悪女による、華麗なる悪役一家プロデュース計画
「セレスティア! 貴様との婚約を破棄する!」
婚約者である王子殿下の隣には、勝ち誇った表情の伯爵令嬢。まあ、想定の範囲内ね。
「貴様には代わりに辺境伯ユースティス・ロットバルトとの結婚を命じる。さっさとこの王都を出て、田舎に引っ込み、そして二度と私の前に姿を現すな」
だけど、これは思いもよらなかったわ。遠い土地に追いやろうなんて、余程私が目障りなのかしら。
「新しい結婚の世話をしてくださるなんて、慈悲深くいらっしゃるのですわね」
「ふん、慈悲だと? あいにく、悪女たる貴様にやる慈悲など持ち合わせていない」
そう。私、公爵令嬢セレスティアは、王都では悪女として有名だった。王子殿下とも、その寵愛を受ける伯爵令嬢とも敵対した、完全なる鼻つまみ者。だけど、私は悪女と呼ばれるのが好きだった。悪女には悪女の流儀がある。人々に嫌われながらも、その華麗で鮮烈な輝きで誰よりも存在感を放つ。それが私の目指す悪女像よ。
「相手はあのロットバルト伯爵だ。内心焦っているのだろう?」
そして、ロットバルト伯爵もまた、王都までその汚名が届いている完全なる悪役。悪役同士の結婚。面白いじゃない。
「いいえ、私、喜んでそのお話をお受けいたしますわ」
私は悪女らしく微笑んで、会場を後にした。
*
さて、王都を離れること十数日。私はようやく辺境伯邸へとたどり着いた……のだけれど。あら、出迎えもないのかしら。あちらからも随分と嫌われているようで。
私は屋敷の入口の扉を開ける。途端、頭から水がばしゃりと降り注ぐ。
「あなたが婚約破棄された負け犬女ね!」
目の前には、にやにやと笑っているおちびさんが一人。
「下品な女にはその格好がお似合いよ。お父様に取り込もうたって、好きにはさせないんだから。分かったら、出直してくることね」
ユースティス様には娘がいる。名前はティファナ。前妻との間の子供。まあ、その前妻は夫に嫌気がさして逃げ出したらしいけれど。
ティファナもまた、父親と並んで評判が悪い。他の令息令嬢と関わる度、トラブルを起こし続けた結果、巷では悪女だとか言われているのだとか。
「取り込もう、ではなくて、取り入ろう、よ。お馬鹿さん」
だけど、こんなおちびさんが悪女だなんて、とんだお笑い種だわ。この程度、子供のくだらないいたずらじゃない。
「別に間違ってないもん。わざとだもん!」
「あら、そうなの? どちらにしろ、お出迎えしてくださるなんて嬉しいわ。こんな仕掛けまでして。もしかして、私が来るまでずっとここに待機していたのかしら。ご苦労様ね」
扇子を広げ、くすっと笑みを浮かべる。それだけで、ティファナは顔を赤くして逃げて行った。まあ、随分とあっけないのね。
「ようこそお越しくださいました」
代わりに現れた家令が、私のことを案内する。
「旦那様はほとんどお屋敷にはお戻りになりませんので、そのおつもりで」
家令の話を聞きながら、私は家の中を見回す。随分と趣味の悪い家だこと。変にぎらついた装飾品が、ごたごたと飾られているわ。きっと全部偽物ね。試しに手すりをこすって見ると、真っ白な埃が指につくし、掃除もきちんとされていないみたい。
これは、想定外のめちゃくちゃさだわ。もしかすると、ロットバルト家の内情は、私が聞いていた通りじゃないのかも。
*
その日の夜、私は旦那様抜きの夕食の席に着く。テーブルの遥か彼方、ふくれっ面のティファナは、私と目が合うと、ぷいと顔をそむけた。
「美味しくない。ティファナ、こんなのいらない」
ティファナは食器を床に落とす。家令やメイドが、ため息をこぼす。
「まったく、困った子ね。私が正しい文句の言い方を教えてあげるわ」
私は家令を見る。
「先ほど、帳簿を見させてもらったの。随分と食事に費用がかかっているようだけど、それに見合う食材が使われているのか疑問だわ」
