夢見野の果て。桜木の下。
『夢見野の果て』
降り積もる
行く末つかむ
幾万の夢
夜毎溶ける
雪の足跡
指先に
語らう夢に
宿る夜
閃き翔ける
星を見上げて
火花咲く
闇夜に一輪
願い星
瞬き翔ける
生まれて死ぬまで
『桜木の下』
雪の降る
ブランコの上
一人見た
君のいない冬
桜木の下
会いたいと
鈍色の空
シンシンと
吐く息白く
粉雪が舞う
君の声
想い出舞い散る
桜の花弁
ヒラヒラ溶ける
手のひらの雪
「どうしたの?」
いつかの声に驚いて
振り向いたけれど
誰もいない
公園に一人
僕だけを置いて
桜木を
見上げて空に
雪が舞う
首にマフラー
君の手造り
遠すぎて
届かない空
声に出す
「もう一度会いたい」
涙に雪溶け
「好きです」と
見つめる傍で
桜木の
「私も好きです」
言の葉は
枝端の雪の
白さえ染めて
舞い上がる
雪の彼方は
春遥か
儚き時は桜木の
幻映す
いつかの君に
誰もいない
公園に一人
音が鳴る
冷たいポケット
肌に震えて
ラインのメロディ
一件の通知
桜木の下の
いつかの君から