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(35)#ロベルト攻略作戦③

「では、ご注文が決まりましたらお呼びください」

「ああ」


 ロベルトは慣れない空間に緊張しているのか、言葉少なめに返事をした。


「失礼します」


 スタッフの男性は会釈し、部屋を出て行った。


「その、なんだ。こういう所は落ち着かんな」

「・・・・・・」


 ベロニカ姉さんは黙って頷く。


「そのドレス似合っているじゃないか」


 さすがのロベルトも、普段とは違う姿にドギマギしているようだ。


「そ、そうか?」


 ベロニカ姉さんは赤面しながら訊き返す。


「ちょっと姉さん、何返事してるのよ」


 作戦ではしばらく黙って緊張感を演出しようと打合せしていたのに、ベロニカ姉さんが返事をしたので私は注意した。

 

「す、すまん。つい」

「何か言ったか?」

「いや何も」


 渡しておいたインカム(ダンが家に置いていった物)越しに返事をしてしまったベロニカ姉さんは、慌てて誤魔化した。


「全然わからん」


 ロベルトはメニュー表をにらめっこするように睨んでいたが、諦めて天井を見上げた。


「騎士なら少しは教養を身につけろ」


 軽くため息をついたベロニカ姉さんは、席にある呼び鈴を手に取りスタッフを呼んだ。


「お決まりでしょうか?」


 先程の男性スタッフが戻って来てベロニカ姉さんに向かって訊いた。


「ワインはこれで、前菜はこれで」


 ベロニカ姉さんは、落ち着いた態度で注文を済ませた。


「慣れたもんだな」


 ロベルトは感心した顔をして褒めた。


「父上の付き合いでこういう店に来るからな」

「よ、名家のお嬢様」


 場に慣れてきたのか、いつもの調子でロベルトが茶化す。


「お前だって騎士の名門だろうが」


 ベロニカ姉さんはムキになって言い返した。


「武芸には自信があるが、社交的なものはからっきしなんだよ」

「お前の父君や兄君はそつなくこなしていたが」

「そうだよ。どうせ俺は落ちこぼれですよ」


 痛いところを突かれたロベルトはヘソを曲げ黙ってしまった。


「ちょっと姉さん、何ケンカしてるのよ」

「・・・・・・」


 今度は返事をせず、ベロニカ姉さんはうつむいたままコクリと頷いた。

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