(36)#ロベルト攻略作戦④
「・・・・・・」
「・・・・・・」
料理がテーブルに運ばれてきても、2人は会話をせず黙々と食事をしていた。
「ちょっとセーラ、これは作戦どころじゃないだろ」
モニターを見ながらダリアが私に言う。
「逆にいいかもよ」
「どういうことだい?」
私の返事にダリアが疑問を口にする。
「この緊張感がさ、なんていうか、非日常を演出するのにいいと思うだよ」
「非日常?」
ダンからの受け売りで言った言葉に、ダリアが?マークを浮かべた顔で訊いてくる。
「普段の二人だと男同士の会話みたいで色気がないじゃない?」
「確かに異性として意識はしてないね」
「だから険悪だとしても、今みたいに緊張感でドキドキした方がいいと思うのよ」
「いい考えかもね」
理解したダリアは、私の考えに賛成した。
「あの、その、だな。さっきはすまなかった」
ベロニカ姉さんは、たどたどしくロベルトにゆっくり頭を下げて謝った。
「こっちもムキになってすまなかった」
ロベルトもたどたどしく頭を下げた。
「そういえば、セーラの奴はどういうつもりたんだ?」
忘れたかと思っていたが、ロベルトが突然私のことを話題にしてきた。
「姉さん、テキトーにごまかして」
早く話題をそらしたい私は、ベロニカ姉さんに急いで指示を出した。
「私がセーラに頼んだ」
ベロニカ姉さんは私の指示を無視し、じっとロベルトを見つめて言った。
「お前が?こんな手の込んだことを?」
私のイタズラだと思い込んでいたロベルトは、ベロニカ姉さんの答えに戸惑う。
「こうでもしないと気づかないだろうからな」
「ええと、それは」
「お前を好きということだ。わかれバカ」
ロベルトの態度にじれったくなったベロニカ姉さんは、ケンカ腰に怒鳴った。
「バカってお前な」
突然の告白に動揺したロベルトは、か細い声でツッコミを入れる。
「あー焦ったい」
困惑して思考が停止した態度に苛立ち、ベロニカ姉さんはロベルトの襟を掴んで引っ張った。
「な、何をするんだ」
「うるさい」
グタグタ言うロベルトの口を、覚悟を決めた顔をしたベロニカ姉さんがキスで塞いだ。




