(3)#異世界人との初ディナー①
「おい、そろそろ飯に行くぞ」
日が沈んできたので部屋に来ていたが、さっきからダンにいくら声を掛けても返事がなかった。
「入るぞ」
しびれを切らして部屋に入ると、ダンはまだ気持ち良さそうに寝ていた。
「おーい。ダン、起きろって。飯食いに行くぞ」
初対面が雑なものだったのでフランクに接していたが、一応客というこもあり優しくゆすりながら声を掛けた。
「う~ん。もうちょっとだけ眠らせて」
甘えた声を出すダンを見て、つい可愛いなと思ってしまう。
「何寝ぼけているんだよ」
「イタッ」
ふっと我に返り恥ずかしくなった私は、ダンの頭を強めに叩いてしまった。
「ほら、あたしは腹減っているんだよ。さっさと行くぞ」
赤くなった顔に気づかれないよう早口でいいながら、私は背中を向けて歩き出した。
「ああ。ごめん、ごめん」
まだ寝ぼけているダンは、ふらふらしながら後をついてきた。
「何か好き嫌いあるかい?」
外に出た私は、ダンに好みを訊いた。
「これといってないけど」
「じゃあ、肉でいいよな?」
訊く前からダリアの店に行く気満々だった私は、選択肢を絞って提案した。
「それでいいよ」
「安くて美味い店があるからさ」
ダンが嫌がらなかったので、私はつい浮き足立ちそうになるのを抑えてダリアの店に歩き出した。