第九話 入学試験
試験会場には千人近くの大人数が集まっていた。
そして、千人が収まる試験会場。デカすぎ。
足物は砂。その周りを水が囲い、その奥に観客席がある。
見た目は闘技場のようになっているが、本来は学園の体育館兼訓練場として使用しているらしい。
「それでは、これより試験を始める!」
っと。試験が始まるみたいだ。
「私は試験官のバルトスだ! これより、試験内容を発表する!」
入学試験は毎年、色々な方式で行われる。
対人戦や攻撃の威力を競うもの、的にしっかりと攻撃を当てられるか。なんていうのもあったな。
「試験の内容は、バトルロイヤルだ!」
受験生達(俺以外)がざわめいた。
「ルールは簡単だ! この会場で最後まで生き残った者が主席合格の資格を得ることができる!」
短く端的。分かりやすくていい。
「試験官、質問があるんだが!」
受験生の一人が―――と思ったら、グラディウスだった。
前髪をかき上げて、なんか偉そうだな。
「なんだね?」
「そのルールだと、一人しか合格できないではないか! その他の負けた受験生はどうなるんだい!?」
「ふむ。良い質問だ。そこは、我々もしっかりと考えている。私以外にも、試験監督官として百名を配置している。その者達が君達の戦い具合を観察して、それを参考に合否を決めるつもりだ」
そうかい、とグラディウスが下がった。
当たり前だろ。合格者が一人だけって、学園じゃないだろ。
「と、いっても、僕が主席合格は間違いないと思うけどねっ!
髪をふわっとする。
ああ、うざい。
けど、周りは―――。
「流石、グラディウス様ね。私のために、お優しいわ」
「噂じゃ、リアナ王女との婚約も決まっているらしいぞ」
「同世代最強と王国一の美女、凄くお似合いだわ」
なんて言うヒソヒソ話しも聞こえてきた。
え? ありえないだろ。
あんなナルシストキザクズ野郎とリアナがお似合い?
笑い過ぎて殺気が漏れるわ。
「それでは、これからすぐに試験を開始する! 試験開始の合図はガルバディ王国第三王女リアナ・ガルガラット殿下が行っていただける! 皆、戦闘準備を始めよ!」
会場が騒めく。一般の観客はリアナを探して、キョロキョロとする。
だが、受験生達はすぐに試験が開始する。
武器を持ったり、精神を集中したりでそれどころじゃない。
だが、一人だけ―――。
「えっ、マジか!」
探すと観客席の中にリアナがいた。
うん。やっぱり可愛いよな。
俺に気づいたみたいでにこり、と微笑み返してくれた。
やばい。めっちゃ嬉しい。
だが、リアナもすぐに真剣な顔をして、すーっと息を吸った。
「王立カガク学園入学試験開始っ!!」
その瞬間、試験会場に怒号が響いた。
「一の太刀!」
「炎嵐!」
「うおおおおおっ!」
剣、槍、斧、弓矢を武器にする戦士系。
火、水、風、土の四大属性を放つ魔法系。
皆、全力で戦っている。
試験開始早々に負けている人はいないな。
うん。みんな、受験生にしては強いな。
だけど、ごめんな。
君たちはここで脱落だ。
「油断、大敵!」
「後ろが不注意ですよ!」
「うおおおおっ!」
三人が襲って来た。
だが、その瞬間に暴風が吹き荒れる。
俺を中心に暴風が集まり、周りの敵を近づけさせない。
その瞬間、暴風が解放される。
「《荒れ狂う嵐》っ!!」
風が他の受験生、全員を吹き飛ばした。
残るは俺と、そして――――。
「よう。グラディウス」
唖然としているグラディウスだけだった。
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帝国に裏切られた死霊術師ですが、何故か死の女神に惚れられました。〜死の女神の力で最強の英雄達を生き返らせて、無敵の仲間達と一緒に楽しく暮らします〜
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是非、読んでください。