「そ、それは……」
家令の額には、冷や汗が浮かんでいる。
「家具や調度品も、値段と見合っているとは思えないの。私が新しく選びなおすから、そのつもりで。これからこの家で何か購入する時は、必ず女主人の私に確認を取ってちょうだい」
使用人たちは、素早く視線を交わす。この反応、やっぱり黒ね。この家で使われているのは、それも粗悪品ばかり。主人に放置されているのをいいことに、帳簿に付けた金額より安価な代替品を使って、浮いた費用を横領している。さしずめそんなところでしょう。
さて、それから、私は順調に家の中を作り直していった。ロットバルト邸は、堂々たる悪役にふさわしい、品のある内装になった。
使用人たちは一掃しようかとも思ったけれど、あえて取り込むことにした。この屋敷の使用人は、そろいもそろってお金にがめつい。だけど、私、がめついのは嫌いじゃないの。利にさとい方が、頭が悪いよりよっぽど上手く動いてくれる。
あちらも誰に従うのが得策か判断したのね。数日もたつころには、みんな忠実な使用人になってくれた。
そんな中、ティファナはまだ私に反抗してくる。私だけじゃなくて、使用人たちに対しても、いつもぎゃあぎゃあわめいていて。この娘をどうしましょう。自分をしかる存在もなく、望みも全部かなえてもらえる、自己中心的なわがまま娘。話で聞くティファナは、そういう子供だった。だけど……。
「まったくお嬢様は……。なんであんなのに付き合わないといけないんだか」
「下賤な血が入っているせいよ」
「そうそう。噂じゃ、本当は旦那様の娘じゃ……」
「こら、それはだめだろ。とにかく」
ティファナの後始末をしながら、使用人たちが毒づいている。
「あら、盛り上がっているようね」
現れた私に、使用人たちの顔がほころぶ。この笑顔、いかにも小悪党ね。
「お嬢様の、奥様に対するひどい言動の数々。私たち使用人一同、奥様のご心労のほど、よく分かります。何かありましたら、ぜひ私共にお伝えくださいませ」
一般的な継母なら、使用人たちをけしかけて、一緒にティファナをいじめでもするのかしら。だけど、私はそういう安っぽい悪役じゃないの。
「あいにく、私は自分の手で娘を教育することくらいできるわ。こそこそと陰口をたたいている暇があったら、調度品の運搬に回ってちょうだい」
期待外れの反応に、使用人たちは逃げるように去っていった。
「あなたも、泣いている暇があったら、もっとするべきことがあるはずよ」
私は柱の陰でべそをかいていたティファナに言った。実は、さっきから気付いていたのよ。
「みんなの気を引くために、問題ばかり起こしていた。そうなのでしょう?」
この子は悪女でも、意地の悪い子供でもない。ただの寂しい女の子だ。
「だって、お父様、ティファナのこと見てくれないんだもん。お母様だってティファナのこと置いて出て行っちゃった。屋敷のみんなも、ティファナのこといっつも放っておいて。悪女になれば、みんな、ティファナに構ってくれると思ったんだもん」
「構ってもらおうだなんて、とんだ甘い考えね」
だけど、私は悪女。優しく言葉なんてかけてあげないわ。
「いい? 本物の悪役っていうのは、その華麗で鮮烈な輝きで、人々の視線を引き付けるものなのよ。目障りと思われ、憎まれたとして、人々は気になって仕方ない。そんな悪女になりなさい」
「なりなさいって言われても……」
「安心なさい。私があなたを立派な悪女に育てるわ」
「……娘を悪女にしようだなんて、とんだ悪いお母様ね」
ティファナは、ふっと笑った。
そして、悪女教育が始まった。
「悪役こそ、知識と教養が求められるものよ。決め台詞を間違えるのはもう卒業よ」
「マナーや礼儀作法は完璧に。不作法は品のない小悪党に見えてしまう原因よ」
