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(26)#少し強がりました

「大丈夫か?怪我をしたのか?」


 門番の騎士にロベルトを呼び出してもらったら、血相を変えて走ってきて私の肩を両手で力強く掴んだ。


「痛いって」

「ああ、すまん」


 いつもの大雑把さはなく、気持ち悪いぐらい優しい態度でロベルトは謝った。


「ダン、これはどういうことだ?」

「すみません。俺がついていながら」


 ロベルトに責められ、ダンは彼女の兄にするように頭を下げた。


「ダンは悪くないって。ほら、私はここで休んでいるから話して来いよ」

「わかった。後で薬を持って行かせるから、ちゃんと休めよ。ダン、行くぞ」


 私に急かされたロベルトは、しぶしぶながらダンを引き連れ団長室へと向かって行った。


 

「お疲れ様」


 しばらく休んでいると、ダンが出てきたので私は側へと歩いて近づいた。


「お待たせ。晩飯どうする?」


 私を気遣い、普段より明るい口調でダンが訊いてくる。

 

「ダリアの店でいいかな?まだ体がだるくて」


 騎士団の治療薬をもらって回復はしたが、まだ調子が悪かったので素直に甘えることにした。


「そうしよう。久しぶりに食べたいし」

「うん」


 

「いらっしゃい」


 相変わらず繁盛している店に入ると、これも変わらずのダリアの張りがある声が出迎えてくれた。


「ダリア〜キンキンに冷えたゲールちょうだい」


 私はダリアさんに抱きついて、甘えた口調で注文した。


「何だいこの子は。珍しく甘えん坊だね」


 面倒臭そうな感じで言っているが、ダリアは母親のように優しい顔で応えてくれた。


「はいはい。早く席につきな」


 慣れた様子で私を離したダリアは、空いた席に案内してくれた。



「カンパーイ」


 ダンが心配しないよう、私は大袈裟に見えるぐらいにテンションを上げて声を出した。


「魔族ってあんなに利口なんだな」

「セーラは初めて見たのか?」

「魔族は何度かやり合ったことあるよ。でも、今日のやつみたいなのは初めてだよ」

「そうなのか」

「まあ、とりあえず無事に依頼は達成したってことでカンパーイ」


 何かダンが考えていたが、私はかまわずグラスをぶつけた。

 

「お前は切り替え早いな」

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