(25)#vsバットハンター②
「ダン、この前手に入れたあれを使ってみたら」
「そうか。忘れてた」
耳にはめ込んでいた小型の通信機で私が教えると、ダンはポイントで買ったものを思い出した。ちなみに通信機もそのとき買ったものだ。
ダンはストックで倉庫から赤外線ゴーグルを出し、頭につけて電源を入れた。
「おー良く見える」
ダンは物陰から相手に気づかれない程度に構えて狙いを定めた。
「《ショット》」
「ギャアアアアア」
胸を魔法で撃ち抜かれたコウモリ魔族はドサっと音をたてて落下した。
「《シャインホール》」
ダンはシャインの上級魔法で周囲を明るく照らした。
「ぐっ、お前がスケルトンナイトを倒した人間か?」
息を荒くしながらコウモリ魔族が訊いてきた。
「スケルトンナイト?もしかしてガイコツ型の剣を使う魔族のことか?」
「そうだ」
「ちなみにお前の名前は?」
「バットハンターだ」
ダンは魔族にも名前があることに少し驚いているようだった。
「もしかしてお前って魔力をコントロール出来るタイプか?」
ダメージを負って余裕がなくなったからか、アプリにエレルギー反応が出てきたらしい。
「よくわかったな」
お人好しなのか、バットハンターはダンが訊くことに素直に答えている。
「ダン、呑気に喋ってる場合か。早く止めを刺せ」
「もう抵抗出来ないし、情報聞けるから生捕りしようかと思ったんだけど」
「魔族を拘束するつもりか人間」
胸を押さえながらバットハンターは立ち上がった。
「《ロック》」
ダンは手錠型の魔法でバットハンターの両手を拘束した。
「何だこの魔法は」
見たことがない魔法にバットハンターは目を丸くして驚いている。
「アプリで魔法が作れるってあったから、自分で考えてみたんだ」
驚いているのを見て嬉しかったのか、ダンは自慢げに言った。
「なるほど、お前は異世界の人間か」
「よくわかったな」
「この世界の人間は自分で作ることは基本しない。よほどの使い手なら生み出すことはあるがな」
「そうだったのか。そうだ、傷。《ヒール》」
「いいのか?私は魔族だぞ」
「まあ拘束してるし」
「ダン、どうする気だ?」
少し顔色が良くなった私は、ダンの方に歩きながら訊いた。
「ロベルトさんに相談してみるよ。とりあえずフリーパークに帰ろうか」