「その笑い方じゃ、ただのいじめっ子だわ。扇子を取り出すタイミングはこう……。顔の角度は……。口元は……」
ティファナもまた、変わり始めた。
さて、後は旦那様ね。妻は家出。商人とは癒着。領地は荒れ果て、中央への税も滞っている。それが王都で耳にした話。けれど、私はここで情報を集め、一つの結論にたどり着いた。
*
その日、ついにユースティス様が屋敷に戻ってきた。
「お初にお目にかかります。セレスティアですわ」
年齢は私より十も上。顔立ちは、噂にたがわぬ悪人面ね。
「そうか。婚約破棄の件、ご心労のことだろう」
「いいえ、ご心配には及びません。私、ここに来るのが楽しみでしたの。ロットバルト伯爵といえば、私と同じく、悪名高い方ですもの。いったいどんな方かと期待しておりましたが……。正直、期待外れです」
ぴくりとユースティス様の眉毛が動く。
「妻には托卵の上、逃亡される。使用人たちには侮られ、屋敷の中はめちゃくちゃ。もはや領地の支配権はなく、大商人、豪農らが我が物顔で牛耳っている。悪役が聞いてあきれます。あなたはただいいように利用されているだけの人間です」
これは、使用人から聞き出したことだ。離婚の原因は、ユースティス様じゃない。前妻は、結婚した時点で既に別の男の子を身ごもっていた。ユースティス様はそれに目をつぶった。しかし、前妻はあろうことか、生まれたばかりの娘を置いて、男のもとへ走ってしまったのだ。彼が口をつぐんでいるのをいいことに、散々に彼に問題があったかのようにでっち上げて。
この話を聞いて、普通なら、あら、悪人じゃなくて、いい人なのね。良かったわ——とでも言うのかもしれない。けれど、私はそうは思わなかった。
「いいように利用され、陰で嘲笑われる。そのような悪役、私はごめんです。悪役というより、ただ頭が悪いとしか思えません。あなたにはまるで悪役たる輝きがないのです」
目の前にいるのは、もはや全てを諦め、ただ周囲に流されるまま生きている人だった。
「それはあなたも同じではないか。婚約を破棄され、都を追われ、私を押し付けられた。もはや、あなたに何の輝かしさがあるというのだ? そもそも、悪役というものは輝かしいものではない。結局、我々は人生の敗者。人々から見放され、見下げられる存在でしかない。あがくだけ無駄なことだ」
人生の敗者……。王子殿下が心変わりをされ、私は瞬く間に悪女になってしまった。最初は受け入れられなかった。私は負けたのだと、そう思った。
「それでも、私には悪女としての矜持があります。たとえ人々に嫌われようが、憎まれようが、私は自分の誇れる、輝かしい悪役像を貫きます。そうする限り、私は負けないのです」
「あなたは……諦めていないのだな」
「ええ。そして私は、ユースティス様のことも諦めておりません。妻として、私があなたをプロデュースします。必ずや、あなたを立派な悪役に……ロットバルト家を、華麗なる悪役一家にしてみせますわ」
「……そうか。ならば、あなたの好きなようにやってみるといい」
*
さて、言ってしまったらもうやるしかない。ロットバルト家を、華麗なる悪役一家にするため、まず、財政を立て直さなくちゃ。
ロットバルト領では、商人たちがかなり力を持っている。私はその商人たちを抱き込むことに成功した。ユースティス様が今まで何もしていなかったのが、逆に幸いだったわ。ロットバルト領は、自由に動ける場所として、多くのやり手商人——要するに悪人の一種ね——らが集まっていた。悪人同士は、利害関係の一致ですぐに仲良くなれるものなのよ。
さあ、これから彼らと協力して、この領地を発展させましょう。
ユースティス様は、言葉通り、私に好きなようにやらせてくれた。まさかここまでやらせてくれるとは思わなかった。王子殿下には、少し進言しただけで、目障りだと嫌な顔をされてしまったのに。それどころか、ユースティス様は、積極的にサポートしてくれるまでになっている。
