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リアとスキル検証3

「次はそうね……素材を変えたら強度は上がるのか。それとも強度は一定なのか。上限はあるのか。そこを試していきましょう」


 とリアは提案し、シュンはうなずいた。

 

「鉄より上程度の強度が限界なのか、もっと硬くできるのか。それでかなり変わるのは言わなくてもわかったみたいね」

 

 彼女は彼の顔をちらりと見てから、鉄のかけらを二つ手に取る。


「さあ今度は硬くすることを意識してスキルを使ってみて」


 彼女の指示通りにシュンはイメージしながらスキルを発動させた。


 他に意識していなかったからか、最初に作ったサイズや形のプラスチックができあがる。


「じゃあ今度は強くいくわよ」


 リアはそう言うと腕に赤いオーラをまといながら金槌を振り下ろす。

 カーンと金属やステンレスを強く叩いた時の音が響く。


「んー、かなり強く叩いたんだけどなぁ」


 金槌を持ったまま言うリアの視線の先には、無傷のプラスチックがある。


「こりゃ鋼よりも硬いわね。鉄のかけら二つで鋼以上の強度って、相当すごいわよ」


「そうなんですか?」


 彼女の言葉にシュンはきょとんとした。


 鉄より鋼のほうが硬いと言われても何となくそうなのかな、くらいしか彼にはわからない。


「あ、ごめん。異世界人だからこっちの知識ないよね」


 リアが自分のミスに気づいてハッとする。


「一度に言っても覚えられないだろうから、簡単に言うと強度は下から順番に鉄、鋼、ベリル鋼、魔法銀になるのね。魔法銀より上の素材はそのうち説明するわ」


「あ、はい」


 たしかに一度に言われても無理だ──なんて思いながらシュンはうなずいた。


「鉄を使ったらベリル鋼並みの強度になるなんて、とんでもなくすごいわよ」


 リアに優しく褒められて彼はうれしい。

 

「しっかしこうなってくると、何を作るのかという問題が出てくるわね」


「何を作るのか、ですか」


 リアの言葉を拾ったシュンが疑問を瞳に浮かべる。


「ええ。色々と作れそうだものね、あなたのスキル。ゴーレムも作れるんでしょう?」


 彼女の言葉に彼はそうだなとうなずく。


「何を作ればいいんでしょうか?」


 彼は思っていることを素直に言葉にする。


「やっぱりモンスターと戦えるようなものがいいですか?」


「それは重要よ」


 彼の問いにリアは答えた。


「あなたの故郷はどうか知らないけど、こっちの世界はモンスターとの戦闘はついて回るものだから。身を守れる防具、モンスターを倒すための武器は必要ね」


 彼女は言葉を切ると彼をじっと見る。


「一応聞くけど、戦闘技術や経験に自信は?」


「まったくないです」


 シュンは落ち込みながら返事をした。


「だとするとやっぱり防具を作って、それからモンスターを倒せる武器がいいでしょうね。武器を使ったことはある?」


 リアは小さく首を上下に動かしながら、想定通りだとばかりに問いかけてくる。


「何もないです」


 シュンはしょんぼりしながら答えた。


 おもちゃの木刀を握ったことなら彼にもあるのだが、そんなものは武器を使った経験に入らないだろう。


「使ったことがないなら、使いやすそうな武器を選んだほうがいいわね。あなたの場合は、作りやすい武器と言い換えてもいいけど」


「作りやすい武器か……」


 リアの助言を受けてシュンは考え込む。

 作りやすいと言われたらやはり日本刀だろう。


 実物はともかくイラストやフィクションではよく見かけるし、イメージもしやすい。


 もっとも日本刀を使って自分が戦えるのかと言われれば非常に心もとないので、踏ん切りがつかなかった。


「使い慣れてないけど、戦力になれるかもしれない武器ならあるんですが」


「何それ?」


 シュンの言い方にピンと来なかったらしく、リアはきょとんとする。

 実物を作って見せたほうが早いと判断し、彼は白い砂を握った。


「スキル発動!」


 彼が作り上げたのは銃である。


「これなら弾を込めて発射するので、一応使いやすいと思うんです」


「へえ、そんな武器があるのね。何を言ってるのかよくわからないけど、弾って?」


 シュンの説明にリアは興味深そうに問いかけ、彼は困ってしまう。

 銃を知らない人にどう説明すればいいのだろうという問題に気づいたのだ。

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