクロマンサー)が怒鳴った。


俺はバルコニーから足を踏み出した。 落ちなかった。俺は空気の上を歩き、ゆっくりとステージへ向かって降りていった。


「おい、霧野郎ミスト・フェイス」俺は呼びかけた。


死霊術師(ネクロマンサー)が見上げた。俺の周りに脈動する緑色のオーラを見て、奴の目が見開かれた。


戦車タンクを倒せる火力はあったみたいだな」 俺は言い、その場から消え――奴の真後ろに再出現した。 俺は奴の肩をポンと叩いた。


奴は振り返り、鋭い爪で切り裂いた。だが、奴が切り裂いたのは俺の残像だけだ。


「だが、風を殴れるか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