「あなたが目障りかだって? まさか、とんでもない」
私の質問に、ユースティス様は言った。
「あなたのことは尊敬している。逆境の中でも、誇り高く生きているところにな。私も見てみたくなってしまった。あなたの言う、華麗で鮮烈な輝きを放つ悪役というものをな。正直に言うと、あなたが来てくれてから、私はとてもわくわくしているのだ」
怒られるどころか、褒められてしまったわ。変なの……。何かしら、この感情は。想定外よ。
「それに、あなたのおかげで、ティファナも幸福そうだ。感謝している」
そうだった。その問題が解決していないのだったわ。
「ティファナは、私が本物の父でないことを知っている。私はあの子から、母親だけでなく、本物の父親すらも奪ってしまったのだ。その私が父親面をすることは、決して許されることではない。だから、あなたがあの子の側にいてくれて、とても助かる」
こればかりは、私にはどうしようもないのかしら……。
*
そんなある日、一人の女が屋敷にやってきた。前妻が今更になって戻ってきたのだ。どうやら、例の不倫相手ともうまくいかなくなって、元の鞘に収まろうという算段だとか。
前妻を前に、私、ユースティス様、ティファナが座る。
「私には既に新しい妻がいる。あなたの戻る場所はない」
ユースティス様が重い口を開いた。
「妻? 王子殿下の怒りを買って、婚約破棄をされた負け犬の? そんな女を置いておく利点なんて何もないわ。私はティファナの母親よ。ここにいる権利があるの。そうでしょう、ティファナ? こんな下品な女が側にいるより、本物のお母様がいた方がいいわよね?」
けれど、
「何を言っているのかしら。あなたが私のお母様ですって? 私のお母様は、セレスティア・ロットバルト、ただ一人よ。勘違いしないでくださる?」
と、ティファナは私が教えた通り、扇子を取り出し、華麗に悪女らしく笑った。
それに、母親の顔が赤黒く染まっていく。
「そう。それが母親に対する物言いなのね。ティファナ、言っておくけど、あんたはこの家の子供じゃないから。子供も偽物。母親も偽物。ほんと、滑稽だわ。かわいそうなくらいにね。こんな最悪な家族、今までお目にかかったことがない」
ひどい言い草ね。ここは悪女たる私がびしっと——
「私の前で、妻と娘を愚弄するとは、随分といい度胸をしているな」
その時、ユースティス様が、骨の髄まで凍てつくような、冷たい声を出した。
「さっさと目の前から消えろ。三秒以内だ。さもなくば、貴様を豚の飼料箱の中に入れて、そのまま船に乗せ、外国に送るぞ」
人って、こんなに恐ろしい顔ができるものなのね……。
「あんたたちのこと、全部言いふらしてやるから!」
前妻はわめいていたけれど、使用人たちに連れ去られていった。
「少しは悪役らしく振舞えただろうか」
しばらくたって、ユースティス様はそう言った。
「……ええ。なかなか様になってきましたわ。ユースティス様も、そしてティファナもね」
「お母様の特訓のおかげよ。ありがとう」
そう言った後、
「お父様もありがとう。ティファナのこと、娘って言ってくれて」
と、ティファナは小さな声で言った。
「……たとえ何と言われようが、あなたは私の大切な娘だと思っている。これからはあなたと、父親として向き合っていきたい。もし、あなたがいいと言ってくれるのならだが」
震えるその声に、ティファナは静かに頷いた。きっとこの二人はもう大丈夫ね。
「二人とも、私をかばってくれてありがとう」
結局、私は何も言わないまま、気付けばこの二人に守られる形になっていた。
「当たり前だ。我々はもう家族なのだから」
「そうよ。セレスティアは、私のお母様だもん」
