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亡き人  作者: あしゅ
29/40

亡き人 29

「何だあ? これーーー。」

朝っぱらから大声を張り上げるチャラ男を

ゼロが怒鳴る。

 

「うっせー、チャラ男!

 私は霊だから朝が弱いんだよ!

 静かにせんか、バカモノ!」

 

 

「あ、それ石川のスケジュールだって。

 連絡が取りやすいように、と貼ってたよ。」

太郎の説明を、山口はさっさと受け入れた。

「ふーん、じゃ、俺のも貼っとこー。」

 

チャラ男のは、まるっきりいらねー

内心思いつつ、横になってウトウトとするゼロ。

翌日になると、何故か全員分のスケジュールが貼られていた。

 

何か凄く団結力があるんだけど?

ま、いいや、これで探しやすくなったわ。

ゼロは石川のスケジュールを確認した。

えーと、今の時間は東第2棟の・・・

 

 

「HEI! イイ男は見つかったkai?

 今付き合うべきは、無難に理系!

 文系は法学経済以外 mushi!

 ただIT意外と潰しが利かね

 国家資格を取るヤツ target

 でも太郎に手を出すなら KILL!」

 

「・・・私、ラップ嫌いなんだよね。

 しかも韻踏めてないし。」

 

小声でつぶやく石川の隣に、ゼロが座る。

「気が合うな、私もだ。

 でもダンスは結構好きなんで、やってみた。」

 

 

「あっ、あいつ、結構好みの顔!」

叫ぶなり、ガーッとその男の前に飛んで行ったゼロ。

 

「混乱して石川に惚れろ、メダパニ! メダパニ!」

(メダパニ : ドラゴンクエストというゲームの

        敵を混乱させる呪文。 

        ドラクエの魔法使いは結構使えない。)

ゼロが見えていない男子学生の前で

妙な波動を発しようとしている。

 

 

受講中なので、石川は頭を抱えるしかなかった。

長野くんの心境がわかったわ・・・。

 

「うーん、私どうも呪文系は使えないみたい。

 戦士か武道家かな?」

RPGじゃない、っての。

 

石川は、ノートにデカく書いた。

 

勉 強 の 邪 魔

 

 

「あーあ、何だよー、寂しちーーーっ!

 良いよ、ひとり孤独にウロつくよ。」

 

ゼロは、ユラユラと天井をスリ抜けて行った。

と思ったら、逆さまに顔を出して叫んだ。

 

「あの嘘つきクリスマス野郎とは

 きっちりと別れておけよー。

 メールで明文化しとくんだぞー。」

 

石川は、ソッと親指を出してうなずいた。

ゼロはニッと笑って、上階へと消えて行った。

 

 

石川がゼロを見たのは、それが最後であった。

 

 


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