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バッドエンドスタート 〜世界は魔界と化しました  作者: バッド
2章 地盤固め

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65話 再び内政パートだぜ

 結局、都心深くまで攻め込むことに成功した。3660万ポイント。フェイスレスを倒したあとに、レンダたちが回収した魔王水晶を吸収して手に入れたポイントである。フェイスレスから手に入れた1000万近くのポイントも含まれている。


 地脈を3個、魔王水晶を3個、その内フェイスレス分はほとんど魔力が無かったので、やはりグレーターデーモン養殖作戦は無理な模様。とはいえ、都心近くまでの地域を制圧できたんだが。SAは予想よりも強いようだ。


 かなり無理矢理に進軍したのか、ほとんどのSAが小破、もしくは中破している。稼働時間ぎりぎりまで使用して、地脈を制圧したらしい。


「タッチダウンと叫んで地脈を制圧しました」


 神の庭……ではなく、出雲のマンションにてレンダがフフンと胸を張り、得意げに報告をしてきていた。出雲たちは疲れたので、マンションで今回の戦果を話し合っていた。


 リビングルームにて、俺、リム、茜、ハク、レンダとテーブルを囲んでいる。テーブルにはオレンジジュースに、たくさんのお菓子が広げられている。誰か忘れているような気がするがきっと気のせいだろう。


「ラグビーかよ。それって制圧したっていうのか?」


 疑わしい視線でレンダを見つめるが、コクンと素直に頷き軍人人形は頷く。


「城を制圧すれば他の地域が敵の物でも制圧したことになると思われまふ」


「うーん………たしかにそうだなぁ。お菓子を食べながらでなかったら、もっと安心したんだけどな」


 先程からチョコクッキーを頬張りながらレンダは報告していた。頬を膨らませて、リスのようであるが、美少女台なしである。頬を膨らませて良いのは小さい子供までだな。サキイカが全ての報酬でないとバレたらしい。気づいた娘がいたのでバレるのは時間の問題だとは思っていたけどね。城ではサンダルフォンたちがお菓子の棚にアリみたいに群がっている。


「良いのではないか? ウルゴス像を破壊して地脈を奪い返すには魔王水晶が必要じゃし、お主と戦闘しなくてはならぬ。リスクが多すぎるから、なかなか攻めてこんじゃろ。もう攻めてきた魔王を3人も倒したしの」


 やる気なさそうにしながら、リムがポテチを袋からつまみ取りパキリと口に入れる。あまり目立っていないと不満そうだ。


「そうなのです。えーと……豆腐小僧の魔王を倒したのです?」


 ちんまりとした体躯のハクが、指を折々数えるが、そもそもそんな魔王はいなかったぞ?


「豆腐小僧はいねーよ。泥田坊、のっぺらぼう、リッターを倒しただろ」


「リッターではなく、天井舐めじゃろ。リッター言うな、出雲」


「そうそう天井舐めだ」


 何かの化け物と間違えちまったよ。迂闊だったな。反省、反省と頭をかく俺に茜がぶかぶかの裾を振る。


「そんな魔王なんてどうでも良いっすよ。それよりもあたしのSAがほとんど壊れたっす! 修復に少し時間が欲しいですよ。まさかレンダたちが損耗を考えずに突撃するとは思わなかったっす!」


 バンバンとテーブルを叩き、ポインポインと胸を揺らす。ウーッと子犬のように敵意をレンダに向けるが、レンダはまったく気にせずにお菓子を頬張っていた。茜の眷属じゃなかったっけ?


