(22)#面倒くさい客が来てました②
「で、飯は何だ?」
当然の流れのようにロベルトは私に夕食のメニューを訊いた。
「安く肉が手に入ったからステーキでもって、あんたの分はないわよ」
私はついダンから聞いた大阪人のような、スムーズなノリツッコミをロベルトに決めた。
「そりゃあないぞ。お前の愛しの恋人を連れて来た、空腹の兄弟子をそのまま帰すのか?」
オーバーなリアクションをしつつ、ロベルトはこちらを見つめている。
「どうせ、ダンが怪我したのもあんたのせいでしょうが」
何も説明は訊いていないが、ほぼ正解なのだろう。マイペースに料理を始めた私にダンもロベルトも黙っていた。
「俺もちょっと意地になっちゃって。ロベルト団長だけが悪いわけじゃないし」
ダンは立ち上がり私を宥めた。
「わかってるわよ。でも、この人は言ってやらないとすぐ調子に乗るから」
ロベルトだけが悪いわけではないとわかっていたが、感情を抑えきらずキッと睨みながら私は言った。
「さすが愛しの妹だ」
さっきから悪態ばかりついているのに、ドMなのかと思うぐらいロベルトはテンションが上がっている。
ロベルトのマイペースさにダンも私も押され気味の中、コンコンとドアがノックされた。
「はーい。どなたですか?」
私は他所行きの声で尋ねた。
「遅くにすまない。ベロニカだ」
「ベロニカ姉さん?ごめんなさい。すぐ鍵を開けるから」
ロベルトのときとは違い、嬉しさ全開で私はドアを開けた。
「ベロニカ姉さん。久しぶり。会いたかった」
「コラコラ、セーラ。ちょっと落ち着け」
テンションが上がった私は、ベロニカ姉さんに飛びつく勢いで抱きつく。
「ゴメン、ゴメン。嬉しくてつい」
こんなにはしゃぐ私を見たことがなかったので、ダンは呆然と眺めていた。
「ダン殿、こんな時間にすまない。頼みがあってな。少しいいか?」
「僕ですか?」
何となく察しはついていたようだが、わざわざ家に訪ねて来たことにダンは戸惑っているようだった。
「ああ」
「じゃあ飯を食いながらでも聞こうか」
「なぜいる?そしてなぜお前が仕切るんだ」
それまでロベルトを無視していたベロニカ姉さんさんも、マイペースに仕切ることに思わずツッコんでいた。