守ってもらうなんて、悪女失格かしら。それとも、今の表情の方が失格かしら。なんだか顔が熱い。家族になるのが、この二人で良かった。心からそう思う。きっと私は、もうこの二人のことが大好きなのね。
*
それからも私の改革は進み、ロットバルト領は、目覚ましい発展を見せていった。
既に繋がりのあった商人へ多額の融資を行い、彼らの事業は拡大。商売の独占を認める代わり、売上の一部をおさめさせる。陸路や海路の整備を進め、どんどん関税が入ってくる。特に港の整備は、国外との取引も活発にし、収入はかつての数十倍にも膨らんだ。
貴族の面々は、ここを汚い金で作られた虚栄の町だと罵っているとか。私たち夫婦は、悪徳領主夫妻といったところね。まあ、中央にいるのは、勃興する商人の力を知らない、旧態依然とした方々だもの。そういえば、私が王子殿下の反感を買ったのは、それを批判したためだったのよね。懐かしいわ。
私は悪徳領主の妻として、忙しく日々を送っていた。気が付けば、婚約破棄から七年の月日がたっている。あの時、おちびさんだったティファナも、今では十七歳。下に生まれた六歳の息子、そして四歳と二歳の娘も加わって、我がロットバルト家は随分と賑やかになっていた。
「訪れる若者たちは、皆ティファナに執心と聞く。男をたぶらかす悪女として、その悪名は国外にまで轟いているらしいぞ」
ユースティス様が笑いながら言う。
「さすがティファナだわ」
「ほんと、変なお父様とお母様ね。娘が悪女なんて呼ばれて、こんなに嬉しがる両親なんて、ここ以外にいないわよ」
ティファナは呆れたように、けれども楽しそうに笑った。
「そういえば、国王陛下から手紙が届いていた。セレスティアと私に、一度王都に赴くように、とな」
国王陛下——あの時、私を厄介払いした王子殿下。
「あらあら、ついに私たちのことを無視できなくなってきたのかしら」
面白いこと。私のことが邪魔で、辺境に追い払った当本人が呼び出してくるなんて。
*
私はユースティス様と、ティファナと、三人で王都へ赴いた。
「ロットバルト伯爵、ぜひお見知りおきを」
「ティファナ嬢、あなたの美しさは常々伺っておりました」
パーティー会場に足を踏み入れると、ロットバルト家のおこぼれにあずかりたい人々が群がってくる。
一方、壁際から不満そうににらみつける人々も多い。けれど、彼らの目には、決して侮りの色はなかった。嫌うことはできても、侮ることなんて、きっとできないはずよ。だって、私の夫も娘も、あんなに素敵で輝かしい悪役なんだもの。
さて、私は私で用事を済ませなきゃ。
「久しぶりだな、セレスティア」
振り向くと、かつての王子殿下と伯爵令嬢がそこにいた。のだけれど……この二人、こんなに存在感のない方達だったかしら。そう思ったけれど、そういえば、私たちを皮切りに、貴族たちが各々経済力を付けた結果、国王の力はあっという間に弱まったんだったわ。
「お久しぶりですわ。殿下……ではなく陛下。随分とおやつれのようにお見受けしますが」
「誰のせいだと思っている。全ては貴様のせいだ」
「おっしゃる意味が分かりません。私はあなたの命令に従って、ロットバルト家に嫁ぎましたのに」
「……貴様は何も変わらないな。とんだ悪人、いや、さらに汚れ切った極悪人だ。貴様も、貴様の家族もな」
「まあ、それは最高の誉め言葉です」
七年前と同じ、悪女の笑みを浮かべ、私は国王陛下の前を去った。前と違うのは、同じ笑みを浮かべながら、向こうで家族が私を待っていることね。
最後までお読みくださりありがとうございます。
追記を失礼します。1月27日に、「聖女の私を追放したせいでこの国は滅ぶ——かと思いきや、まさか敵国最高戦力も追放されていたとは……。」を投稿しました。追放ものです。まだあまり読んでいただけていないので、よろしければ、こちらも読んでいただけると嬉しいです。