「古くからプラモの闘いは破壊されるのであります」


「あれはプラモ模型店の売上アップのえげつない作戦っす。バーチャルで受けたダメージをプラモに反映させる理由ゼロっすからね」


「リアリティを増すためだと店主は言ってましたね。あのゲームが現実で作られたら模型店は今頃大繁盛だったであります」


「絶対にPTAとかが抗議をするつもりって、そうじゃなくて、気軽に壊さないで欲しいの!」


「兵器とは壊れるものであります」


 ギャーギャーと言い合う2人を横目に俺はステータスを確認しておく。


神庭ゴッドガーデン

土地:魔封地

支配者:大魔王ウルゴス(おっさん)

支配している街:1

支配している地脈:11

人口:18690人

毎月の税収:186ポイント

地脈からの毎月の収入:95万

維持費:49万5600

保有奇跡ポイント:3700万

施設:初期神聖コア、神聖貯水池、農地3(10万)100メートル平方

魔王:5人

兵力:35人


 都心の地脈だからか、結構ポイントが手に入った。これだけあれば色々できるだろう。


「パワーアップするのかの?」


 当然ポイントが入ったのだからレベルアップするのだろうとリムは尋ねるが、俺は苦笑いを浮かべかぶりを振って否定する。


「いや、レベルは今のところ大丈夫だ。それより食糧の確保だ。牧畜区画を作成する」


 レベルアップをしたいが、もう5レベルはこの程度のポイントじゃ足りないんだよ。身体能力も同じだ。ポイント足らね。レートが高すぎるんだよ。なので、内政をするしかない。


「んん? 牧畜区画は大変じゃないのです? 家畜を育てるのは大変なのです? ドラゴンを飼うのとは違うのですよ」


 ハイハイしながら、レンダの膝の上に乗ってコテンと幼女は首を傾げる。常に少女の膝に乗る怪しい幼女である。


「どうしてドラゴンの方が飼うのが簡単だと思ったのかわからないが、考えを変えたんだ。牧草や餌、その他小屋など少し考えただけでも大変だろ?」


「じゃの。餌を用意するだけで大変じゃし、育てるのも大変じゃ」


 コクコクとリムは頷く。それが難点だと考えていたんだけど、少し考えを変えたんだ。神の作る土地というものを。


「北欧などの神話では、神のおわす世界に動物は住んでいる。その動物はどうやって生きているかって話だ」


「ほう……たしかに仏教やキリスト教ならば駄目かもしれぬが、他の神話ならばアリじゃな」


 自分の羊のような角を触りながら、リムは感心した表情となる。だろ? 神話ではよくある風景だ。神殿周りにある平穏な庭、そこに住む動物たち。


「そういう区画を作れば良いと思うんだ」


「ふむ……試してみても良い。いや、イメージが重要であれば桃源郷とかも作れるのかの?」


「欲張っても仕方ない。というわけでマップオープン」


 『神の庭』のマップが宙に浮く半透明のボードに映し出される。農地区画と城区画、施設は貯水池だ。穀物倉庫がないな?


「ハク。穀物倉庫を作っておけよ?」


「忘れてたのです。どうせ仕舞うほど食糧ないのです?」


「西瓜があるだろ。腐敗しない倉庫を作成しておけよ」


 勝手に西瓜作っただろ。あれだけの西瓜をどうしたら良いんだよ。穀物の代わりに西瓜を避難民に配るとか嫌がらせにしかならないと思うんだ。


 了解なのですと素直に頷くハク。よろしいと俺は新たなる牧畜区画を作成するとする。イメージを奇跡さんに伝えて、作成可能であることを祈る。


 ピコンと音がして、ステータスボードに新たなる表示が増えた。


『交換ポイント200万:神域牧畜区画。100メートル平方。小さい泉と穏やかな草原。住む動物は穏やかに生きる』


「………ものすっごい怪しい表示ではないかの?」


「たしかに……」


「ですが背に胸は変えられないのであります」


 リムすらその表示に怪しさを感じ、同意して躊躇う俺だが、いつの間にか俺の後ろにレンダがしがみつき、胸を押し付けながら、俺の手を取りステータスボードを押させようとしてくる。


