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(29)#女子会①

「あー、いい汗かいたな」

「ハァハァ。この体力馬鹿が」


 私が汗びっしょりで座り込んでいるのに、ロベルトは気持ち良さそうに話していた。


「あーいた。団長、見廻りの時間ですよ」


 探し回って疲れた様子の団員が、ロベルトに声を掛けてきた。


「おー、そんな時間か」

「しっかりしてくださいよ。トールさんの分も俺がやるって言ったの団長なんですから」


 そう言い呆れた顔をした団員が盛大に溜息を吐く。


「というわけだ」

「あーはいはい。もう少し休んだら帰るよ」


 会話で説明を終わらせたロベルトに、私も細かいツッコミはせず返事をした。

 

「じゃあな」

「うん。サンキュ」


 拳で私の寂しさや不安を受け止めてくれたロベルトに、照れ隠しでぶっきらぼうな感謝を口にする。



「くぅーーー」


 砦の外に出た私は、大きく両腕を伸ばし体の凝りをほぐした。


「気持ち良さそだな」

「ベロニカ姉さん」


 いつもの甲冑ではなく、青いローブ姿のベロニカ姉さんが声を掛けてきた。


「姉さんがここにいるの珍しいね」

「ああ。あの馬鹿に渡す書類があってな」

「筋肉馬鹿なら見廻りに行ったけど」

「テレパシーで連絡したのに、あの馬鹿」


 そう言い舌打ちをしたが、ベロニカ姉さんの顔はあまりムカついたようには見えなかった。

 

「誰かに預けるしかないか」


 気のせいか残念そうな感じで、ベロニカ姉さんはぶつぶつ独り言を口にする。

 

「じゃあ私は帰るね」

「セーラ、良かったら飯でもどうだ?」


 帰ろうと歩き出した私を、ベロニカ姉さんが呼び止めた。


「いいね。行こうよ」


 王宮の仕事で忙しいベロニカ姉さんとはあまり食事をする機会がないので、私は満面の笑顔でオッケーした。


「悪いが用事を済ませてくるから、ダリアさんの店で待っててくれないか」

「わかった。じゃあ後で」

「ああ」



「あれ?もう開店の時間のはずなんだけど」


 ダリアの店に着くと、店の看板が開店時間なのにクローズになったままになっていた。


「おーい、ダリアー」


 普段の活気は無く、照明も薄暗い店内に顔を覗かせながら私は声を掛けた。


「セーラかい」


 手持ち燭台のロウソク一本に火を灯し、ダリアが厨房から出てきた。


「どうしたの?」

「業者が事故にあったらしくてね。食材が足りないから休みにしたんだよ」

「えー、マジかー」


 せっかくベロニカ姉さんと飯が食べられると思っていた私は、盛大にショックを声に出した。

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