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亡き人  作者: あしゅ
13/40

亡き人 13

「ゼロさま千手観音拳 (単なる殴る蹴る) !!!!!」

 

頭が動くより先に、気付いたら血まみれちゃんと黒綿菓子の間に入り

黒綿菓子をタコ殴っていたゼロ。

 

黒綿菓子は、ボワンというような空気圧感があって

ゼロが殴ったあたりから、モロモロと小さい塊に崩れている。

集めてあった羊毛が風で舞ったような感じだ。

 

 

えーと、えーと、真っ黒くろすけ?

試しに目の前に浮く塊を、両手で挟むように叩くと

パシュッと消滅した。

手の平を見ても、黒くなっていないので

真っ黒くろすけではないようだ。

 

「私、これ、倒せる気がするんだけど、どうしよう?」

血まみれちゃんに訊くと、ものすごい勢いで首を横に振っている。

「触らぬ神に祟りなし、って事かな?」

血まみれちゃん、うんうんうんうんとヘッドバンギング。

 

「んじゃ、逃げるぞーーーーーっ!!!」

ゼロと血まみれちゃんは、再び脱兎のごとく飛び出した。

 

 

かなり遠くまで逃げてから振り返ると

分裂したはずの黒綿菓子は、また一体化し始めている。

 

「あれって、霊の集合体みたいなものかな・・・。」

ゼロがつぶやくと、血まみれちゃんがうなずいた。

 

そうか、さっき血まみれちゃんも吸収されそうになったんだな。

あれっ? でも、あれ、殴ったら消えるよね?

なのに何で吸収されるわけ?

 

 

再び悩みかけたその時

血まみれちゃんが心配そうにゼロの顔を覗き込んだ。

 

「あ、ごめんごめん、恐かったよね

 大丈夫?

 どこも異常はない?」

うんうん

 

「じゃ、さっさと帰ろうか。

 ここはもう出入り禁止、っちゅう事にしよう。」

何か言いたげな血まみれちゃんに、ゼロは気付かなかった。

 

「あー、しっかしカフェとか寄れないの、辛いよねー。

 てか、自販機すら利用できんもんね。

 散歩に茶ぁ飲みはつきものなのにねー。」

 

 

血まみれちゃんは相変わらず喋れなかった。

物に触れないので、筆談も出来ない。

「自動書記とか、あれどんだけ強い霊なんだろうね。」

 

ふたりでいる時には、ゼロがひとりで喋っていた。

ゼロの話の内容は、多岐にわたっていたが飛び飛びになる。

何よりも、よくこれだけ喋り続けられるものだ

というぐらいに、話題が尽きない。

それにはゼロなりの理由があった。

 

「太郎がいない今、喋っておかないと

 太郎に構ってほしくなるんだよー。

 何かね、喋らないと脳内がどんどん混雑していくのよ。

 でも、太郎の勉強の邪魔をしたらダメじゃん?

 だからごめんけど、血まみれちゃん、相手してね。」

 

血まみれちゃんは、うんうんとうなずいた。

ゼロの話題は、知らない分野の事が多かったし

それよりゼロから必要とされている事が嬉しかった。

 

 


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