 その力はとてつもなく強く、俺はボードを押されてしまう。むにんむにんと柔らかなクッションのせいじゃないです。


 ポチリと区画選択が押されてポイントが減少していく。場所を決めてくださいと出るので仕方ないので、一番外側に設置しておく。


「あと4個。あと4個欲しいと提言します。家畜は急いで集めておきますので」


「仕方ない。それと農業区画17個追加しておく」


 べったりと背中にくっついてお強請りをしてくるレンダ。忠誠度を上げるためにも仕方ない。仕方ないなぁ。デヘヘと鼻の下を伸ばす俺にリムの絶対零度な視線が少し寒い。


「直接的な攻撃に弱すぎではないかの?」


「いや、本音を言うと俺も肉が食いたい」


 頼まれなくても、この区画が怪しくても、実は設置するつもりだったんだ。


「あたちも食べたいのです!」


「さんせーっす。人は米だけじゃ生きていけないっす」


 全員賛成の模様。仕方ないのぅと、リムも口元を緩ませているので全員賛成。怪し気な区画だけどね。


 そうして、牧畜区画は作られて、農業区画も増えるのであったが


 ピコン


 と音がしてボードの表示が切り替わる。


『農業区画作成が10を越えました。1キロ平方メートルの農業区画を作成可能となりました』


「まじか。ロック解除とかゲームぽい」


 損した。10個でロック解除かよ。20個作っちゃったよ。ゲームあるあるだよな。攻略サイトを見ずにやるとよくあるパターンだ。もったいない。


『交換ポイント100万:神聖農業区画大。1キロ平方メートル』


 落ち込む俺に、レンダに膝の上から降ろされたハクがコテンと小首を傾げる。


「ポイント変わらないのです。連打しなくて良いのです?」


「いや、変わっているから。ハク、これ農業区画10個分じゃないからな。100個分だから」


「あたち幼女なのです。なので、わからないのです? あたち5歳!」


 手のひらを広げて5歳と称する幼女である。たしかに間違いやすい感じもするけど、ハクさんや、こめかみに汗が流れているぞ?


 しかし一気に楽になったのは確かだ。追加で10個作っとこ。そして作った20個の上に重ねて作っちゃう。こういうのって、下手に小さい区画を残しておくと後で邪魔になるんだよね。


「これで1万人が1年暮らせる食糧確保か?」


「普通ならそうかもの。しかしあの異様なる速さの成長ならば、5万人程度は暮らせる食糧が収穫できるのではないか?」


「たしかにな。ハクの力があれば数分の1に育生期間は短くなるだろうし」


 都心に攻め入った際に、レンダたちは5000人程避難民を確保している。しかし、この田畑があれば充分持つだろう。


「あの〜。お二人さん忘れているみたいっすけど………イーストワンは崩壊したっすよ?」


 片手をあげて苦笑気味に口を挟む茜。………そういや、そうだったな。今の避難民たちは何もない。寝床も食糧すらも。


「ウルゴスしゃんのおうちに入れない人たちは、団地に住んでるですけど、ゾンビたちもいるし大ピンチなのです?」


「そうか。それじゃイーストワンを建て直す所からかぁ……。冬衣さんの出番だな」


 いっちょ奇跡を見せて信仰を集めるとしますかね。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、(多分スポーツに興味のない)おっさんだからしょうがないけど、 タッチダウンはアメフトでしかも、ダウンと言いながら地面にボールをつける必要がないという… リムあたりにツッこんでほしかっ…
[良い点] いよいよ信者獲得?! ……でも邪な願いが混ざると大魔王になっちゃうらしいですから、悪人が紛れ込まないようにしなきゃですねぇ。 [気になる点] プラモ……狂四郎とビルドファイターズのどちら…
[一言] 北欧神話では鍋の中身が減らない神器とか。 バラして肉にしても翌日に元気に復活する猪がいましたね。 神秘で速攻花が咲くもあるあるだし、普通の農業とかやってらんねー!ってね。
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