(4)#異世界人との初ディナー②
「ハァハァ。ちょっとゆっくり歩いてくれよ」
私が足早に歩いたせいで、ダンは息が上がっていた。
「おい、ついたぞ」
私はクタクタになっているダンを無視して、ダリアの店を指差して言った。
「イザカヤみたいなものか?」
「イザカヤって何?」
ダンが聞き慣れない言葉を口にしたので、私は言葉を繰り返して意味を訊く。
「俺の世界の飯や酒を飲み食いする場所だよ」
ダンはわかるように説明してくれた。
「まあ、ここもそのイザカヤみたいなもんかな」
ちゃんとはわかっていなかったが、適当に相槌を打った。
「へぇ」
ダンは不安と期待が混ざったように見える顔をしていた。
「さっ、入ろうぜ。腹が減ってしょうがないよ」
私は我慢が出来なくなり、ダンを急かしながら店の中に進んで行った。
「ああ。行こうか」
少し遅れてダンも店の中に入ってきた。
「セーラ、新しい男かい?」
席に着くと、ダリアがからかって訊いてきた。
「違うっての、客だよ客」
私はつい慌てて否定してしまう。
「そうかい。お似合いだと思うけどね」
「うるさいな。ダリア、早く注文とれよ」
さらにからかってくるダリアに、私はムキになって答えた。
体が熱くなっているのが自分でもわかる。
それからダンにいろいろ説明し、一通り注文をし終えた。
「ほーい。お待たせ」
暇つぶしにダンに話を訊きながら待っていたら、ダリアがキンキンに冷えたゲールを持ってきた。
ちなみにダンの世界では、ビールという似た飲み物があるらしい。
「ダン、ほら早く。カンパーイ」
ダンがスマホというやつでゲールを前に何かやっていたが、私はかまわず乾杯を促す。
「ああ、乾杯」
ダンはスマホをテーブルに置き、慌ててグラスを合わせてきた。