(17)#ダンは心配おじさん
「本当に一緒に来るのか?」
「何回訊くんだよ」
ダンがしつこく訊いてくるので、私はつい怒ってしまった。
「だって、モンスターがいるんだぞ」
「ダンジョンだからいるに決まってるだろ。てか、ここまで来て言うなよ」
新しく出現したダンジョンにダンが行くと言うので、久しぶりに体を動かしたくて私もついてきたのだ。
「それはそうだけど」
「大丈夫。ちゃんと準備してきたから」
私は物置にしまっていた武闘家の装備をパンパンと叩いてダンに見せた。
「危なくなったら、俺にかまわず逃げろよ」
「あーはいはい。行くぞ」
親みたいに心配するダンの言葉を、私は聞き流して歩き出した。
「おはようございます。あれ?今日はセーラさんも一緒なんですね」
入口で見張りをしていたトールが挨拶してきた。
「まあね」
平然とした素振りで答えているが、ダンの耳は真っ赤になっている。
「トール、ご苦労様」
私は気恥ずかしい感情を悟られないよう、いつもの感じを意識して話し掛けた。
「セーラさんのその格好久しぶりですね」
「父さんが死んでからだから三年ぐらいかな」
「(セーラが入って)大丈夫だと思う?」
まだ心配しているダンがトールに訊く。
「問題ありませんよ」
トールは何を心配してるんですかという顔で答えた。
「じゃあ、またなトール。ダン、ほら行くぞ」
「ちょっと、待てって」
オロオロして心配しているダンを置いて、私は散歩に行くぐらいの気持ちで入って行った。
「やっぱり新しいから反応が多いな」
ダンがアプリの反応を見ると、マップはチェックだらけになっていた。
「そういえばセーラ、武器は?」
「私は素手だよ」
「え?マジで」
「マジ」
格好から想像はしていたみたいだけど、素手で戦うことにダンは驚いていた。
「ダン、しゃがめ」
咄嗟にしゃがんだダンの背後に向かって私は回し蹴りをし、コウモリ型のモンスターを倒した。
「おお」
消滅していくモンスターを見て、ダンは驚きながら感心していた。




