(18)#テンション上がっちゃいました
「ふぅ。やっぱり、なまっているな」
私は全身をほぐしながら言った。
「十分すごいけど」
感心しているのか、引いているのか、ダンは呆気に取られた顔をしたまま褒めてきた。
「獣人ならこんなの大体出来るし」
恥ずかしさもあり、私は強がって当たり前という顔をしながら答えた。
「セーラって冒険者?」
「何だと思ってたんだよ」
「宿屋の看板娘」
「アホ」
「いたっ」
漫才みたいなダンとの会話に、つい思いっきりゲンコツをダンにやってしまった。
「親父が死んで旅する気にもなれなくてな。馴染みのマスターに頼んで働かせてもらってたんだよ」
そう言いながら私は歩き出した。
「じゃあ親父さんに鍛えられたのか」
「そうだな。あと、ロベルトのおっさんとかベロニカ姉さんにも相手してもらったことあるぞ」
「そうなのか」
「2人が武者修行をしているときに親父が世話してたらしくて、一緒に旅してたみたい」
「へぇ。親父さん、強かったんだな」
好きな相手に父親のことを褒められ、私は誇らしい気持ちになる。
「ぐぉぉぉ」
突然、暗闇の奥から雄叫びを上げながら熊型モンスターが走ってきた。
「久しぶりだなベアクローちゃん」
懐かしいモンスターに出会い、私はつい話し掛けるように駆け出し、高く跳び上がった。
「《ロールクラッシュキック》」
私は落下と同時に物凄いスピードで回転を始めて、勢いそのままベアクローの脳天に踵落としをくらわせた。
「ぐぅあああ」
かなりのダメージをくらったようで、ベアクローは膝から崩れ落ちた。
「ダン、魔法でトドメだ」
「お、おう」
私が声を掛けると、私に見惚れていたらしいダンは慌てて構えた。
「《ファイアショット》」
ショットとファイアを合わせた攻撃が胸を貫き、ベアクローは息絶えた。
「彼女シリーズ投稿のポイントで新技ゲットしてて良かったわ」
「ふーん。写真、他の奴に見せるのやめろって言ったよな?」
「えーとですね。・・・・・・ごめんなさーい」




