(6)#異世界人との初ディナー④
「ふぅ。美味かった」
私は満足し、腹を叩きながら言った。
言った後に私はハッとなり、ダンの視線を気にかける。
絶対ガサツな女だと思われたよな。
「じゃあ帰るか」
ダンはそう言って立ち上がり、ダリアがいるカウンターまで歩き始めた。
何もツッコミがないのが逆に恥ずかしさに追い討ちをかけ、私は黙って後をついて行った。
ダンは料理の感想をダリアと楽しく話していたが、私はまだ体が熱く何も頭に入ってこなかった。
「支払いはこれで大丈夫ですか?」
「ああ大丈夫だよ。ここにそれを置いておくれ」
ダンがスマホを出し、ダリアに画面を見せながら訊いていたのを見てやっと私は会話に参加した。
「へぇ。これがキカイってやつか」
正直興味はあまりなかったが、恥ずかしい気持ちを少しでも誤魔化す為にオーバーにリアクションをとった。
ダリアも客が使うのは初めて見ると言い、ダンに異世界人の集団と国のお偉いさんが来たときのことを話していた。
「はい。確かに」
キュリンと爽やかな音が鳴り、ダリアが会計が済んだのを確認した。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうね。またおいでよ」
「ええ。また来ます」
ダリアのいつも聞く気持ちのいい笑顔と声に見送られ、私たちは店を出た。
「アタシの分まで良かったのかい?」
店を出てから私は、ダンに少し低姿勢で訊いた。
「ああ。いろいろ世話になったからな」
ダンは嫌がる素振りを見せず言った。
「じゃあ遠慮なく。ごちそうさん」
私は甘えることにして礼を言った。
「よし、帰るか」
「大丈夫かよまったく」
少し眠そうな顔をしたダンが心配だったので、私は宿屋まで送ってから家へと帰った。