表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

インスタントフィクション 「帰路」

作者: かずさん

仕事を部下や上司に任せて帰路につく。


 細く長い歩道を埋め尽くしている、まるで満員電車のような人混みは、さながら硬い岩のようで、人が歩いているのではなく、地面の流れが、私たちを進ませているような錯覚に陥入る。

   

 今日、有名なアーティストの武道館ライブがあったらしい。周りの奴らは口にスピーカーをつけて、千五百hzの大音量を撒き散らしている。


「生きているだけで素晴らしい。」

「始まりよりも終わりを大切に」

 だの、綺麗な言葉をただ羅列したような歌を、さもその歌を知らない者を見下すように歌っていた。

 

 鈍流をかき分けながら駅に着く。ここもか。

 

 計3本の電車が目の前を通り過ぎた頃、私は電話に出る。

 

 彼女の声が聞こえないのは、彼女が嗚咽混じりに泣いているからか、それともまだ現実を受け入れていないからか。

 

 

「生きているだけで素晴らしい」

「始まりよりも終わりを大切に」

 

 ふと、隣に並んでいた男のイヤホンから聞こえてきた気がした。

読んでいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