表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/37

(13)#意識してしまいます②

「アイタタタ」


 私が宿屋に着くと、マスターが産まれたばかりの子鹿みたいにフラフラと、風呂場に置くタオルの束を持って歩いていた。


「ちょっと何で仕事してるのよ」

「おおセーラ。どうした?」


 マスターは何でいるんだみたいな顔でこちらを見て言った。

 

「どうしたじゃないわよ。ダリアが教えてくれたから急いで来たんじゃない」


 私はタオルひったくるように取り上げた。

 

「そうか。休みなのに悪かったな。動けないことはないからダリアには大丈夫と言ったんだが」


 よっこらせと言いながらマスターはカウタンターの椅子に座った。


「後の仕事は私がやっとくから」

「ああ悪い。ちょっと休んだら帰るよ」

「まったく。もういい歳なんだから」


 ちょっと呆れた口調で言ってしまったが、大丈夫そうな顔を見て安心した。



 一通り片付けが終わり、カウンターで一息ついていたらダンが帰って来た。

 

「あれ?マスターは?」

「昼間にギックリ腰やらかして寝てる」


 私はやれやれという感じで説明した。


「そうか。異世界でもギックリ腰は共通の悩みなんだな」


 そう言うダンは、どこか嬉しそうに見えた。


「そういえばトールが心配してたけど」

「ああ。ダンジョンでいろいろあったからな」

「そうかい。大変だったね。飯はどうする?」

「悪い。軽くすませたから、もう寝るよ」


 最近はほぼ毎日のようにダンと夕食を共にしていたので、少しがっかりしてしまう。

 

「わかった。おやすみ」


 私は変に恥ずかしくなった表情を悟られないように、平然を装い言った。

 

「おやすみ」


 疲れ切ったダンは何も気づいていない様子で部屋へと歩いて行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